記事一覧
公開著者検証証拠プライスアクションインジケーター比較検証バックテストドル円

プライスアクションと指標はどちらが強い?70条件を検証

ローソク足だけを読むプライスアクションと、オシレーターやトレンド系の指標を、同じ足・同じ決済・同じコストで売買しました。ドル円の2024年と2025年、3つの時間足で70条件を比較し、系統ごとの黒字数と、前年の1位が翌年どこへ落ちたかを確かめました。

ローソク足だけを読む「プライスアクション」と、オシレーターやトレンド系のインジケーター。どちらが強いのかは、同じ物差しに載せないと比べられません。このサイトの記事は1本ずつ別の設定・別の期間で測っているので、記事どうしの数字を並べても比較になりません。

そこでエンジンの条件カタログにある70条件を、出荷時の初期値のまま、同じ足・同じ決済・同じコストで1つずつ売買しました。結果は、どちらの系統も強くありませんでした。 いちばん強い系統は時間足で入れ替わり、前年いちばん強かった読み方は翌年に68件中47〜59位まで落ちます。

条件カタログ70件の内訳
両側を建てる45 / 70
片側だけ23 / 70
買いか売りかを決めない2 / 70
売買したのは、買いか売りかを決めない2件を除いた68件。
両側を建てる片側だけ買いか売りかを決めない
エディタの70条件のうち、両側を建てるのは45件。23件は初期値では片側だけ、2件は買いか売りかを決めない。

エディタの70条件は70個の戦略ではない

数える前に、条件の種類が3つに分かれます。

種類件数中身
買いか売りかを決めないフィルター2マスインデックス、アルサーインデックス
初期値では片側しか建てない23買いのみ19、売りのみ4
両側を建てる45残り

マスインデックスとアルサーインデックスは、買いか売りかを決めません。 水準を満たしているかどうかを答えるだけの条件で、エンジンは買いか売りかを決める条件が1つも無いときは建てません。これは不具合ではなく、backtest.ts に「リスクとボラティリティのフィルターは方向を作らない」と書かれた仕様です。単独で取引0件になるのが正しい挙動なので、以降の集計からは外し、売買したのは68条件です。

片側しか建てない23条件は、性質の違う2つが混ざっています。ハンマーは買いの形で、売るハンマーは存在しません。一方RSIの初期値は「30未満で買い」なので、水準を書き換えなければ売り側が出ません。前者は形の性質、後者は初期値の選び方です。

同じ物差しの作り方

70条件を並べるには、決済を全条件で同じにする必要があります。

項目条件
通貨ペアUSDJPY(米ドル/円)
期間2024-01-01〜2024-12-31、2025-01-01〜2025-12-31
年内の分割2025年1〜6月、7〜12月を別々に検証
時間足15分足・1時間足・4時間足
条件カタログの70条件を初期値のまま1つずつ。売買したのは68条件
売買条件が成立した終値で建てる
決済5本後・10本後・20本後のみ。損切り・利確・反対シグナルは使わない
コスト・数量スプレッド0.3pips固定、0.1ロット。10本決済のみスプレッド0でも再走
走らせた回数68条件×3時間足×4期間×4通り=3,264回

決済を固定本数にしたのは、23条件が反対側を持たないからです。 反対シグナルで決済すると、両側を建てる45条件だけに決済条件が付き、片側しか建てない23条件は決済がないまま残ります。それでは条件ではなく決済を比べることになります。以降の表は、断りがなければ10本決済・スプレッド0.3pipsです。

3,264回のうち取引0件だったのは4回だけで、すべて4時間足の2025年後半のトンボです。この形は3つの時間足を合わせても年に90回しか売買が出ないので、半年の4時間足には1回も入らないことがあります。

どの系統が強いかは時間足で入れ替わる

2024年と2025年の両方で黒字だった条件の数です。

系統条件数15分足1時間足4時間足
プライスアクション22278
オシレーター系24268
トレンド系162102
ボラティリティ系6143

1時間足でいちばん多いのはトレンド系の10で、4時間足では2まで落ちます。 4時間足で多いのはプライスアクションの8とオシレーター系の8です。15分足はどの系統も2以下でした。

条件数が系統ごとに違うので、割合も見ておきます。1時間足はトレンド系10/16とボラティリティ系4/6が上で、プライスアクション7/22とオシレーター系6/24が下です。4時間足はボラティリティ系3/6、プライスアクション8/22、オシレーター系8/24の順で、トレンド系は2/16まで落ちます。

どの系統も3つの時間足すべてで上位に来ません。 1時間足の1位だったトレンド系は4時間足で最下位、4時間足で最多のプライスアクションは1時間足で3番目です。系統を選ぶことが強さを決めているのではなく、時間足のほうが結果を動かしています。 ボラティリティ系は6条件しかないので、割合は1条件で17ポイント動きます。

2025年の年間損益の中央値も同じ形です。ボラティリティ系は6条件しかないので、中央値が1〜2条件で動きます。

系統15分足1時間足4時間足
プライスアクション−377.0+99.9+63.7
オシレーター系−328.7+264.2+219.0
トレンド系−492.9+394.6+5.6
ボラティリティ系+196.5+205.9+186.2

前年いちばん強かった読み方は翌年47〜59位へ落ちた

2024年に年間損益が最大だった条件を、変更せず2025年に当てました。順位は68件中です。

時間足2024年の1位2024年の損益2025年の損益2025年の順位2025年の中央値
15分足パーフェクトオーダー+2,137.3−836.447位−377.0
1時間足モメンタム+2,458.6−688.059位+216.1
4時間足パーフェクトオーダー+2,316.3−560.353位+102.8

3つの時間足すべてで、前年の1位が翌年は赤字でした。 1時間足では68件中59位で、中央値の+216.1pipsを大きく下回っています。

年をまたいだ順位の相関は、15分足+0.19、1時間足+0.09、4時間足−0.23でした。2025年の前半と後半で比べると、15分足−0.18、1時間足−0.22、4時間足−0.12で、3つとも符号がマイナスです。期間を半分に割っても順位は引き継がれません。

ちなみに2025年の1位は15分足が移動平均線の向き(+1,807.4pips)、1時間足がパラボリックSAR(+1,930.1pips)、4時間足が十字線(+1,955.3pips)でした。これを2026年の候補として読むのが、この表が否定している読み方です。

片側しか建てない条件は、その年の値動きを測っている

買いしか建てない条件は、価格が上がった年に有利になります。読み方の性能ではなく、その年の方向を測っている可能性があるので、対照群を置きました。

対照群は「毎足建てる」です。 条件を一切見ずに全部の足で買い、同じ本数だけ持ち、同じコストを払います。1取引あたりの平均pipsがこの値です。

時間足2024年2025年
15分足+0.356−0.328
1時間足+2.233−0.369
4時間足+9.185−0.776

2024年のドル円は買って持てば増える相場で、4時間足では10本持つだけで平均+9.185pipsでした。2025年はどの時間足もほぼゼロです。この差が、片側だけの条件にそのまま出ます。

時間足買いのみ19条件売りのみ4条件両側45条件
15分足202412件が黒字0件16件
15分足20255件2件15件
1時間足202410件0件29件
1時間足20259件3件31件
4時間足202410件3件24件
4時間足202512件2件27件

2024年、売りしか建てない4条件は15分足と1時間足で1件も黒字になりませんでした。 2025年に値動きの偏りが消えると2件と3件に戻ります。宵の明星や三羽烏の成績を2024年だけで読むと、形の良し悪しではなく年の方向を読んだことになります。

15分足では11条件がスプレッドで黒字から赤字になる

同じ10本決済を、スプレッド0でもう一度走らせました。

時間足スプレッド0で黒字0.3pipsで黒字コストで反転取引回数の中央値
15分足2024342861,172
15分足20253322111,164
1時間足202440391279
1時間足202544431294.5
4時間足20243937274
4時間足20254141073.5

2025年の15分足では、コストだけで11条件の符号が変わります。 1時間足と4時間足では0〜2条件です。取引回数の中央値が15分足で1,164回、4時間足で73.5回なので、同じスプレッドでも払う総額が約16倍違います。

決済までの本数を変えても順位はあまり動かない

10本決済を基準に、5本と20本でも走らせました。相関は10本決済との順位相関です。

時間足決済本数黒字の条件数中央値10本との相関
15分足514−584.4+0.60
15分足2027−137.1+0.53
1時間足534+2.4+0.51
1時間足2032−25.1+0.37
4時間足539+138.3+0.62
4時間足2036+53.4+0.65

黒字の条件数は1時間足で10本決済のとき43が最多で、5本にすると34、20本にすると32でした。年をまたぐ相関(+0.09〜+0.19)よりも、決済本数を変えたときの相関(+0.37〜+0.65)のほうが高いです。 同じ年の中で持ち時間を倍にするより、年を変えるほうが順位を壊します。

関連記事

補足

対象はドル円の2024年と2025年です。各条件は出荷時の初期値のまま1回だけ測っており、設定を詰めた結果ではありません。個別の条件を詰めた検証は指標ごとの記事にあります。判定にはその足までの終値を使い、同じ終値で約定します。条件ごとに必要な履歴が違うため、期間開始前のローソク足も読み込んでいます。アンカーVWAPは錨が必要な唯一の条件なので、各期間の先頭を錨にしました。スプレッドは固定、スリッページとスワップは含みません。系統の分け方はエディタのカタログの分類をそのまま使っており、結果を見てから線を引いていません。

よくある質問

プライスアクションのほうが指標より優れているのですか?
この検証では言えませんでした。1時間足の両年黒字はトレンド系が10/16でプライスアクションの7/22より多く、4時間足では逆にトレンド系が2/16まで落ちます。順位が時間足で入れ替わるので、系統の優劣としては読めません。
いちばん強い条件はどれですか?
年で変わります。2024年に年間損益が最大だったのは15分足と4時間足でパーフェクトオーダー、1時間足でモメンタムでしたが、いずれも2025年は赤字で、68件中47位・59位・53位でした。
条件を1つだけで使うのは現実的ですか?
現実的ではありません。この検証は条件どうしを同じ物差しに載せるために単独で走らせています。組み合わせたときの挙動は別の記事で測っています。
70条件すべてが売買できるのですか?
68条件です。マスインデックスとアルサーインデックスは買いか売りかを決めない条件で、エンジンは買いか売りかを決める条件が1つも無いと建てません。他の条件に足して使います。

Formiqは、リプレイ練習とノーコードバックテストをブラウザだけで使える無料のFXツールです。 チャートを開く、または無料プランでできることをご覧ください。