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移動平均線の傾き設定:期間と比較本数を2,100通り検証

移動平均線の向きは、何本前と比べるかで変わります。期間と比較本数、SMA・EMAなどの計算方法をドル円で2,100通り検証。上向きと連続上昇の違い、時間足別の勝率と損益、前年のいちばん利益が出た設定、フィルターと取引コストを確かめました。

移動平均線が上向きなら買い、下向きなら売る。線の向きだけを使う売買でも、平均を計算する期間と、何本前の線と比べるかを決める必要があります。5本前より高いことと、5本連続で上昇することは同じではありません。

ドル円で2,100通りを測ると、両年黒字だった設定は1時間足で104/175、4時間足では28/175でした。初期設定の1時間足は年間では黒字でも、2025年前半は赤字です。期間を長くすれば安定する、という結果にもなりませんでした。

両年黒字の設定数 / 各175設定
15分足93 / 175
1時間足104 / 175
4時間足28 / 175
両年とも黒字片方以上の年で損益ゼロ以下
2024年と2025年の両方で黒字だった設定は、15分足93/175、1時間足104/175、4時間足28/175。

移動平均線の向きは何を測っているのか

移動平均線(MA)は価格を平均した線です。この記事では終値から計算し、現在のMAが指定本数前のMAより高ければ上向きと判定します。比べるのは両端の値で、途中の経路は問いません。

期間20の単純移動平均線(SMA)を1本前と比較すると、共通する終値が消え、差は「現在の終値から20本前の終値を引き、20で割った値」になります。5本前との比較なら、直近5本の終値の合計と、20本ずらした5本の合計との差を20で割ります。いまの価格が上がったかだけでなく、平均から外れる古い価格も線の向きを変えます。 この式は検証データでも照合しました。

画面上の角度は縦横の縮尺で変わるので、角度のしきい値は使いません。また、今回の売買条件は上向きを「より高い」と定義し、同値は売り側に含めます。横ばいを見送るルールとは区別してください。

移動平均線の傾きの設定と読み方

チャートではローソク足に重ねて移動平均線を表示します。Formiqのインジケーター設定で移動平均線を追加し、この記事の初期例なら期間20・SMAに合わせます。表示は1本で足り、色と線幅は見やすさのための設定です。別枠のオシレーターや角度の水準線は使いません。

売買ルールはバックテストのトレンド条件にある「移動平均線の向き」で設定します。表示用の線と売買条件は別の設定なので、チャートを見る際は期間と計算方法をそろえてください。

項目売買条件の初期値意味
期間20平均を計算する期間
計算方法SMASMAは単純平均。EMAは指数移動平均、WMAは加重移動平均、SMMAは平滑移動平均、HMAはハル移動平均も選べる
何本前と比べるか5現在の平均値と比べる過去の位置
向き上向きなら買い・下向きなら売り上向きだけなら買いのみ、下向きだけなら売りのみ。今回の主検証は売買両方

期間を伸ばすと、より古い価格が計算に入ります。比較本数を増やすと、より前の平均値と比べます。どちらも変化への反応を変えますが、意味は異なります。

期間20・SMA・5本前比較で、1時間足の2025年に上向きだった足は3,181本。そのうち854本、26.85%は5本連続で上昇していませんでした。「毎回上がっている線だけを買う」つもりなら、この条件では再現できません。

検証の条件

Formiqのバックテスト機能で実測しました。向きそのものの売買を測るため、他のエントリー条件は加えません。

項目条件
通貨ペアUSDJPY(米ドル/円)
期間2025-01-01〜2025-12-31。2024-01-01〜2024-12-31を同じ条件で比較
年内の分割2025年1〜6月、7〜12月を別々に検証
時間足15分足・1時間足・4時間足
MA期間5・10・20・30・50・100・200
比較本数1・2・5・10・20
計算方法SMA・EMA・WMA・SMMA・HMA
設定数各時間足・各期間175通り。合計2,100回
買い/売りMAが指定本数前より高ければ買い、それ以外は売り
決済反対の向きになった終値で決済し、同じ終値で反対側へ新規売買。期間末は強制決済
コスト・数量スプレッド0.3pips固定、0.1ロット、スリッページなし
主検証の損切り・利確なし。追加検証で個別に測定

2024年を参照期間として比較します。2025年のいちばん利益が出た設定を過去へ当てる比較は、将来に向けた検証ではありません。両年の結果を見た後の設定選びには、さらに未使用期間が必要です。

どの時間足で利益が出たか

時間足2024年の黒字数2025年の黒字数両年黒字2025年の中央値(pips)
15分足115/175115/17593/175+477.9
1時間足154/175122/175104/175+503.7
4時間足159/17536/17528/175−1,087.8

4時間足は2024年に159通りが黒字でしたが、2025年は36通りに減りました。線を長い時間足で読むだけでは、年間損益の安定を確保できません。

期間を長くすると利益は安定するか

1時間足で、比較本数と計算方法を変えた各25通りを集計しました。表の平均は各設定の年間損益の単純平均で、まとめて売買した口座の損益ではありません。

期間両年黒字2024年の平均(pips)2025年の平均(pips)
524/25+1,669.1+1,312.2
1023/25+1,753.4+1,230.7
2020/25+1,235.9+1,008.4
3016/25+974.4+663.8
5016/25+900.9+242.7
1003/25+1,285.4−488.6
2002/25+1,804.9−1,228.5

期間200は2024年の平均が+1,804.9pipsでも、2025年は−1,228.5pipsでした。期間5の両年黒字24/25を、そのまま将来の成功率とは読めません。設定間には共通の売買が多く、独立した試行ではないためです。

比較本数を増やしても黒字の設定は増えなかった

同じ1時間足で、各比較本数について期間と計算方法を変えた35通りです。

比較する本数両年黒字2024年の平均(pips)2025年の平均(pips)
124/35+1,115.7+665.7
223/35+1,305.1+484.1
520/35+1,803.4+256.8
1019/35+1,754.4+245.4
2018/35+895.6+305.7

比較本数5は2024年の平均が+1,803.4pips、2025年は+256.8pipsでした。過去のどの位置と比べるかによる損益差は、年を変えても一定ではありません。

EMAとHMAは両年黒字24/35

計算方法両年黒字2024年の平均(pips)2025年の平均(pips)
SMA17/35+1,107.0+169.4
EMA24/35+1,560.1+539.8
WMA21/35+1,494.7+333.2
SMMA18/35+1,632.6+169.2
HMA24/35+1,079.8+746.0

SMAの17/35に対し、EMAとHMAは24/35でした。ただし、これは1時間足で期間と比較本数を同じ候補から選んだ集計です。他の時間足への優位性を示す数字ではありません。

初期設定は年間黒字でも前半に負ける

期間20・比較本数5・SMAの実測値です。

時間足取引回数勝率年間損益(pips)
15分足20251,19134.34%+913.0
15分足20241,19935.36%+1,694.3
1時間足202528939.45%+875.5
1時間足202428237.94%+2,157.0
4時間足20256835.29%−2,252.3
4時間足20246535.38%+1,674.0

1時間足の2025年を前後半に分けると、損益の符号が変わります。

期間取引回数勝率損益(pips)
2025年前半14835.81%−671.4
2025年後半14243.66%+1,522.8

前後半はそれぞれ独立して開始・終了しています。半年の境目で保有取引を切り、新たに売買を始めるため、回数と損益の合計は通年の結果と一致しません。

前年のいちばん利益が出た設定は翌年の中央値を下回った

2024年の年間損益が最大だった設定を、変更せず2025年に当てました。損益と中央値の単位はpipsです。

時間足期間/比較本数・計算方法選定年の損益別年の損益別年の中央値
15分足50/20/SMA+3,855.5−1,921.5+477.9
1時間足20/5/WMA+3,792.1+438.3+503.7
4時間足50/2/SMMA+3,196.0−1,995.3−1,087.8

3時間足とも2025年の中央値を下回りました。15分足の期間50・比較本数20・SMAは、+3,855.5pipsから−1,921.5pipsへ反転しています。

逆に2025年のいちばん利益が出た設定を2024年へ当てると、次のようになります。

時間足期間/比較本数・計算方法選定年の損益別年の損益別年の中央値
15分足100/2/HMA+2,568.4+2,129.1+490.0
1時間足5/1/SMA+2,804.4−161.3+1,390.9
4時間足200/1/SMA+1,517.2+1,342.9+1,695.0

1時間足の期間5・比較本数1・SMAは、2025年に+2,804.4pipsでも2024年は−161.3pipsでした。期間5の集計が良くても、その中の単一設定が両年黒字とは限りません。

勝率が低くても利益が残るのはなぜか

初期設定の1時間足・2025年は289件、勝率39.45%、年間損益+875.5pipsでした。平均利益は+73.66pips、平均損失は−42.98pipsで、勝ち取引の値幅が負け取引より大きくなっています。

同じ初期設定の4時間足・2025年は68件、勝率35.29%、年間損益−2,252.3pips。平均利益+94.95pipsに対し平均損失−102.98pipsで、低い勝率を補えていません。勝率だけでなく、取引回数と勝ち負けの値幅を併せて読む必要があります。

ADXを足しても両年の損益は改善しなかった

初期設定の1時間足へ、新規売買だけを制限する条件を追加しました。ADXは期間14で方向を問わず、決済は元のMAの向きだけで判定します。時間帯制限も決済には適用しません。

追加条件取引回数年間損益(pips)
追加なし2024282+2,157.0
追加なし2025289+875.5
ADX ≥ 202024198+1,257.6
ADX ≥ 202025194+913.0
ADX ≥ 252024145+1,297.1
ADX ≥ 252025142−286.1
UTC 7〜16時2024238+2,675.4
UTC 7〜16時2025246+478.0

ADX ≥ 20は2025年に増益でも、2024年には減益でした。ADX ≥ 25では2025年が赤字です。時間帯制限も2024年の増益が2025年には続きませんでした。この比較だけから、ADXや時間帯に一般的な効果がないとは言えません。

損切り50・利確100は両年で増益

値幅はpipsです。反対の向きでの決済も残し、損切り・利確に先に届けばそこで決済します。

追加条件取引回数年間損益(pips)
追加なし2024282+2,157.0
追加なし2025289+875.5
損切り50・利確1002024532+2,290.0
損切り50・利確1002025524+2,027.1
損切り100・利確2002024341+1,893.3
損切り100・利確2002025337+914.5

損切り50・利確100は両年の年間損益を増やしました。ただし、損切り・利確後に同じ向きが続けば再エントリーするため、取引回数も増えます。元の取引の損失だけを短くした比較ではありません。損切り100・利確200は2024年に減益となり、値幅を広げれば改善が続くわけでもありません。

スプレッド1.0pipsでも初期設定の1時間足は黒字

2025年、損切り・利確なしの初期設定です。

スプレッド(pips)取引回数年間損益(pips)
0289+962.1
0.3289+875.5
1.0289+673.2

この反対条件決済ではスプレッドを変えても289件の売買時刻は変わりません。損益分岐スプレッドは約3.33pipsです。固定コストへの余裕を示す値であり、スワップや時間帯ごとのスプレッド拡大を含む実運用の保証ではありません。

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補足

対象はドル円の2024年と2025年です。判定にはその足までの終値を使い、同じ終値で約定するモデルです。期間開始前のローソク足も読み込んで平均値を準備しており、期間20・5本前比較なら少なくとも25本の履歴が必要です。スプレッドは固定、スリッページとスワップは含みません。同じ足で損切りと利確の両方に達した場合は損切りを優先します。

よくある質問

移動平均線の傾きは角度で測るのですか?
この検証では現在の平均値と指定本数前の平均値を比較します。画面の角度は縦横の縮尺で変わるため、角度のしきい値は使いません。
5本前より上向きなら、5本連続で上昇していますか?
途中で下がっていても成立します。期間20のSMAを使った1時間足・2025年では、上向き3,181本のうち854本、26.85%が5本連続の上昇ではありませんでした。
長い期間にするとダマシを減らせますか?
長くするだけで年間損益が良くなるとは言えません。1時間足で両年黒字だった設定は、期間5で24/25、期間200で2/25でした。これは向きだけで売買した結果で、他の条件に追加するフィルターの効果とは別です。
Formiqではどこで設定しますか?
バックテストのトレンド条件から「移動平均線の向き」を選び、期間・計算方法・何本前と比べるか・向きを指定します。チャートの線は移動平均線の表示設定で別に追加します。

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