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ボリンジャーバンドは1σ・2σ・3σどれが勝てる?検証した結果

ドル円のボリンジャーバンドを0.5〜4σまで0.25刻みで検証。順張りでは1σが最も安定し、逆張りは偏差を広げても両年で再現しなかった理由を、勝率・損益・取引回数・コストから解説します。

ボリンジャーバンドの設定画面には「偏差」や「Deviations」という欄があります。定番は2ですが、1σ、2σ、3σのどれを使うべきかは、売買の向きで答えが変わります。

ドル円で0.5〜4σを0.25刻みにし、期間10〜50の7種と組み合わせました。逆張り買い、逆張り売り、終値のバンド抜けについて、15分足・1時間足・4時間足、2024年・2025年と2025年前半・後半を合わせて3,780回バックテストしています。

結論から書くと、1時間足の順張りなら1σが比較の基準になりました。0.5〜1.25σは期間7種すべてが2024年と2025年の両方で黒字です。1σの7期間平均は2024年+1,568.8pips、2025年+1,081.9pipsでした。一方、1.75σは2025年の+1,850.2pipsに対し、2024年は+590.2pipsです。

これは「どの相場でも1σが最強」という意味ではありません。今回の候補の中で、利益、期間を変えたときの生存率、別の年への移りやすさをまとめて見ると、1σが最も無理のない出発点だったという答えです。逆張りには、両年で再現した「一番いいシグマ」は見つかりませんでした。

0246770.570.757171.2551.551.756232.2522.512.753323.2543.543.7544偏差(σ)両年黒字の期間数
0.5〜1.25σ1.5〜4σ期間7種・ドル円1時間足の順張り
0.5〜1.25σは期間7種のすべてが両方の年で黒字でした。3.5σ以上で数字が戻るように見える部分は、年平均6.3回・4.1回・2.3回の取引しかありません。

ボリンジャーバンドのシグマは何を変えるのか

期間をn、終値の単純移動平均をSMA(n)、標準偏差をSD(n)、偏差の倍率をkとすると、バンドは次の位置に引かれます。

上バンド = SMA(n) + k × SD(n)

下バンド = SMA(n) − k × SD(n)

設定欄の2は「2%」ではなく、標準偏差を2倍するという意味です。シグマを大きくするとバンドは遠くなり、タッチも終値抜けも減ります。期間を大きくしても平均線の反応が遅くなるため、取引回数は減りやすくなります。

よく使う設定の読み方は次のとおりです。

設定バンドの位置今回の1時間足での用途
平均線に近い順張りの基準候補。シグナルは多い
定番の幅順張りは両年黒字の設定が多い
かなり遠い取引が少なく、少数の値動きに左右される
ほとんど届かない年数回で判断することになる

「1σに約68%、2σに約95%、3σに約99.7%が入る」という説明は、独立した値が正規分布に従う場合の目安です。実際の相場には連続性、トレンド、急変があるため、その数字を出現率として置くことはできません。

0%25%50%75%100%0.50.7511.251.51.7522.252.52.7533.253.53.75445%87.1%99.1%偏差(σ)
バンド内で終えた割合期間20・ドル円1時間足・2025年6,226本
理論分布ではなく実際の価格で数えると、終値が内側だった割合は1σで45.0%、2σで87.1%、3σで99.1%でした。

期間20のドル円1時間足を2025年の6,226本で数えると、終値が内側だった割合は**1σで45.0%、2σで87.1%、3σで99.1%**でした。2σでも12.9%は外側です。2σに触れたこと自体を「異常だから戻る」とみなすには、前提が足りません。

設定画面の見方

MT4・MT5で期間20、2σを表示する場合は、次の設定になります。TradingViewやFormiqでも対応する項目は同じです。

設定欄入力例役割
Period20移動平均と標準偏差を計算する本数
Shift0バンドを左右へずらす本数。通常は0
Deviations2.000標準偏差の倍率
Apply toClose計算に使う価格。今回の検証は終値
Style / Color任意表示だけを変え、計算結果は変えない

Formiqのバックテストでは、期間と偏差に加えてトリガーを選びます。

トリガールール
バンドタッチ安値が下バンドに触れたら買い、または高値が上バンドに触れたら売り
バンドブレイク終値が上バンドを上抜けたら買い、下バンドを下抜けたら売り

同じ20・2σでも、タッチを逆張りするか、終値抜けについていくかで成績は反対になります。シグマだけを比較するときも、先に売買の向きを固定する必要があります。

検証の条件

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01〜2025-12-31、比較用に2024年、2025年前半・後半
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
2025年の本数15分足24,903本、1時間足6,226本、4時間足1,610本
期間10・14・20・25・30・40・50の7種
偏差0.5〜4σを0.25刻み、15種
逆張り買い安値が下バンドに触れた足の終値で買い、反対側の1σバンドに触れた足の終値で決済
逆張り売り高値が上バンドに触れた足の終値で売り、反対側の1σバンドに触れた足の終値で決済
順張り終値が上バンドを抜けたら買い、下バンドを抜けたら売り。反対側を終値で抜けたらドテン
組み合わせ7期間×15偏差×3売買ルール=315設定を、3時間足×4期間で実行。合計3,780回
コストスプレッド0.3pips、スリッページ0、0.1ロット
約定シグナル足の終値。決済後の反対方向へのドテンは同じ足、同方向への再エントリーは次の足以降
損切り・利確主検証では使わない。別セクションで追加測定
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、全約定価格からpipsを再集計

逆張りの決済を反対側の1σに固定したのは、入口のシグマだけを比較するためです。出口まで同時に変えると、「入口が良かったのか、遠い出口が良かったのか」を分けられません。

何シグマが一番いいか

1時間足では0.5〜1.25σが7期間すべて両年黒字で、最も安定していました。各偏差を7期間で平均した順張りの結果です。「両年黒字」は、その偏差に含まれる7期間のうち、2024年と2025年の両方でプラスだった数です。

偏差2025年の平均損益2024年の平均損益2025年の平均取引数両年黒字
0.5σ+1,069.1+1,430.3363.47 / 7
0.75σ+1,113.0+1,217.8301.17 / 7
+1,081.9+1,568.8260.47 / 7
1.25σ+999.7+1,088.6222.47 / 7
1.5σ+1,368.1+693.0188.75 / 7
1.75σ+1,850.2+590.2151.75 / 7
+979.6+742.2129.06 / 7
2.25σ−18.9+1,530.997.73 / 7
2.5σ−812.6+895.665.02 / 7
2.75σ−1,133.3+990.740.01 / 7
−124.9+462.221.73 / 7
3.25σ+772.2+114.012.72 / 7
3.5σ+509.1+210.86.34 / 7
3.75σ+329.7+697.94.14 / 7
+394.5+989.92.34 / 7

0.5〜1.25σは7期間すべてが両年黒字です。中でも1σは2024年+1,568.8pips、2025年+1,081.9pipsでした。2σも7期間中6期間が残っているため、定番設定が否定されたわけではありません。ただし、1.5〜2σは期間による差が増えます。

3.5σ以上が4 / 7まで戻っているように見える点には注意が必要です。2025年の年平均取引数は3.5σで6.3回、3.75σで4.1回、4σで2.3回です。数回の大きなトレードが当たった結果と、設定が安定していることは別です。

時間足を変えると、順張り105設定の全体像も変わりました。

時間足黒字設定損益中央値両年とも黒字
15分足202555 / 105+138.5pips44 / 105
15分足202465 / 105+404.3pips44 / 105
1時間足202575 / 105+672.9pips67 / 105
1時間足202486 / 105+902.5pips67 / 105
4時間足202532 / 105−270.8pips27 / 105
4時間足202484 / 105+926.6pips27 / 105

1時間足は105設定中67設定が両年黒字でした。4時間足は2024年に84設定が黒字でも、2025年には32設定へ減っています。この記事の答えを1時間足に限定しているのは、この差があるためです。

定番の期間20ならどのσか

期間20だけを見ると1.75σが両年とも1σと2σを上回りました。期間を固定して偏差だけを変えると、取引数と1回あたりの重みが見えます。

偏差取引数勝率PF損益
2025277回38.27%1.137+1,052.5pips
2024280回34.29%1.281+2,071.7pips
1.75σ2025158回44.94%1.348+1,846.0pips
1.75σ2024169回40.24%1.407+2,331.5pips
2025132回43.18%1.235+1,177.5pips
2024137回41.61%1.270+1,434.6pips
2.75σ202548回41.67%0.703−955.6pips
2.75σ202448回50.00%1.219+791.9pips
202524回37.50%1.017+33.7pips
202434回44.12%1.255+780.1pips

ただし、期間7種で平均した2024年の損益は、1.75σが+590.2pips、1σが+1,568.8pipsです。期間20を先に選んだ結果と、期間を変えて比較した結果は分けて読む必要があります。

逆張りなら何シグマがいいか

逆張りに一番良い値はありませんでした。1時間足の105設定を、逆張り買い・逆張り売り・順張りに分けて比べます。

売買ルール2025年黒字中央値2024年黒字中央値両年黒字
逆張り買い43 / 105−114.4pips48 / 105−20.5pips23 / 105
逆張り売り11 / 105−483.9pips25 / 105−995.2pips1 / 105
順張り75 / 105+672.9pips86 / 105+902.5pips67 / 105

逆張り買いは、偏差を広げると平均損失が小さくなる傾向がありました。たとえば偏差1σの7期間平均は2025年−811.6pips、2024年−111.6pipsです。2.75σでは+230.2pipsと−45.3pips、3σでは+35.6pipsと−12.7pipsでした。

2025年の逆張り買いでは2.75σが+230.2pipsでしたが、2024年は−45.3pipsです。3σも2025年+35.6pips、2024年−12.7pipsでした。売り逆張りは、両年黒字が105設定中1設定だけです。広いシグマは取引を減らし、損失を小さく見せただけの可能性があります。

去年よかったσは今年も勝てるか

1年だけで最大値を選ぶと翌年に縮み、両年で残った1σのほうが安定していました。偏差だけで2025年の最大値を選ぶと、順張りは1.75σで7期間平均+1,850.2pipsです。しかし2024年では+590.2pipsでした。2024年に平均+1,568.8pipsだった1σは、2025年にも+1,081.9pipsでした。

選択年偏差選択年の平均損益確認年確認年の平均損益
20251.75σ+1,850.2pips2024+590.2pips
2024+1,568.8pips2025+1,081.9pips

期間と偏差を同時に選ぶと、2025年に+2,753.0pipsだった期間10・1.75σは、2024年に+686.0pipsでした。2024年に+2,793.5pipsだった期間25・2.25σは、2025年に+231.3pipsです。そこで、1年だけの最大値ではなく「近い偏差の複数設定が両年で黒字か」を優先しました。

勝率で選べるか

選べません。1時間足・2025年の全105設定を平均すると、逆張り買いの勝率は61.9%、逆張り売りは61.2%、順張りは41.0%でした。

売買ルール平均勝率平均勝ち幅平均負け幅
逆張り買い61.9%+39.2pips−65.9pips
逆張り売り61.2%+40.2pips−84.8pips
順張り41.0%+188.8pips−93.0pips

逆張りは当たる回数が多くても、負け幅が勝ち幅より大きい形です。順張りは勝率が低くても、平均勝ち幅が平均負け幅の約2倍あります。シグマを広げて勝率が上がったかだけを見ると、この差を落とします。

フィルター、決済、コスト

安定性の基準にした期間20・1σの順張りへ、よく使われる条件を追加しました。

条件取引回数年間損益
そのまま2025年277回+1,052.5pips
そのまま2024年280回+2,071.7pips
ADX 20以上2025年188回−1,033.2pips
ADX 20以上2024年185回−3.9pips
ADX 25以上2025年134回−1,572.2pips
ADX 25以上2024年126回+218.7pips
ADX 30以上2025年94回−972.7pips
ADX 30以上2024年88回−231.8pips
東京時間2025年164回+519.4pips
東京時間2024年162回+2,139.6pips
ロンドン・NY時間2025年207回+1,073.5pips
ロンドン・NY時間2024年218回+2,154.3pips

ADXは3水準とも両年で基準を上回りませんでした。ロンドン・NY時間だけは、2025年+1,052.5から+1,073.5pips、2024年+2,071.7から+2,154.3pipsへ、わずかながら両年で改善しています。ただし時間帯まで含めて一番良い設定と断定するには、別の通貨ペアと年が必要です。

決済ルール年間損益
反対側の1σだけ2025年+1,052.5pips
反対側の1σだけ2024年+2,071.7pips
損切り30・利確602025年+1,687.6pips
損切り30・利確602024年+1,467.1pips
損切り50・利確1002025年+1,157.3pips
損切り50・利確1002024年+1,896.2pips
損切り100・利確2002025年+1,340.5pips
損切り100・利確2002024年+1,987.6pips
24本で時間決済2025年+989.1pips
24本で時間決済2024年+1,559.0pips

固定の損切り・利確はエントリー約定価格から指定pips離れた約定水準です。到達時はその水準どおりに決済し、決済側のコストをもう一度差し引きません。

固定の損切り・利確は2025年を改善しても2024年を下げ、両年で基準を上回るものはありませんでした。

スプレッドを変えると、2025年の期間20・1σは0pipsで+1,135.6pips、0.3pipsで+1,052.5pips、1pipsで+858.6pips、2pipsで+581.6pips、3pipsで+304.6pipsでした。単純計算の損益分岐は約4.10pipsです。1σは取引数が多いため、低コストであることも設定の一部です。

ボリンジャーバンドの期間は何本がいいかでは、期間5〜200を比較し、いちばん良いバー数が時間足によって変わるかを測っています。逆張りと順張りそのものを比較した結果はボリンジャーバンドの315通り検証にまとめています。RSIの期間と30・70を比べた検証も、逆張りの高い勝率が高い損益を意味しませんでした。バンド幅を価格に対する割合で置く方法は移動平均線乖離率の検証、条件を自分の通貨ペアで組み直す手順はプログラミングなしのバックテストで確認できます。

補足

  • 米ドル/円だけを対象にし、比較した独立年は2024年と2025年の2年です。他の通貨ペアや期間へそのまま移る保証はありません
  • 期間と偏差の候補から最大値を選ぶ行為には、多重比較による上振れが含まれます。確認年も完全に未使用の将来データではありません
  • 3σ以上は取引数が少なく、PFと勝率の幅が大きくなります。4σの年間平均2.3回を、260.4回ある1σと同じ確かさでは比べられません
  • バンドタッチは高値・安値、ブレイクは終値で判定しています。ヒゲ抜けをブレイクに含めるルールでは結果が変わります
  • 約定は足の終値、スプレッドは常時固定です。実際の約定価格と変動スプレッドは再現していません
  • 逆張りの主検証は入口偏差だけを比べるため、決済を反対側の1σへ固定しました。出口も最適化する検証とは目的が異なります

よくある質問

ボリンジャーバンドは何シグマが一番いいですか?
ドル円1時間足の順張りなら、今回の検証で最も根拠を持って選べるのは1σです。0.5〜1.25σは期間7種のすべてが2024年と2025年の両方で黒字でした。1σの7期間平均は2024年+1,568.8pips、2025年+1,081.9pipsです。2025年に平均+1,850.2pipsだった1.75σは、2024年には+590.2pipsまで下がりました。
ボリンジャーバンドの2シグマは使えますか?
使えますが、今回の1時間足の順張りでは1σほど安定していません。2σは期間7種中6種が両方の年で黒字で、期間20では2025年+1,177.5pips、2024年+1,434.6pipsでした。終値がバンド内に収まった割合は2σで87.1%で、教科書でよく見る95%より低い値です。
ボリンジャーバンドの3シグマや4シグマは強いですか?
数字が良く見える設定はありますが、取引数が少なすぎます。1時間足順張りの2025年平均は3σで21.7回、3.5σで6.3回、4σで2.3回でした。数回の大きな値動きで年間損益が決まるため、黒字設定数だけでは強いと判断できません。
逆張りなら何シグマがいいですか?
今回のドル円では、逆張りに安定した偏差はありませんでした。1時間足の買い逆張りは105設定中23設定だけが両方の年で黒字、売り逆張りは1設定だけです。偏差を広げると損失が小さくなる傾向はありましたが、両年で黒字になる設定は少ないままでした。
1シグマ、2シグマ、3シグマには価格の何%が収まりますか?
期間20のドル円1時間足を2025年の6,226本で数えると、終値が内側だった割合は1σで45.0%、2σで87.1%、3σで99.1%でした。正規分布を前提にした約68%、95%、99.7%を、そのまま相場の出現率として使うことはできません。

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