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通貨強弱Currency Strength最強通貨最弱通貨モメンタムFX手法バックテスト

通貨強弱の使い方:最強と最弱を組めば勝てるか

主要8通貨・28通貨ペアを2024〜2025年で検証。最強通貨を買う順張りは全滅でしたが、過去20営業日で強かった通貨を売り、弱かった通貨を買う方法は開始日を分散しても両年黒字でした。

通貨強弱で最も強い通貨を買い、最も弱い通貨を売れば、勢いのある方向へ素直に乗れそうです。しかし、28通貨ペアの値動きから主要8通貨を順位付けし、2024年と2025年のデータで検証したところ、この方法だけでは利益を残せませんでした

1時間足・4時間足・日足、計算期間5〜80本、保有期間1〜24本の72条件で、最強通貨を買い、最弱通貨を売って両年とも黒字になった条件は0です。スプレッドを引く前でも、両年プラスは1条件だけでした。1時間足で過去14本の強弱を計算し、4本保有する条件では、2025年に1,553回取引し、勝率39.6%、損益−6,236.2bpsでした。

そこで、最強通貨と最弱通貨だけでなく、2番目に強い通貨や2番目に弱い通貨も組み合わせて検証しました。順張りの成績はほとんど改善しませんでしたが、過去20営業日で強かった通貨を売り、弱かった通貨を買って約12営業日保有する逆張りは、検証した5通りの組み合わせすべてで両年黒字でした。売買開始日を分散した場合、単一ペアでは「2番目に強い通貨を売り、最弱通貨を買う」方法、複数ペアでは「上位2通貨を売り、下位2通貨を買う」方法が比較的安定しています。

ここで順位を付ける対象は通貨ペアではなく、EURやUSDといった個々の通貨です。たとえば最強通貨がEUR、最弱通貨がUSDなら、取引するのはEUR/USDになります。1つのチャートの上昇率と、8通貨を比べた強弱ランキングは別物です。

−5k−4k−3k−2k−1k0H1H4D1年間の合計損益中央値(bps)
20242025黒字条件(各24通り):H1 1→0、H4 12→0、D1 3→4
最強通貨を買い、最弱通貨を売った場合の損益中央値。スプレッドを含めると、両年とも黒字になった条件は72通り中0でした。

通貨強弱とは何を測る指標か

通貨は必ず別の通貨との比率で表示されます。ドル円が上がっただけでは、ドルが全面的に強いのか、円だけが弱いのか分かりません。そこで複数の相手に対する変化をまとめ、1通貨ごとの指数にするのが通貨強弱です。

BISの実効為替レートも、複数の為替レートを組み合わせて1通貨の対外的な価値を算出します。ただし、BISの指標は貿易比率を重みに使う経済指標です。短期売買用の通貨強弱メーターには共通規格がなく、各通貨ペアを同じ比率で扱うもの、値動きの大きさを調整するもの、移動平均からの乖離を見るものなどがあります。

今回は8通貨を対等に比べるため、相手となる7通貨への変化率を同じ比率で平均しました。

  1. USD、EUR、JPY、GBP、AUD、NZD、CAD、CHFの全28通貨ペアを使う
  2. 各ペアの直近N本の対数変化率を計算する
  3. 通貨ペアの左側にある通貨にはプラス、右側にある通貨にはマイナスの符号を付ける
  4. 各通貨について、相手となる7通貨への変化率を平均する
  5. 8通貨の最高点を最強、最低点を最弱とする

式を短く書くと、通貨 c の強さは次です。

強さ(c) = 1/7 × Σ[向きを揃えたN本変化率]

たとえばEUR/USDが上昇した場合は、EURのスコアに加え、USDのスコアから引きます。USD/JPYが上昇した場合は、USDのスコアに加え、JPYのスコアから引きます。7通貨に対する変化を平均するため、特定の通貨ペアだけが大きく動いた影響を抑えられます。

通貨強弱に共通の尺度はない

通貨強弱の値は、対象にする通貨や計算方法を変えるだけで変わります。主要8通貨を同じ比率で平均した指標と、40通貨を貿易比率で加重した指標は、どちらも通貨の強さを表しますが、同じ尺度ではありません。また、今回の0は8通貨の平均より強いか弱いかを示す基準であり、0を上回れば絶対的に強いという意味ではありません。

したがって、メーターを選ぶときは色や順位より先に、対象通貨、計算期間、変化率の種類、加重方法を確認します。異なるメーターに表示された+2.0同士を、そのまま比較することはできません。

通貨強弱の設定と使い方

売買結果を大きく左右する設定は、主に次の4項目です。

項目今回の値変わるもの
比較する通貨主要8通貨順位を付ける対象
計算期間5 / 10 / 14 / 20 / 40 / 80本何本前からの強弱を見るか
更新間隔保有期間ごと何本おきに最強・最弱を選び直すか
平均方法相手7通貨を同じ比率で扱う各通貨ペアをどの程度重視するか

計算期間が短いほど直近の急変に敏感になり、長いほど数日から数か月の流れを反映しやすくなります。ただし、同じ「14本」でも、1時間足なら14時間、日足なら約3週間です。本数が同じでも時間足が違えば、別の戦略になります。

保有期間は、決済のタイミングとランキングを更新する間隔を兼ねます。1本保有なら毎足ペアを選び直し、24本保有なら途中で順位が変わっても24本後まで保有します。今回の1時間足では、年間の平均コストが1本保有の15,723.7bpsから、24本保有では2,981.4bpsまで減りました。どのくらいの頻度でペアを入れ替えるかは、結果を大きく左右します。

MT4・MT5・TradingView・Formiqの違い

環境通貨強弱の扱い
MT4 / MT5標準指標ではない。カスタム指標を追加し、計算式を確認する
TradingView公開スクリプトごとに対象通貨・式・正規化が違う
Formiq開いているペアの基軸通貨が決済通貨に対して何%動いたかを別枠へ表示する

MetaTrader 5公式ヘルプでは、38種類の標準指標とカスタム指標を分けて説明しています。Currency Strengthは標準指標に含まれないため、同じ名前の指標でも計算方法が同じとは限りません。

Formiqのチャートに表示される通貨強弱は、開いている1通貨ペアについて (現在値 ÷ N本前 − 1)×100 を描く簡易指標です。計算期間は初期値14で変更できます。一方、この記事では28通貨ペアを同じ時刻でそろえ、8通貨の相対順位を計算しています。1通貨ペアのチャートだけでは、8通貨の中でどれが最も強く、どれが最も弱いかは分かりません。

検証の条件

項目
通貨USD / EUR / JPY / GBP / AUD / NZD / CAD / CHF
通貨ペア上記8通貨の全28組
期間2024-01-01〜2025-12-31
時間足1時間足 / 4時間足 / 日足
全通貨ペアがそろった足数12,439 / 3,222 / 627本
計算期間5 / 10 / 14 / 20 / 40 / 80本
保有期間1 / 4 / 12 / 24本
順張り最強通貨を買い、最弱通貨を売る
逆張り最弱通貨を買い、最強通貨を売る
検証した組み合わせ1位と8位 / 1位と7位 / 2位と8位 / 2位と7位 / 上位2と下位2
エントリーシグナル足確定後、次の足の始値
決済指定した本数を保有した後の始値。決済時に通貨を選び直す
コスト各足の売値と買値を使う。手数料・スリッページ・スワップポイントは含めない
投資額単一ペアは毎回同額。4組を売買する場合は資金を均等配分
最初の検証時間足3種類 × 計算期間6種類 × 保有期間4種類 × 検証期間4区分 × 売買方向2種類 = 576通り
組み合わせの追加検証上記条件 × 5種類の組み合わせ = 2,880通り

通貨強弱は、シグナルが確定するまでの終値だけで計算し、次の足の始値で取引します。シグナルの計算に使った終値で、そのまま約定したことにはしていません。上位2通貨と下位2通貨を使う検証では、作れる4組へ資金を4分の1ずつ配分しました。4組の損益を単純に足して、投資額を4倍に見せることはしていません。

異なる通貨ペアの成績を比較できるよう、損益はbpsで集計しました。1bpは0.01%です。表に示す年間bpsは各取引の変化率を合計したもので、複利運用した口座の利回りではありません。

年間成績だけでなく、2025年前半と後半の成績も確認しました。条件を選ぶときは2024年の結果だけを使い、その条件を2025年で確認しています。強弱差フィルターの基準値も2024年のデータだけから決めました。また、12本保有では売買を始める日を1本ずつずらした12通りを試し、特定の開始日にだけ有利な結果になっていないかを確認しました。

最強通貨買い・最弱通貨売りは勝てなかった

順張り72条件の年間結果です。各時間足では、計算期間6種と保有期間4種を組み合わせた24通りを試しました。表の中央値は、スプレッドを含む年間合計bpsです。

時間足黒字条件損益中央値両年とも黒字
1時間足20241/24−2,771.6bps0/24
1時間足20250/24−4,987.7bps0/24
4時間足202412/24−296.7bps0/24
4時間足20250/24−1,989.0bps0/24
日足20243/24−734.2bps0/24
日足20254/24−1,177.8bps0/24
合計202416/72対象外0/72
合計20254/72対象外0/72

4時間足は2024年に半数の条件が黒字でしたが、2025年は24通りすべて赤字です。日足で2025年に黒字だった4条件も、同じ条件では2024年に損失が出ていました。

スプレッドを除いても、両年黒字は72通り中1通りだけです。4時間足の10本計算・12本保有は、スプレッドを引く前なら2024年+359.6bps、2025年+29.1bpsでした。しかし、実際の売値と買値で計算すると+107.2bpsと−245.1bpsになり、両年黒字ではなくなります。

2025年の最良条件は2024年に通用しなかった

2025年に最も成績が良かった順張りは、日足で過去80本の強弱を計算し、24本保有する条件の+883.3bpsでした。しかし、同じ条件は2024年に−720.1bpsです。2番目に良かった日足20本・24本保有も、2025年は+857.0bpsでしたが、2024年は−1,670.8bpsでした。

2025年だけを見れば、利益が出た条件はあります。しかし、2025年の結果を見てから選んだ条件なので、今後も同じように機能する根拠にはなりません。

14本計算・4本保有の勝率と損益

初期設定に近い、1時間足で過去14本の強弱を計算し、4本保有する条件を詳しく見ます。

取引数勝率PFスプレッド前スプレッドコストスプレッド後平均利益平均損失
20241,55243.8%0.73−889.7bps−2,908.0bps−3,797.7bps+15.26bps−16.24bps
20251,55339.6%0.63−1,249.1bps−4,987.1bps−6,236.2bps+17.38bps−18.08bps

2025年は平均利益より平均損失が少し大きく、勝率も4割を切りました。コストを入れる前から−1,249.1bpsなので、負けをスプレッドだけのせいにはできません。

2025年を前半と後半に分けても、前半−4,323.0bps、後半−964.7bpsで、どちらも赤字です。後半はスプレッドを引く前なら+65.4bpsでしたが、1,030.1bpsの取引コストを補えませんでした。

−6k−4k−2k0順張り逆張り年間の合計損益(bps)
スプレッド前スプレッド後1時間足・14本計算・4本保有・2025年
売買方向を逆にするとスプレッド前はプラスでしたが、同じ4,987bpsのコストで両方向ともマイナスになりました。

売買を逆にしても取引コストはなくならない

同じペアと時刻で売買を逆にすると、2025年のスプレッド前は+1,249.1bpsです。しかしコストは同じ4,987.0bpsかかるため、スプレッド後は−3,737.9bpsでした。

スプレッドを引く前の損益は、順張りと逆張りでほぼ正負が逆になります。しかし、どちらの売買でもスプレッドは支払います。売買を逆にすれば必ず利益になるわけではなく、スプレッドが粗利益を上回れば、順張りも逆張りも最終損益はマイナスになります。

2024年の最大5条件は2025年に全敗した

2024年に成績が良かった順張り5条件を、同じ設定のまま2025年でも検証しました。

時間足計算期間保有期間2024年の損益2025年の損益
4時間足10本24本+1,199.0bps−1,289.6bps
4時間足14本24本+984.4bps−1,676.2bps
4時間足40本12本+793.5bps−1,835.1bps
4時間足40本24本+711.6bps−2,243.8bps
4時間足5本24本+665.6bps−1,645.5bps

5条件の2025年平均は−1,738.0bpsで、黒字は1つもありません。前年に良かったという理由だけでは採用せず、同じ条件が確認年にも黒字かを直接見る必要があります。

条件を変えれば成績は改善するか

強弱差が大きい場面だけでも改善しなかった

「最強通貨と最弱通貨の差が大きく開いたときだけ取引する」方法も試しました。2025年の結果を見て基準を決めないよう、2024年の強弱差で上位25%に入る値を基準にし、そのまま2025年へ適用しています。

1時間足の14本計算・4本保有では、すべて取引すると1,553回で−6,236.2bpsでした。条件を満たす430回だけに絞ると−2,744.1bpsです。取引回数が減った分だけ合計損失は小さくなりましたが、1回あたりの平均損益は−4.016bpsから−6.382bpsへ悪化し、PFも0.63から0.59へ下がりました。

4時間足の10本計算・12本保有でも、133回・−245.1bpsが39回・−153.2bpsになっただけです。1回あたりの平均損益は−1.843bpsから−3.927bpsへ悪化し、PFも0.94から0.91へ下がりました。強弱差が大きいほど、その後も同じ方向へ動きやすいという結果にはなっていません。

長く保有するとコストは減るが、収益性までは改善しない

1時間足の2025年、計算期間6種の平均です。

保有期間平均取引数スプレッド前コストスプレッド後
1本6,214−575.6−15,723.7−16,299.4
4本1,553−1,167.3−5,037.3−6,204.6
12本517−704.9−3,388.1−4,093.0
24本258−649.5−2,981.4−3,630.8

保有期間を長くすると通貨ペアを入れ替える回数が減り、合計損失も小さくなります。それでも、6つの計算期間を平均した損益は、スプレッドを引く前からすべてマイナスです。頻繁な売買がコストを増やしていたのは確かですが、取引回数を減らすだけでは利益を生み出せませんでした。

逆張りでは6条件が両年黒字

最弱通貨を買い、最強通貨を売る逆張りでは、72条件中6条件が両年黒字でした。そのうち、4時間足の20本計算・24本保有は次の成績です。

取引数勝率PF損益
20246639.4%1.15+375.3bps
20256659.1%2.45+2,454.9bps

ただし、この条件は576通りの結果をすべて見た後で見つけたものです。2024年の時点で逆張り上位5条件を選び、同じ条件を2025年で検証すると、5つすべてが赤字で、平均は−1,745.4bpsでした。一部の条件で短期的な反転傾向は見られましたが、単純に売買を逆にすれば勝てるとは言えません。

2番目に強い・弱い通貨も使うと改善するか

最強通貨と最弱通貨だけでなく、2番目に強い通貨と2番目に弱い通貨も組み合わせ、同じ72条件を5通りの方法で検証しました。「上位2×下位2」では、上位2通貨と下位2通貨から作れる4組へ資金を均等に配分します。表は、スプレッドを差し引いた後に2024年と2025年の両方で黒字になった条件数です。

順位の組み方順張り逆張り
最強 × 最弱0/726/72
最強 × 2番目に弱い1/724/72
2番目に強い × 最弱1/7212/72
2番目に強い × 2番目に弱い2/726/72
上位2 × 下位2(4組へ均等配分)0/721/72

2番目に強い通貨や2番目に弱い通貨を使っても、順張りで両年黒字になったのは72条件中、最大でも2条件です。最強と最弱だけを選ぶ方法が極端すぎたのではなく、直近の強弱をそのまま追いかける順張り自体が、この2年間では安定しませんでした。成績が改善したのは逆張りです。

日足20本計算・12本保有の逆張りは、すべての組み合わせで黒字

過去20営業日の日足から強弱を計算し、順位の高い通貨を売って低い通貨を買い、12本後(約12営業日後)に決済する方法は、5通りの組み合わせすべてで両年黒字でした。まずは、各年の最初の取引可能日から12本ごとに通貨を選び直した結果です。

逆張りの組み方2024年2025年
最強を売る/最弱を買う+526.4bps+783.1bps
最強を売る/2番目に弱い通貨を買う+567.6bps+1,009.2bps
2番目に強い通貨を売る/最弱を買う+620.9bps+993.2bps
2番目に強い通貨を売る/2番目に弱い通貨を買う+642.5bps+1,207.0bps
上位2通貨を売る/下位2通貨を買う+589.4bps+998.1bps

近い設定でも同じ結果になるかを確かめるため、計算期間14・20・40本と、保有期間4・12・24本を組み合わせた日足9条件も比べました。5通りの通貨の組み合わせすべてが両年黒字になったのは、20本計算・12本保有だけです。20本計算・4本保有では該当なし、20本計算・24本保有では1通りだけでした。少し設定を変えるだけで結果が崩れており、パラメーターへの依存は強めです。

売買を始める日によって成績が変わる

日足で12本ごとに通貨を選び直す場合、1月の何日から売買を始めるかによって、その後の取引日が変わります。売買開始日を1営業日ずつずらした12通りを試すと、上位2通貨を売り、下位2通貨を買う方法の年間損益は、2024年が−321.6〜+970.9bps、2025年が−748.0〜+998.1bpsでした。特定の開始日だけを選ぶと、実際よりも安定した方法に見える可能性があります。

そこで資金を12等分し、毎日そのうち1つを新しい取引へ振り向け、約12営業日後に決済する方法を試しました。上位2通貨と下位2通貨を使う場合は、その日の投資分をさらに4組へ均等に配分します。表は12通りの開始タイミングの平均で、スプレッドを差し引いた後の年間損益です。

逆張りの組み方2024年2025年両年黒字の開始パターン
最強を売る/最弱を買う+499.9bps+450.6bps7/12
最強を売る/2番目に弱い通貨を買う+454.8bps+125.9bps5/12
2番目に強い通貨を売る/最弱を買う+315.6bps+603.4bps9/12
2番目に強い通貨を売る/2番目に弱い通貨を買う+266.1bps+291.4bps5/12
上位2通貨を売る/下位2通貨を買う+384.1bps+367.8bps8/12
02004006001位×8位1位×7位2位×8位2位×7位上位2×下位2年間損益(スプレッド後、bps)
20242025日足・20本計算・12本保有の逆張り(開始日12通りの平均)
日足で過去20本の強弱を逆張りし、12本保有した場合の損益。開始日を12通りに分けて平均すると、2位と8位の組み合わせ、上位2と下位2の組み合わせはいずれも両年プラスでした。

1組だけを取引する方法では、「2番目に強い通貨を売り、最弱通貨を買う」組み合わせが最も安定し、12通り中9通りの開始パターンで両年黒字でした。上位2通貨を売り、下位2通貨を買う方法では、2025年に最も成績が悪かった開始パターンが−748.0bpsでした。「2番目に強い通貨を売り、最弱通貨を買う」方法の−1,410.1bpsよりも、開始日による振れは小さくなっています。

開始日を分散した上位2・下位2の方法は、2025年前半が+336.3bps、後半が+31.5bpsでした。後半はほぼ横ばいなので、どのような相場でも利益が出るとは言えません。

今回の検証で比較的安定していた条件

今回の結果を具体的な手順にすると、次のようになります。

  1. 主要8通貨から作れる28通貨ペアの日足を、同じ時刻でそろえる
  2. 各通貨について、相手となる7通貨への過去20営業日の変化率を同じ比率で平均する
  3. 順位の高い通貨を売り、順位の低い通貨を買う
  4. 資金を12等分し、毎日1/12ずつ新規取引へ振り向けて約12営業日後に決済する
  5. 1組だけ取引するなら2番目に強い通貨を売って最弱通貨を買い、分散するなら上位2通貨を売って下位2通貨を買う4組へ均等に投資する

これは今回の候補で両年黒字だった条件ですが、近い設定へ変えると崩れており、今後の利益を保証するものではありません。約12営業日にわたって保有するため、今回含めていないスワップポイントの影響も受けます。また、強弱差が2024年の中央値以上のときだけ取引すると、上位2・下位2の方法は2025年に7回・+1,017.3bpsでした。しかし、取引回数が少なすぎるため、有効な追加条件とは判断しませんでした。

研究でいう通貨モメンタムとは同じではない

BISのワーキングペーパー「Currency Momentum Strategies」では、多数の通貨を過去の収益率で順位付けし、上位通貨を買って下位通貨を売る戦略に統計的に有意な収益があったと報告しています。一方で、収益の一部は取引コストで失われ、実際の運用には制約があることも指摘しています。

今回の結果と矛盾するとは限りません。違いは少なくとも3つあります。

  • 先行研究は多数の通貨へ分散するのに対し、今回は最大でも上位2通貨と下位2通貨から作る4組だけを取引している
  • 先行研究は月次データで強弱を計算して保有するのに対し、今回は1時間足から日足まで、1〜24本の保有期間を試している
  • 先行研究は多くの通貨を長期間検証しているのに対し、今回は主要8通貨の2024〜2025年だけを対象にしている

通貨モメンタムを支持する研究があっても、「過去14時間で最も強かった通貨を4時間買えば利益になる」とは限りません。順位の計算方法、同時に保有する通貨数、時間軸、取引コストが違えば、売買戦略としては別物です。

この検証で言えること

  1. 最強通貨を買い、最弱通貨を売る順張りは機能しなかった。 スプレッドを含めると、2024年と2025年の両方で黒字になった条件は0/72でした。
  2. 損失の原因は取引コストだけではない。 1時間足の14本計算・4本保有は、2025年にスプレッドを引く前から−1,249.1bpsでした。
  3. 通貨ペアを頻繁に入れ替えるほどコストが増える。 保有期間を1本から24本へ延ばすと、平均コストは15,723.7bpsから2,981.4bpsへ減りました。
  4. 2024年の最大5条件は2025年に通用しなかった。 5条件すべてが赤字で、平均−1,738.0bpsでした。
  5. 日足20本計算・12本保有の逆張りは両年黒字だった。 5通りの通貨の組み合わせで確認でき、開始日を分散した上位2・下位2の方法は2024年+384.1bps、2025年+367.8bpsでした。
  6. 通貨と開始日を分散しても、利益は保証されない。 上位2・下位2の方法で両年黒字になったのは12通りの開始パターンのうち8通りで、スワップポイントも反映していません。

関連記事

移動平均線クロスの設定検証は、1通貨ペアの過去の値動きからトレンドを判断する方法です。今回の通貨強弱は、同じ時刻に複数の通貨を比べて順位を付ける点が異なります。

RSIの期間と30/70を比べた検証では、直近の値動きを順張りと逆張りの両方で検証しています。プログラミングなしでバックテストする方法では、1通貨ペアのエントリー条件や決済方法を組み立てる手順を紹介しています。今回のように28通貨ペアを同時に順位付けする方法は、1つのチャートだけを使う通常のバックテストとは分けて考える必要があります。

補足

  • 対象は主要8通貨と、その全28通貨ペアです。新興国通貨、金、株価指数、暗号資産は含みません。
  • 検証期間は2024年と2025年の2年間だけです。異なる金融政策や長期的な相場環境でも同じ結果になるとは限りません。
  • 各通貨の強弱は、相手となる7通貨への変化率を同じ比率で平均しています。貿易比率、値動きの大きさ、金利差、移動平均からの乖離などを使う指標では結果が変わります。
  • 最強・2番目に強い通貨と、最弱・2番目に弱い通貨の組み合わせまでを検証しました。3番目以降の通貨を含む、より広く分散した方法や、値動きの大きさに応じて投資額を変える方法は試していません。
  • 決済は指定した本数を保有した後に行います。損切り、利確、順位が逆転したときの決済、トレーリングストップは含みません。
  • 実際の売値と買値の差は反映しましたが、手数料、スリッページ、保有中のスワップポイント、注文量による約定価格の違いは含みません。
  • 日足20本計算・12本保有の逆張りも、2024〜2025年の結果を比較して見つけた条件です。開始日を変えた検証と近い設定の比較は行いましたが、2026年以降のデータではまだ確認していません。

よくある質問

通貨強弱で最強通貨を買い、最弱通貨を売れば勝てますか?
今回の主要8通貨・28通貨ペアの検証では勝てませんでした。時間足3種、計算期間6種、保有期間4種の72条件で、スプレッドを含めて2024年と2025年の両方が黒字だった条件は0です。
通貨強弱はどう計算しましたか?
USD、EUR、JPY、GBP、AUD、NZD、CAD、CHFから作れる28通貨ペアの変化率を計算しました。各通貨について、相手となる7通貨に対する変化率を同じ比率で平均し、8通貨を強い順に並べています。
通貨強弱のおすすめ期間は何本ですか?
5、10、14、20、40、80本を比べましたが、最強通貨を買い、最弱通貨を売る順張りでは、両年とも黒字になった期間はありません。2025年に最も良かった80日計算・24日保有も、2024年は−720.1bpsでした。
最強通貨と最弱通貨を逆張りすれば勝てますか?
追加検証では、過去20営業日で強かった通貨を売り、弱かった通貨を買って約12営業日保有する方法が、検証した5通りの組み合わせすべてで両年黒字でした。ただし、2年間の結果から見つけた条件であり、スワップポイントやスリッページも含まないため、今後の利益を保証するものではありません。
上位2通貨と下位2通貨を組み合わせると成績は改善しますか?
上位2通貨と下位2通貨から作る4組へ均等に投資し、売買を始めるタイミングも12通りに分散したところ、スプレッド後の損益は2024年+384.1bps、2025年+367.8bpsでした。ただし、12通りすべてが両年黒字になったわけではありません。
MT4やMT5に通貨強弱は標準搭載されていますか?
標準指標にはありません。カスタム指標ごとに対象通貨、加重方法、計算期間が違うため、同じCurrency Strengthという名前でも値を比較する前に計算式を確認する必要があります。

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