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フィボナッチの反応率を401水準で検証:数字より深さが効いた

フィボナッチ・リトレースメントのどの数字が一番反応するのかを、10%〜90%を0.2%刻みにした401水準で実測しました。押し目が終わった割合は深さ30%から先では3.5〜4.4%で平らで、23.6や61.8という数字そのものの効果は見つかりませんでした。

フィボナッチ・リトレースメントは、直近の安値から高値(またはその逆)に線を引き、その値幅の23.6%・38.2%・50%・61.8%・78.6%の位置に水平線を並べる描画ツールです。押し目や戻りがその水準で止まりやすいという前提で使われます。

では、その5つのうちどれが一番よく止まるのか。実測しました。

ただし5つだけを比べても答えになりません。5頭立ての競馬にはどれかが1着になるからです。そこで押し戻しの深さを10.0%から90.0%まで0.2%刻みにした401水準を全部測り、フィボナッチ比率がその曲線の上に山を作っているかを見ています。対象はドル円の2024年と2025年、15分足・1時間足・4時間足で自動検出したスイング6,266本です。

先に結論です。押し目がその水準で終わった割合は、深さ30%から先では3.5〜4.4%のあいだで平らでした。 フィボナッチ比率5つを前後3%の水準と比べると差は平均−0.037ポイントで、比率でない6水準(+0.046ポイント)と区別が付きません。効いていたのは「深さ」であって、「数字」ではありませんでした。

0%1%2%3%4%5%23.638.25061.878.610%30%50%70%90%押し戻しの深さ(スイング幅に対する%)
反転率(その水準で押し目が終わった割合)23.6 / 38.2 / 50 / 61.8 / 78.6%スイング6,266本・15分足/1時間足/4時間足・2024と2025年
深さ30%から先では3.5〜4.4%で平らなままで、5本の赤い線はどれも山の上に乗っていません。

フィボナッチ・リトレースメントは何を測っているのか

計算は引き算と掛け算だけです。スイングの安値をL、高値をHとすると、深さd%の水準は H −(H − L)× d/100 に置かれます。61.8%なら、高値から値幅の61.8%だけ下がった価格です。

つまりこのツールが測っているのは、直近の一方向の動きに対する、戻りの割合です。値幅そのものではありません。この検証で自動検出したスイングの中央値は15分足で38.4pips、1時間足で85.8pips、4時間足で178.7pips(いずれも2025年)でした。同じ「61.8%」でも、4時間足では110pips戻ってようやく届く水準になります。

つまみは2つしかありません。どの深さを見るかと、どの2点にツールを引っかけるかです。後者のほうが結果に効きます。この記事はスイングの取り方(前後何本より高い足をスイング高値とするか)を3・5・8・13・21本の5通りで回していますが、その5通りで到達率は10ポイント以上動きます。数字を1つ選ぶより、どの波に引くかを決めるほうが先です。

フィボナッチの押し戻しは、半分以上が起点まで戻る

深さの話をする前に、押し戻しがそもそもどう終わるのかを数えました。スイング6,266本の内訳です。

終わり方本数割合
途中で反転して、スイングの終点を更新した2,95547.2%
起点まで完全に戻され、スイングが消えた3,29552.6%
200本たっても決着しなかった160.3%

半分強のスイングは、100%戻されて無くなります。 「押し目がどこで止まるか」を問う前に、止まらないほうがわずかに多い、というのがこのデータの前提です。

フィボナッチをチャートに引く方法

どのプラットフォームにも描画ツールとして入っています。

環境手順
MT4 / MT5挿入メニュー → フィボナッチ → リトレースメント を選び、安値から高値へドラッグする
TradingView描画ツールの一覧からフィボナッチ・リトレースメントを選ぶ
ブラウザ(Formiq)描画ツールに入っている。バックテスト側では直近のスイングを自動で検出して水準を条件にできる

手で引く場合と自動検出の違いは、どの2点を選ぶかを人が決めるかどうかだけです。この記事は自動検出で測っています。前後N本より高い足をスイング高値、安い足をスイング安値とし、高値と安値が交互に並ぶように整理して、直近の1区間を1本のスイングとして扱いました。

この方式には確定の遅れがあります。 ある足がスイング高値だと分かるのは、その後N本が高値を更新しなかったと確認できたときです。つまり線が引けるのは、天井を打ってからN本あとになります。この遅れは後のセクションで数字にしています。

この検証でフィボナッチをどう測ったか

数字を見る前に、何をどう測ったかを書いておきます。この表と同じ設定を入れれば、同じ結果が出ます。

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31(比較用に2024年も同条件)
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
スイング検出前後5本より高い(安い)足を高値(安値)とする。高値と安値が交互になるよう整理し、直近の1区間を使う。感度検証として前後3・8・13・21本でも実行
スイング本数6,266本(15分足4,752 / 1時間足1,176 / 4時間足338。2年合計)
深さの刻み10.0%〜90.0%を0.2%刻み=401水準。23.6・38.2・50・61.8・78.6はこの刻みにちょうど乗る
反転率その深さに到達したスイングのうち、そこから5%以内で押し戻しが終わったものの割合。感度検証として2.5%と10%でも計算
売買の検証9水準(フィボナッチ5+比率でない4)× スイング検出5通り × トリガー2種=90通りを、時間足3種×期間4区分で実行
損切り・利確使わない(別セクションで測定)
スプレッド0.3pips(スリッページ0、0.1ロット)。決済と新規の両方に掛かる
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、1トレードずつの約定価格からpipsを再集計

比率でない4水準(30・45・70・80%)を混ぜているのが、この検証の要点です。フィボナッチ比率に固有の効果があるなら、隣り合う比率でない水準との差として出てくるはずだからです。

フィボナッチのどの水準まで価格は戻るのか

まず到達率です。押し戻しがその深さまで届いた割合を、スイング6,266本で数えました。

深さ到達率到達本数
23.6%95.9%6,012
30%92.5%5,798
38.2%87.2%5,462
45%82.3%5,157
50%78.8%4,936
55%75.4%4,725
61.8%71.4%4,474
70%66.8%4,184
78.6%62.3%3,902
80%61.5%3,855

きれいに単調です。 深いほど届きにくく、フィボナッチ比率のところで折れ曲がったりはしません。23.6%はほぼ必ず届き(95.9%)、78.6%は3本に2本届きません。

この表だけで言えることがひとつあります。浅い水準を「効いた」と感じやすいのは、単にそこへ行く回数が多いからです。 23.6%に線を引いておけば、20本中19本はその線に触ります。触れば記憶に残ります。

フィボナッチのどの水準で押し目が終わったか

本題です。到達した回数で割って、その水準に届いたスイングのうち、そこから5%以内で押し戻しが終わった割合を出しました。この指標には「反応とは何pipsか」のようなつまみがありません。到達したかどうかと、どこで終わったかだけで決まります。

深さ反転率95%区間反転本数/到達本数
20%2.05%±0.36125 / 6,096
23.6%2.73%±0.41164 / 6,012
30%3.55%±0.48206 / 5,798
38.2%3.94%±0.52215 / 5,462
45%4.29%±0.55221 / 5,157
50%4.27%±0.56211 / 4,936
55%3.92%±0.55185 / 4,725
61.8%4.22%±0.59189 / 4,474
70%3.78%±0.58158 / 4,184
78.6%3.95%±0.61154 / 3,902
80%3.76%±0.60145 / 3,855

一番高いのは45%(4.29%)で、フィボナッチ比率ではありません。 次が50%(4.27%)、その次が61.8%(4.22%)です。

ただし順位に意味を持たせるべきではありません。38.2%以上のどの水準も、互いの95%区間の中に収まっています。 45%の4.29%と78.6%の3.95%の差は0.34ポイントで、それぞれの区間の幅(±0.55と±0.61)より小さい。この検証で言えるのは「38.2%より深ければどこも同じくらい」までです。

構造が出ているのは浅いほうだけです。20%と23.6%は明確に低い(2.05%と2.73%)。値幅の2割しか戻していない段階で押し目が終わることは、めったにありません。

冒頭の図がこの表の全体像です。401水準ぶんを並べると、10%から30%にかけて立ち上がり、そこから90%まで3.5〜4.4%の帯の中で平らに続きます。5本の赤い縦線(フィボナッチ比率)は、どれも山の上に乗っていません。

判定幅を変えても同じでした。

判定幅23.6%38.2%50%61.8%78.6%
±2.5%1.1%2.3%2.0%2.1%1.9%
±5%2.7%3.9%4.3%4.2%3.9%
±10%6.0%8.4%8.0%8.0%7.8%

フィボナッチの数字と、その隣の数字を比べる

「深いほど反転しやすい」なら、深さの効果と数字の効果を分けなければいけません。そこで各水準の反転率を、前後3%以内にある水準(ただし前後0.8%は除く)の平均と比べました。深さがほぼ同じで数字だけが違う相手との比較です。

12通り(3時間足×2年×上下の向き)それぞれで計算した差の平均です。

水準隣との差上回った回数
20%−0.078ポイント6 / 12
23.6%(比率)−0.196ポイント5 / 12
30%+0.160ポイント6 / 12
38.2%(比率)−0.077ポイント6 / 12
45%+0.033ポイント5 / 12
50%(比率)−0.105ポイント7 / 12
55%−0.071ポイント4 / 12
61.8%(比率)−0.040ポイント6 / 12
70%+0.091ポイント8 / 12
78.6%(比率)+0.234ポイント7 / 12
80%+0.144ポイント7 / 12

まとめると、フィボナッチ比率5つは平均−0.037ポイントで、60通り中31通りで隣を上回りました。比率でない6水準は+0.046ポイントで72通り中36通りです。 どちらも「半分の確率で隣より上」で、0と区別が付きません。

一番分かりやすい形で書きます。61.8%の反転率は4.22%、隣の62.0%は4.30%です。 61.0%も4.22%。38.2%は3.94%で、37.0%が3.92%、39.0%が3.97%、40.0%が4.07%。線を1つ横にずらしても、何も起きません。

この検証の範囲では、フィボナッチ比率が他の深さより価格を止めるという証拠は出ませんでした。

フィボナッチの浅い水準は、線を引く前に通り過ぎている

もうひとつ、実務上これが一番効くかもしれない数字があります。

スイング高値が確定するのは、天井から5本あと(この検証の既定値)です。線が引けるのはそれ以降。ところがその5本のあいだに、価格はもう浅い水準を通り過ぎています。

0%25%50%75%100%23.6%94.130%88.838.2%81.345%73.450%67.961.8%52.570%43.478.6%35.080%34.0確定前にすでに通過していたスイングの割合
フィボナッチ比率比率でない水準12通りの平均(3時間足×2年×上下)
スイングが確定する頃には、100本中94本で価格が23.6%の水準を通り過ぎています。

12通りの平均で、確定前にすでに水準を通過していたスイングの割合です。

深さ確定前に通過していた割合
23.6%94.1%
30%88.8%
38.2%81.3%
45%73.4%
50%67.9%
61.8%52.5%
70%43.4%
78.6%35.0%
80%34.0%

23.6%の水準は、100本中94本で「線を引いたときにはもう抜けている」水準でした。 38.2%でも81.3%です。61.8%でようやく半分(52.5%)になります。

手で引く場合も事情は同じです。天井が天井だと分かるのは、下げてからです。浅いフィボナッチ水準で押し目買いを狙うという発想は、それが押し目だと分かる前に注文を置けることを前提にしています。 自動検出でも裁量でも、そこは変わりません。

フィボナッチで売買すると勝てるのか

ここまでは価格の動きの話です。次は、その水準で実際に売買したらどうなるかを測りました。よく紹介される使い方は2つあります。

  • 水準にタッチしたら、元のトレンド方向に入る(上昇スイングなら押し目買い)
  • 水準を終値で抜けたら、抜けた方向に入る(上昇スイングの61.8%を割ったら売り)

前者は水準で止まることに賭け、後者は止まらないことに賭けます。同じ線から正反対のルールが出てきます。9水準×スイング検出5通り×2トリガーで、時間足3種・期間4区分を回しました。

−4k−2k0+2k+4k20%35%50%65%80%勝率年間の損益(pips)
水準にタッチして押し目買い(256通り)水準を抜けた方に乗る(217通り)取引20回以上・2024と2025年・0.1ロット
赤は右下に寄ります。256通り中251通りが勝率5割超で、そのうち177通りが年間では負けています。

2024年と2025年の両方で黒字だった設定の数です(各45通り)。

時間足押し目買い(タッチ)抜けに乗る(ブレイク)
15分足2 / 4520 / 45
1時間足6 / 4514 / 45
4時間足4 / 453 / 45

押し目買いはほとんど残りません。 15分足では45通り中2通り(78.6%と80%、いずれもスイング検出21本)だけです。中央値は2025年が−1,095.7pips、2024年が−2,153.6pipsでした。

抜けに乗る側は15分足で20通りが両方の年に残りました。 中央値は2025年+631.8pips、2024年+512.2pipsです。この検証で最も安定していたのはここです。

ここでもフィボナッチ比率に優位はありません。押し目買いの中央値はフィボナッチ5水準が−742.4pips(150通り)、比率でない4水準が−668.5pips(120通り)。抜けに乗る側はフィボナッチが+118.4pips(150通り)、比率でないほうが+222.4pips(120通り)で、どちらも比率でないほうがわずかに上です。

同じ時間足・同じ年・同じトリガー・同じスイング検出で、フィボナッチ水準とすぐ隣の比率でない水準を1対1で比べると、フィボナッチが勝ったのは300回中143回でした。

フィボナッチの勝率と損益は逆を向く

このシリーズで繰り返し出てくる形が、ここでも出ました。取引20回以上の設定だけを見ます。

システム平均勝率年間損益の中央値設定数
押し目買い(タッチ)61.17%−629.1pips256
抜けに乗る(ブレイク)43.23%+206.1pips217

勝率が18ポイント高いほうが、835pips負けています。

1時間足の既定的な設定(61.8%・スイング検出5本)で中身を見ると理由が分かります。2025年の押し目買いは292回・勝率65.75%で+921.1pipsですが、平均利益は43.69pips、平均損失は−74.68pipsです。3回勝って1回負けると、ちょうど釣り合う形になっています。抜けに乗る側は112回・勝率35.71%で、平均利益110.23pips・平均損失−60.07pipsと逆の形です。

同じ現象はボリンジャーバンドでもRSIでも出ました。勝率で指標や水準を選ぶと、順序が逆になります。

去年のフィボナッチ最良設定を、今年に持ち込むと

それぞれの年の1位を、相手の年に当てます。

時間足・トリガー2024年の1位2024年の損益2025年に当てたとき2025年の順位
15分足・タッチ50%・検出3本+445.8pips(2,491回)−846.4pips17 / 45
15分足・ブレイク80%・検出3本+3,922.6pips(491回)−1,410.7pips43 / 45
1時間足・タッチ30%・検出21本+1,909.5pips(150回)+320.2pips13 / 45
1時間足・ブレイク80%・検出13本+3,335.4pips(35回)−251.4pips33 / 45
4時間足・タッチ23.6%・検出8本+2,891.4pips(94回)+692.2pips25 / 45
4時間足・ブレイク23.6%・検出21本+3,775.7pips(7回)+148.7pips12 / 45

15分足のブレイクは、前年1位が翌年45通り中43位まで落ちました。 4時間足のブレイク1位は年7回しか取引していません。回数の少ない設定が派手な数字を出して翌年に消えるのは、このシリーズで毎回出てくる形です。

順位相関も安定していません。

時間足・トリガー2024年 ↔ 2025年2025年前半 ↔ 後半
15分足・タッチ0.0850.349
15分足・ブレイク0.208−0.281
1時間足・タッチ0.375−0.085
1時間足・ブレイク0.059−0.189
4時間足・タッチ−0.336−0.014
4時間足・ブレイク−0.2840.154

4時間足は2年間で負の相関です。 前年に良かった水準が翌年は悪い、という並びになっています。

フィボナッチにフィルターと損切りを足す

1時間足・61.8%・スイング検出5本に、よく紹介される条件を足しました。左が取引回数、右が損益です。

条件2025年 タッチ2024年 タッチ2025年 ブレイク2024年 ブレイク
そのまま292回・+921.1255回・−1,846.5112回・+84.6101回・−622.8
ADX 20以上76回・+149.964回・+642.829回・−887.425回・+218.8
ADX 25以上74回・+3.169回・−713.928回・−536.825回・+282.6
ADX 30以上66回・−308.953回・−785.025回・−1,018.216回・+1,068.7
ロンドン・NY時間250回・−58.4223回・−2,132.882回・−515.679回・−1,194.6
東京時間185回・−611.2178回・−811.258回・−108.449回・+176.8

ADXフィルターは年で反対を向きました。 タッチ側は2025年に+921.1が+3.1へ落ち(ADX 25以上)、2024年は−1,846.5が+642.8へ改善します(ADX 20以上)。片方の年だけ見れば「効く」とも「効かない」とも書けてしまいます。

時間帯フィルターは、4つのうち3つで基準を下回りました。ロンドン・NY時間はどの列でも悪化しています。

損切りと利確も足しました。

決済ルール2025年 タッチ2024年 タッチ2025年 ブレイク2024年 ブレイク
反対シグナルまで292回・+921.1255回・−1,846.5112回・+84.6101回・−622.8
損切り30 / 利確60743回・−1,234.4650回・−643.3182回・+145.2163回・+142.2
損切り50 / 利確100525回・+394.3492回・−2,012.7154回・+285.3141回・−80.4
損切り100 / 利確200381回・+1,254.7351回・−2,225.3130回・+21.7119回・+434.5
24本で時間決済382回・+923.2338回・−1,865.9162回・+303.3145回・−28.6

ブレイク側は損切り30/利確60が両方の年で黒字になった唯一の組み合わせでした(+145.2と+142.2)。タッチ側はどの決済でも2024年が赤字のままです。

フィボナッチのコストは取引回数×スプレッド

スプレッドだけを変えて2025年の1時間足を回し直します。

スプレッドタッチ 61.8%(292回)ブレイク 61.8%(112回)
0.0pips+1,008.7+118.2
0.3pips+921.1+84.6
0.6pips+833.5+51.0
1.0pips+716.7+6.2
1.5pips+570.7−49.8
2.0pips+424.7−105.8

0から2.0pipsで失ったのは、タッチ側が584.0pips(292回×2.0)、ブレイク側が224.0pips(112回×2.0)。どちらも取引回数×スプレッドと誤差なく一致します。 このシリーズの16本すべてで成立している関係です。

ブレイク側は1.0pipsを超えたあたりで水面下に沈みます。112回しか取引しない設定でも、利益が118.2pipsしかなければスプレッドは十分に重いということです。

この検証で言えること

年をまたいで同じ方向を向いていたものだけを並べます。

  1. フィボナッチ比率に固有の反応は見つからなかった。 5つの比率を前後3%の水準と比べた差は平均−0.037ポイント、上回ったのは60通り中31通り。比率でない6水準(+0.046ポイント・72通り中36通り)と区別が付きません
  2. 効いていたのは深さ。 反転率は20%で2.05%、23.6%で2.73%と浅いところだけ明確に低く、38.2%より深ければ3.8〜4.3%でほぼ横ばいです
  3. 「一番反応する数字」を1つ挙げるなら45%だが、差は誤差の中。 45%が4.29%、50%が4.27%、61.8%が4.22%で、95%区間は±0.55前後あります
  4. 浅い水準は、押し目だと分かる前に通り過ぎている。 23.6%はスイング確定時点で94.1%がすでに通過済みでした
  5. 水準で止まることに賭けると勝率が上がって損益が下がる。 タッチ側は平均勝率61.17%で中央値−629.1pips、ブレイク側は43.23%で+206.1pipsです

「61.8%は特別だから効く」という説明は、この検証の範囲では支持できませんでした。ただし深い水準ほど反転しやすいこと自体は成立しているので、フィボナッチを深さの目盛りとして使うことまで否定する結果ではありません。

同じ「逆張りは勝率が高く負ける」形はボリンジャーバンドRSIでも測っています。移動平均線クロスは水準ではなく交差で同じ問いを見ています。プログラミングなしで条件を組んで検証するなら、この記事の表と同じことを自分の通貨ペア・自分の期間で確かめられます。

この検証の限界

  • 通貨ペアは米ドル/円のみ、期間は2024年と2025年の2年だけです。他の通貨ペアや他の年で同じ傾向になる保証はありません
  • 2つの年の性格が大きく違います。 2024年は+1,632pipsの上昇(値幅2,237pips)、2025年は−56pipsで元の位置に戻る動き(値幅1,900pips)でした。押し目買いが2024年に崩れたのは、この上昇の影響が大きいはずです
  • スイングの取り方は自動検出です。 手で引くフィボナッチは、どの波に引くかを人が選びます。その選び方が結果を変える可能性はこの検証では測れていません。感度検証として検出幅を5通り試し、反転率の順序は変わりませんでした
  • 反転率の判定幅(5%)は任意です。 2.5%と10%でも計算し、水準どうしの関係は変わりませんでした
  • 反転率は「押し戻しがそこで終わったか」を測っています。「一時的に止まって、また下げた」動きは反転として数えていません
  • 401水準は互いに重なりを持つため、隣り合う水準の数字は独立ではありません。順位や最大値は、独立な401回の試行として読めません
  • エントリーも決済も足の終値で行っています。実際の約定はここからずれます
  • スプレッドは全期間0.3pips固定として計算しています。実際のスプレッドは時間帯と指標発表で変動します
  • 時間帯によって値動きの大きさは変わります。時間フィルターの結果はその影響を受けています

よくある質問

フィボナッチで一番反応する数字はどれですか?
「反応」を「押し目がそこで終わった割合」と定義すると、ドル円のスイング6,266本で45%が4.29%、50%が4.27%、61.8%が4.22%、78.6%が3.95%、38.2%が3.94%、23.6%が2.73%でした。上位はフィボナッチ比率ではない45%です。ただし各水準の95%信頼区間は±0.5前後あり、38.2%以上のどの水準の差も区間の中に収まります。順位は付きますが、差は測定の誤差より小さいということです。
61.8%は特別な水準ですか?
この検証では特別ではありませんでした。61.8%の反転率4.22%に対し、隣の62.0%は4.30%、61.0%は4.22%です。フィボナッチ比率5つを前後3%の水準と比べると平均で−0.037ポイント、上回ったのは60通り中31通りでした。比率でない6水準も+0.046ポイント・72通り中36通りで、どちらも0と区別が付きません。
フィボナッチの押し目買いは勝てますか?
勝率は高く、損益は負けました。取引20回以上の256通りで平均勝率61.17%、年間損益の中央値は−629.1pipsです。逆に水準を抜けた方向に乗る217通りは平均勝率43.23%で中央値+206.1pips。2024年と2025年の両方で黒字だったのは、15分足で押し目買いが45通り中2通り、抜けに乗る側が20通りでした。
フィボナッチは何%まで戻ることが多いですか?
スイング6,266本のうち52.6%は起点まで完全に戻され、47.2%が途中で反転して元の方向に進みました。到達率は23.6%が95.9%、38.2%が87.2%、50%が78.8%、61.8%が71.4%、78.6%が62.3%です。深い水準ほど届きにくくなりますが、届いてから反転する割合はほぼ変わりません。
フィボナッチはMT4に入っていますか?
入っています。MT4とMT5では挿入メニューのフィボナッチからリトレースメントを選び、安値と高値をドラッグします。TradingViewも描画ツール一覧にあります。Formiqのチャートにも描画ツールとして入っていて、バックテスト側ではスイングを自動検出して水準を条件にできます。この記事の数字はその条件で測りました。

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