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【FX検証】SMCは使える?1,032条件で検証

SMCの構造ブレイク、流動性スイープ、オーダーブロックを先読みなしで1,032条件バックテストしました。ドル円では1時間足の構造ブレイクが12設定中11設定、15分足のオーダーブロックが108設定中40設定で、2024年と2025年の両方の年に黒字でした。

SMC(Smart Money Concepts)は、値動きを市場構造・流動性スイープ・オーダーブロック・フェアバリューギャップ(FVG)などに分けて読む考え方です。ただし、RSIのように計算式が1つに決まったインジケーターではありません。同じBOSやオーダーブロックでも、山谷の決め方やヒゲを含めるかで結果が変わります。

そこで今回は、OHLCだけで同じ答えを再計算できる3つに絞りました。確定済みの山谷を終値で抜ける構造ブレイクヒゲだけが山谷を抜けて終値が戻る流動性スイープ値動きが確定した後に直前の反対色ローソク帯へ初めて戻るオーダーブロックです。機関投資家の注文を観測したのではなく、SMCで使われる名前を価格パターンへ置き換えた検証です。

ドル円の2024年と2025年を調べると、1時間足の構造ブレイクは12設定中11設定が両方の年で黒字でした。オーダーブロックの検出定義は、15分足で108設定中40設定が両年黒字でしたが、1時間足は4設定です。流動性スイープは15分足と1時間足で両年黒字が0設定でした。

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構造ブレイク流動性スイープ分母は各時間足12設定
1時間足の構造ブレイクは12設定中11設定が2024年と2025年の両方で黒字でした。15分足と1時間足の流動性スイープは両年黒字が0設定です。

SMCは何を測っているのか

SMCには統一された計算式がありません。この記事では、まず山谷を次のように固定しました。

  1. ある足の高値が、左右に置いた同じ本数の足よりすべて高ければ山とする
  2. ある足の安値が、左右に置いた同じ本数の足よりすべて低ければ谷とする
  3. 右側の足が閉じた時点で初めて、その山谷を売買に使う
  4. 同値があれば、どちらも山谷にしない

左右3本で山を判定する場合、山が見えるのは3本後です。チャートでは山だった足へ印を置けますが、その足で売買すると未来の3本を先に見たことになります。この検証は3本後まで待ち、そこから先の値動きだけを使いました。

構造ブレイクは終値で山谷を抜ける

上方向の構造ブレイクは、終値が直近の確定した山を上抜けた足です。買いで入り、終値が確定した谷を下抜けたら決済して売りへ切り替えます。下方向は逆です。

SMCではBOSとCHoCHを分ける説明もありますが、どの過去構造を基準にするかは実装ごとに異なります。この記事は方向転換を後から分類せず、確定した山谷を終値で抜けたかだけを測ります。

流動性スイープはヒゲで抜けて終値が戻る

買いの流動性スイープは、安値が直近の確定した谷を下回り、同じ足の終値が谷より上へ戻った形です。売りは、高値が山を上回り、終値が山より下へ戻った形です。

この形から分かるのはローソク足の位置だけです。ストップ注文が実際に置かれていたか、誰が売買したかはOHLCから確認できません。この記事の「流動性スイープ」は、注文主体ではなく、この価格条件の名前です。

オーダーブロックは確定後の初回回帰だけを使う

オーダーブロックには統一された数式がありません。ICTの初期講義では、候補となる反対色ローソクの高値または安値を後続足が抜いてから、候補足へ戻る形を説明しています。現在のSMCインジケーターには、確定済みの山谷を終値で抜けたBOSの直前から反対色ローソクを探す実装もあります。この2つは同じ条件ではありません。

検証では、候補足のヒゲを抜く原典型、候補足を終値で抜く保守型、確定スイングを終値で抜くBOS型を分けました。価格帯は候補足の実体または高値から安値です。確定した足と同じ足では戻りを判定せず、次の足から初回タッチ、価格帯の50%、同方向のローソクで引ける反応足を別々に数えます。

オーダーブロックと呼んでいるのは、OHLC上の反対色ローソク価格帯です。スポットFXは取引所へ注文が集まる市場ではないため、この価格帯から機関投資家の注文や未約定数量を確認することはできません。

SMCの設定と読み方

SMCはMT4・MT5の標準インジケーターには入っていません。外部インジケーターごとに定義と設定項目が違うため、名前が同じでも売買条件が同じとは限りません。

Formiqでは、バックテストの条件一覧から「SMC(市場構造)」を選びます。チャートへ新しい線を重ねる条件ではなく、確定した山谷と現在のローソク足の位置関係を売買判定に使います。

項目既定値意味
読み方構造ブレイク終値で抜けるか、ヒゲで抜けて戻るか
山谷を確定する片側の本数3山谷の左右に何本ずつ置くか
オーダーブロックの確定条件確定した山谷を終値で抜ける候補足のヒゲ抜け・終値抜け・BOSのどれで価格帯を確定するか
価格帯の範囲候補足の実体始値と終値の間か、高値から安値までか
戻りの判定価格帯へ触れ、同方向の足で引ける初回タッチ、50%到達、反応足のどれで売買するか
反対色ローソクを探す本数5確定足より前を何本探すか
最低変位候補足の実体2倍候補足から確定足の終値までに必要な距離
無効化終値が価格帯の遠端を抜けるヒゲまたは終値のどちらで価格帯を捨てるか
FVGを必須にするオフ候補足から確定までにFVGが必要か
価格帯の有効本数50確定後、初回回帰を何本待つか

片側の本数を2から8へ増やすと、小さな山谷が減り、売買回数も減ります。2025年の1時間足・構造ブレイクでは、片側2本が290回、3本が201回、5本が127回、8本が89〜95回でした。

検証では、設定画面に出していない「古い山谷を50・100・200本のどこで捨てるか」も比較しました。片側2〜3本では同じ結果でした。片側8本では50本と100本で一部の結果が変わりましたが、100本と200本は検証した全区分で同じでした。既定の片側3本で結果が変わらないため、この値は操作項目にしていません。

検証の条件

項目条件
通貨ペアUSDJPY
時間足15分足・1時間足・4時間足
期間2024年・2025年。2025年は前半と後半も別集計
読み方構造ブレイク・流動性スイープ・オーダーブロック
山谷を確定する片側の本数2・3・5・8
山谷の有効本数50・100・200
構造ブレイク・流動性スイープ2ルール×4設定×3設定×3時間足×2年=144条件
オーダーブロックの検出定義3確定条件×2価格帯×3探索本数×3変位×FVG有無×3時間足×2年=648条件
オーダーブロックの戻り方3判定×2無効化×3期限×2価格帯×3時間足×2年=216条件
オーダーブロックのスイング強度4設定×3時間足×2年=24条件
年間検証セルの合計1,032条件
売買シグナル足の終値で入り、反対シグナルで決済
コストスプレッド0.3pips、スリッページ0
ロット0.1ロット

片側の本数と有効本数の組み合わせは、各ルール・各時間足につき12設定です。2024年で選んだ設定を2025年へ移す検定も、同じ12設定の中で行いました。

構造ブレイクは1時間足で11/12設定が両年黒字

各年の年間損益が0pipsを超えた設定を数えました。中央値は2025年の12設定を年間損益順に並べた中央です。

売買ルール時間足2025年に黒字2024年に黒字両年黒字2025年の年間損益中央値
構造ブレイク15分足11/129/128/12+865.3pips
構造ブレイク1時間足12/1211/1211/12+1,096.3pips
構造ブレイク4時間足3/1212/123/12−1,951.4pips
流動性スイープ15分足3/123/120/12−1,160.9pips
流動性スイープ1時間足0/126/120/12−574.2pips
流動性スイープ4時間足9/126/123/12+1,390.6pips

構造ブレイクの1時間足は、12設定中11設定が両年黒字でした。片側3本・有効200本の既定値も、2024年+2,177.2pips、2025年+2,214.2pipsです。

同じ構造ブレイクでも4時間足は、2024年に12/12設定が黒字だったものが2025年は3/12設定へ減りました。2025年の中央値も−1,951.4pipsです。「構造ブレイク」という名前だけでは時間足をまたいで同じ結果になりません。

既定値は低い勝率でも利益幅が損失幅を上回った

片側3本・有効200本の2025年を、取引回数、勝率、平均利益、平均損失と一緒に見ます。

売買ルール時間足取引回数勝率平均利益平均損失年間損益
構造ブレイク15分足83235.82%+49.44pips−25.35pips+1,194.9pips
構造ブレイク1時間足20140.80%+100.25pips−50.48pips+2,214.2pips
構造ブレイク4時間足5938.98%+98.15pips−107.99pips−1,630.4pips
流動性スイープ15分足1,04057.88%+21.31pips−32.51pips−1,410.5pips
流動性スイープ1時間足24456.97%+45.01pips−79.45pips−2,086.4pips
流動性スイープ4時間足5658.93%+100.44pips−90.15pips+1,241.1pips

構造ブレイクは15分足と1時間足で勝率36〜41%でも、平均利益が平均損失のおよそ2倍あり、年間損益が黒字でした。流動性スイープは15分足と1時間足で勝率57%を超えても、平均損失のほうが大きく、年間損益は赤字です。

4時間足の流動性スイープは+1,241.1pipsですが、56回しかありません。次の年や別の通貨ペアへ広げる前に、この勝率だけを根拠に設定を選ぶことはできません。

前年の最良設定が翌年も残ったのは構造ブレイクの1時間足と4時間足

2024年の最良設定を2025年へ、2025年の最良設定を2024年へ移しました。表の数値は移した先の年間損益です。

売買ルール時間足2024年最良を2025年へ2025年最良を2024年へ
構造ブレイク15分足−199.0pips−282.3pips
構造ブレイク1時間足+2,214.2pips+2,177.2pips
構造ブレイク4時間足+847.5pips+1,905.4pips
流動性スイープ15分足−2,234.2pips−1,578.4pips
流動性スイープ1時間足−1,052.6pips+377.0pips
流動性スイープ4時間足−1,020.8pips−1,786.5pips

構造ブレイクの1時間足では、両年とも片側3本・有効50本が最良でした。4時間足も片側2本・有効50本が両年の最良です。一方、15分足の構造ブレイクと、流動性スイープの15分足・4時間足は、前年の最良設定が翌年に赤字へ変わりました。

年内でも差があります。1時間足の構造ブレイク既定値は、2025年前半+260.9pips、後半+1,929.2pipsでした。15分足の流動性スイープ既定値は、前半+54.8pipsから後半−1,467.7pipsへ変わっています。

ADXとFVGを足しても1時間足の年間損益は増えなかった

2025年の既定値へADX(14)を足すと、1時間足の構造ブレイクは+2,214.2pipsから、ADX 20以上で+919.2pips、25以上で+293.2pipsへ減りました。条件を厳しくするほど取引回数も201回から151回、114回へ減っています。

構造ブレイクと同じ足でFVGができることを条件にすると、1時間足は次のように変わりました。

FVGの最小幅取引回数勝率年間損益
FVGの大きさを問わない9343.01%+811.9pips
0.25 ATR以上4247.62%+377.7pips
0.50 ATR以上2236.36%−82.6pips

FVGを足すと勝率が一時的に上がっても、年間損益は単独の+2,214.2pipsを超えませんでした。この記事で測ったのは「構造ブレイクとFVG発生が同じ足」という条件です。流動性スイープ、構造転換、FVGへの戻りを順番に待つ別のSMC手順とは異なります。

損切り利確は2025年だけの改善を一般化できない

15分足の流動性スイープへ損切り30pips・利確60pipsを付けると、2025年は−1,410.5pipsから+599.7pipsへ変わりました。しかし、1時間足は−442.7pips、4時間足は−615.2pipsです。損切り20・利確40、損切り50・利確100も含め、3時間足で同じ改善にはなりませんでした。

構造ブレイクの1時間足は、反対シグナル決済の+2,214.2pipsに対し、損切り20・利確40が+98.1pips、損切り30・利確60が+991.5pips、損切り50・利確100が+1,342.5pipsでした。固定幅の決済は、この区分では利益を減らしています。

取引回数が多い15分足はスプレッドの影響も大きい

スプレッドを0から0.3pipsへ上げると、2025年の年間損益の減少幅は取引回数×0.3pipsと0.1pips以内で一致しました。

売買ルール時間足取引回数スプレッド0スプレッド0.3
構造ブレイク15分足832+1,444.5pips+1,194.9pips
構造ブレイク1時間足201+2,274.4pips+2,214.2pips
流動性スイープ15分足1,040−1,098.5pips−1,410.5pips
流動性スイープ1時間足244−2,013.2pips−2,086.4pips

15分足の流動性スイープはスプレッド0でも−1,098.5pipsです。赤字の理由をコストだけでは説明できません。反対に、1時間足の構造ブレイクはスプレッド1.0pipsでも+2,073.5pipsでした。ただし、スリッページと実運用の約定差はこの検証に含めていません。

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補足

対象はUSDJPYの2024年1月1日から2025年12月31日です。売買はシグナル足の終値、スプレッド0.3pips、0.1ロットで計算しました。山谷は右側の確認本数が閉じるまで利用していません。OHLCだけでは足の中の値動きの順序や注文主体を判定できないため、この記事は機関投資家の注文を観測した検証ではありません。

よくある質問

SMCはインジケーターですか?
SMCは1本の計算式で決まるインジケーターではなく、市場構造・流動性スイープ・オーダーブロック・FVGなどをまとめた裁量的な枠組みです。この記事では、構造ブレイク、流動性スイープ、オーダーブロックをOHLCだけで再計算できる条件へ固定しました。
SMCのBOSはどう判定しましたか?
左右に同じ本数を置いて確定した山または谷を、終値が初めて抜けた足を構造ブレイクとしました。山谷は右側の足が閉じるまで利用せず、チャート上の山谷の位置へ遡って売買していません。
SMCはどの時間足で勝てましたか?
構造ブレイクは1時間足で12設定中11設定が2024年と2025年の両方で黒字でした。流動性スイープは15分足と1時間足で両年黒字が0設定、4時間足で3設定でした。このドル円2年分と今回の定義に限った結果です。
流動性スイープは勝率が高ければ使えますか?
勝率だけでは判断できません。既定値の流動性スイープは2025年に15分足57.88%、1時間足56.97%でしたが、年間損益はそれぞれ−1,410.5pips、−2,086.4pipsでした。平均損失が平均利益より大きかったためです。
オーダーブロックは細かく検証していますか?
はい。候補足のヒゲ抜け・終値抜け・確定スイングのBOS、実体とヒゲ、初回タッチ・50%到達・反応足、ヒゲと終値の無効化、探索本数、変位、FVG、期限を分離し、年間888条件を検証しました。

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