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ドル円の設定は他の通貨ペアで通用する?3,024通り検証

このサイトが公開した44の設定は、どれも米ドル/円で選んだものです。重複を除いた42通りをユーロドル・ポンドドル・ユーロ円へそのまま持ち込み、2023年から2025年で並べました。順位は引き継がれません。

このサイトの指標検証記事には、記事ごとに「この設定で走らせる」ボタンが付いています。検証した時点でそのボタンは44件あり、どれも米ドル/円で選んだ設定です。 だから読者が次に聞くこと、「この設定はユーロドルでも使えるのか」に、まだ誰も答えていませんでした。

(別の通貨ペアを測った記事も2本あります。通貨強弱の記事は28ペアを、RSIの買われすぎ・売られすぎの継続時間の記事はユーロドルと並べて測っています。ただしこの2本はボタンに売買ルールを持たないので、下の42通りには入っていません。)

答えを出すには、設定を選び直さないことが大事です。各記事には「この設定で走らせる」ボタンが付いていて、記事が公開した設定がそのまま入っています。その42通りを、通貨ペアと期間だけ差し替えて走らせました。 ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、ユーロ/円を加えた4ペア、2023年から2025年の3年、3つの時間足です。

結果を先に3つ書きます。

1つ目。順位はまったく引き継がれません。 42設定をドル円の年間損益順に並べた順位と、他ペアの順位の相関は27区分で−0.515から+0.47、中央値は−0.011でした。プラスだったのは27区分中13です。

2つ目。「両方のペアで黒字」の数は、2つのペアが無関係な場合の予測とほとんど同じです。 たとえばドル円で36通り、ユーロドルで5通りが黒字なら、無関係なら重なりは36÷42×5=4.3通り。実測は3通りでした。27区分で差は−4から+6、中央値は−0.2です。

3つ目。4ペア全部と3年全部で黒字だった設定は、3つの時間足すべてで0本でした。

010203040222716312023365682024302419142025年間損益がプラスだった設定の数(42通り中)
ドル円ユーロドルポンドドルユーロ円1時間足・42通り中
同じ42通りのうち、年間損益がプラスで終わった設定の数です(1時間足)。2024年はドル円で36通りが黒字になり、ユーロドルでは5通りでした。この数は設定ではなく、通貨ペアと年で決まっています。

なぜこの検証が必要だったのか

指標検証記事はどれも同じ形をしています。ある指標の設定を何十通りも回し、2年分で黒字だったものを数え、前年の1位を翌年に当てて確かめる。年をまたぐ検定は毎回やっています。

やっていなかったのは、通貨ペアをまたぐ検定です。 そして下の表を見ると、その省略には代償がありました。

1時間足で年間損益がプラスで終わった設定の数を、ペアと年で並べます。42通り中の数です。

ドル円ユーロドルポンドドルユーロ円
202322271631
202436568
202530241914

2024年のドル円は42通り中36通りが黒字です。同じ42通りが、同じ年のユーロドルでは5通りしか黒字になりません。

年間損益の中央値でも同じことが出ます。ペアごとに値幅が違うので、各ペアの1本あたり平均値幅(14本ATR)で割った数字で並べます。単位は「平均的な1本の値幅の何本ぶん稼いだか」です。

ドル円ユーロドルポンドドルユーロ円
2023+3.30+6.86−10.88+29.88
2024+47.17−51.94−59.20−25.48
2025+24.45+8.05−6.33−28.46

3年すべてで中央値がプラスだったのは、ドル円だけです。 ポンドドルは3年すべてマイナス、ユーロドルは2年、ユーロ円は1年でした。

42通りの設定は、この1つのペアの、この3年の窓の中で選ばれていたことになります。設定が悪いという話ではありません。探した場所が、たまたま「中央値でも稼げた」場所だったということです。

検証の条件

項目
通貨ペア米ドル/円・ユーロ/米ドル・英ポンド/米ドル・ユーロ/円
時間足15分足・1時間足・4時間足
期間2023年1月1日〜2025年12月31日(年ごとに分割)
設定公開済みの記事に載せた42通り
差し替えたもの通貨ペアと期間だけ
そのままのもの売買ルール・ロット0.1・終値約定・スプレッド0.3pips固定
pipsの数え方各ペア自身のpip(円ペアは0.01、ドルペアは0.0001)
比べ方各ペアの14本ATRの平均で割った数字を併記
回した数42通り×4ペア×3時間足×3年×スプレッド2種=3,024通り

設定はこちらで選んでいません。 各記事の「この設定で走らせる」ボタンが持っている設定をそのまま使いました。ボタンは44件ありますが、ボリンジャーバンドの3記事が同じ設定(期間20・2σのブレイク)なので1つにまとめ、42通りとしています。

ペアの選び方には理由があります。 ユーロドルとポンドドルはドル円とドルを共有し、円を持ちません。ユーロ円は円を共有し、ドルを持ちません。もしドル円の設定がユーロ円へは通用してユーロドルへは通用しないなら、効いているのは円のほうだと言えます。逆なら、ドルのほうです。ドル以外を含むペアが1つも無いと、この2つを「ペアによって難易度が違う」から切り離せません。

pipsをそのまま足し合わせて比べていないことも書いておきます。1時間足1本の平均値幅は、ドル円24.85pips、ユーロドル15.27pips、ポンドドル17.12pips、ユーロ円24.72pipsです。同じ「1,000pips」がペアによって別の意味になるので、年間損益はこの値幅で割った数字も併記しました。

ドル円の順位は他のペアの順位を予測するか

42設定をドル円の年間損益順に並べ、同じ42設定を他ペアの年間損益順に並べて、2つの並びがどれくらい似ているかを測ります。+1なら同じ順番、0なら無関係、−1なら逆順です。同順位は平均して扱いました。

時間足ユーロドルポンドドルユーロ円
15分足2023−0.061+0.106+0.122
15分足2024+0.077−0.162−0.011
15分足2025+0.314+0.346+0.369
1時間足2023−0.027−0.185−0.126
1時間足2024−0.270−0.072−0.218
1時間足2025−0.198−0.266−0.515
4時間足2023+0.363+0.238−0.022
4時間足2024+0.180−0.106+0.272
4時間足2025+0.382+0.470+0.117

27区分の範囲は−0.515から+0.47、中央値は−0.011です。 プラスだったのは13区分でした。

時間足で符号が偏っているのも見ておいてください。1時間足は9区分すべてがマイナスで、4時間足は9区分中7がプラスです。 15分足は3つがマイナスです。もし「ドル円で良かった設定は他ペアでも良い」という関係が本当にあるなら、時間足を変えただけで符号が反転することはありません。

無関係だとしたらいくつ重なるか

相関の数字だけでは、それが大きいのか小さいのか判断しにくいです。もっと読みやすい形にします。

ドル円で黒字だった設定が42通り中36通り、ユーロドルで5通りだったとします。2つのペアが完全に無関係なら、両方で黒字になる設定は36÷42×5=4.3通りのはずです。 実測は3通りでした。

これを27区分で並べます。左が実測、右が無関係な場合の予測です。

時間足ユーロドルポンドドルユーロ円
15分足20234/5.72/2.510/7.9
15分足20242/3.24/5.04/3.6
15分足20258/6.36/4.69/7.4
1時間足202312/14.17/8.416/16.2
1時間足20243/4.33/5.14/6.9
1時間足202518/17.112/13.66/10.0
4時間足20236/5.98/5.46/6.3
4時間足20246/5.34/5.320/19.8
4時間足202516/14.922/16.08/5.7

実測と予測の差は−4から+6で、中央値は−0.2でした。 つまり「ドル円で黒字だった」という情報は、そのペアで黒字になる確率をほとんど動かしません。

円を共有しても近づかない

ユーロ円を入れた理由に戻ります。円を共有していれば近づくのかを見ます。

時間足ユーロ円との相関の中央値ユーロドルとポンドドルの中央値
15分足+0.122+0.0915
1時間足−0.218−0.1915
4時間足+0.117+0.3005

円を共有しているほうが高い、という結果にはなりませんでした。 15分足はわずかに高く、1時間足はわずかに低く、4時間足では0.117対0.3005で明確に低いです。ユーロ円側は3つの値の中央、ドル側は6つの値の中央なので、桁を4つまで出しています。ドルを共有しても円を共有しても、順位は引き継がれていません。

ドル円の1位を他のペアへ持ち込む

このシリーズが年をまたいで毎回やっている検定を、ペアをまたいでやります。その時間足・その年にドル円で年間損益1位だった設定を選び、他の3ペアに当てます。 相手のペアでの順位も出します。

時間足ドル円で1位だった設定ドル円ユーロドルポンドドルユーロ円
15分足2023パラボリックSAR+1,315.1−505.1(24位)−1,962.0(34位)−1,124.4(36位)
15分足2024一目均衡表+2,261.3−1,553.8(34位)−720.8(23位)−513.7(14位)
15分足2025一目均衡表+2,723.2−1,589.4(34位)−1,306.5(22位)+739.8(7位)
1時間足2023スーパートレンド+1,539.6+1,414.8(2位)+177.9(13位)+1,346.0(14位)
1時間足2024MACD+3,152.1−389.3(16位)−163.2(8位)−373.5(17位)
1時間足2025ウェーブトレンド+3,283.4−612.5(34位)+66.2(18位)−1,421.3(33位)
4時間足2023明けの明星・宵の明星+2,449.6+534.7(5位)+559.9(6位)+1,671.7(4位)
4時間足2024ピンバー+3,498.7+386.9(1位)−275.3(13位)+804.1(13位)
4時間足2025ストキャスティクス+2,959.6+211.8(22位)+507.4(17位)−1,082.0(30位)

27回の持ち込みのうち、黒字で終わったのは12回です。 順位は1位から36位まで散らばりました。相手のペアの中央値を上回ったのは16回、上位10位に入ったのは7回です。

時間足で結果が分かれます。15分足は9回中1回しか黒字になりませんでした。4時間足は9回中7回です。 1時間足は4回でした。

いちばん良く伝わる2行を並べます。2023年の4時間足で1位だった明けの明星・宵の明星は、ユーロドル・ポンドドル・ユーロ円のすべてで黒字になり、順位はユーロドル5位・ポンドドル6位・ユーロ円4位でした。2025年の1時間足で1位だったウェーブトレンドは、ドル円で+3,283.4pipsを出しながら、ユーロドルで34位、ユーロ円で33位です。同じ手続きで選んだ1位が、片方は移り、片方は移りません。

4ペア全部で黒字だった設定はあるか

いちばん厳しい条件で数えます。

時間足4ペア全部で黒字ドル円だけ
15分足2023015
15分足2024219
15分足2025324
1時間足2023322
1時間足2024136
1時間足2025130
4時間足2023219
4時間足2024132
4時間足2025524

42通り中、4ペア全部で黒字だったのは年によって0通りから5通りです。 そして4ペア全部と3年全部を同時に満たした設定は、3つの時間足すべてで0通りでした。

1時間足の2024年が分かりやすいです。ドル円だけなら36通りが黒字ですが、4ペア全部で黒字だったのは1通りだけです。

スプレッドで消える分は時間足で決まる

年間損益がマイナスなのは、設定が外れているからかコストを払いすぎているからか。スプレッドを0にして走らせ直し、切り分けます。左が0のとき、右が0.3pipsのときの黒字設定数です。

時間足ドル円ユーロドルポンドドルユーロ円
15分足202323→1521→1613→727→22
15分足202423→1914→719→1112→8
15分足202531→2417→119→814→13
1時間足202325→2229→2719→1633→31
1時間足202436→3610→57→68→8
1時間足202531→3029→2421→1914→14
4時間足202320→1913→1313→1214→14
4時間足202432→327→77→726→26
4時間足202524→2427→2629→2811→10

15分足では0.3pipsのスプレッドが12区分すべてで黒字設定を減らし、最大で8通り減らしました(2023年のドル円、23通りから15通り)。4時間足では12区分のうち7区分で1通りも減りません。

これはこのシリーズが毎回確認している「コスト=取引回数×スプレッド」と同じ形です。時間足が短いほど回数が多く、スプレッドで消える分が大きくなります。通貨ペアを変えたときの差は、スプレッドでは説明できません。 2024年の1時間足でユーロドルが5通りしか黒字にならないのは、スプレッドを0にしても10通りだからです。

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補足

  • 対象は4通貨ペア・3年間です。時間足は15分足・1時間足・4時間足です
  • 約定は終値、スプレッドは全ペア共通で0.3pips固定、ロットは0.1、スリッページはありません。実際のスプレッドはペアごとに違うので、この数字はペア間の比較のためのものです
  • 設定は各記事の代表1通りだけで、その記事が回したパラメータ全体ではありません
  • ドル以外の通貨同士の組み合わせはユーロ/円1本だけです。円とドルのどちらが効くかについて、この記事が言えるのは「どちらも引き継がれていない」までです

よくある質問

ドル円で見つけた設定はユーロドルでも使えますか?
この検証では引き継がれませんでした。42設定をドル円の年間損益順に並べた順位と、ユーロドルの順位の相関は9区分で−0.27から+0.382です。ドル円で1位だった設定をユーロドルへ持ち込んだ9回のうち、黒字は4回でした。
通貨ペアには相性のようなものがありますか?
この検証で見えたのは、指標との相性より年ごとの差です。1時間足の2024年は、ドル円で42通り中36通りが黒字なのに、ユーロドルは5通り、ポンドドルは6通り、ユーロ円は8通りでした。同じ42設定です。
円が絡むペアなら通用しやすいのですか?
そうはなりませんでした。ユーロ円はドル円と円という同じ通貨を共有していますが、ドル円との順位相関の中央値は15分足0.122・1時間足−0.218・4時間足0.117で、ユーロドルとポンドドルの0.0915・−0.1915・0.3005と比べて高くありません。4時間足では明確に低いです。
pipsで比べていいのですか?
そのままでは比べられません。1時間足1本の平均値幅はドル円24.85pips、ユーロドル15.27pipsで1.6倍違います。この記事では各ペアのpipで数えたうえで、年間損益をそのペアの平均値幅でも割った数字を併記しています。
Formiqで別の通貨ペアを試せますか?
試せます。各記事の「この設定で走らせる」ボタンでバックテストに設定が入るので、通貨ペアだけを変えて走らせ直せば同じ比較ができます。この記事の3,024通りもその形で回しました。

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