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一目均衡表「三役好転で買い」は勝てる?280通り検証した結果

一目均衡表の5本、三役好転、時間論を解説。2022〜2025年のUSD/JPY・15分足・1時間足・4時間足で、280設定の損益と9・17・26などの変化日に局所高安ができた割合を検証します。

一目均衡表は、転換線、基準線、先行スパンA・B、遅行スパンをローソク足に重ねる指標です。名前は多いものの、使っている計算は「一定期間の最高値と最安値の中間」と「線を26本ずらして描く」の2つに整理できます。

USD/JPYの2022〜2025年で4つの読み方を測ると、1時間足・標準9/26/52の三役は、2022年+558.1pips、2023年−1,012.7pips、2024年+536.0pips、2025年+1,085.2pipsでした。3条件が揃っても4年連続では残りません。一方、価格と基準線の標準設定は4年すべて黒字でした。

時間論の変化日も高安の選び方を固定して測りました。9・17・26・33・42・52・65・76本目を合わせた候補足の局所高安率は、3つの時間足で34.19〜35.49%でした。ただし3本前・3本後の対照足も34.23〜35.04%で、8数値全体に固有の上乗せは確認できませんでした。26本目だけは1時間足で39.52%、対照足で32.59%となり、別に見る価値がある結果でした。

−10000+1000+2000+3000+745+769+2041+67転換線×基準線+715+1140+3122+985価格×基準線+562+10+902+683価格×雲+558−1013+536+1085三役年間損益(pips)
20222023202420251時間足・標準9/26/52・反対シグナルで決済
価格と基準線のクロスは4年すべて黒字でした。標準設定の三役は2022・2024・2025年に黒字でも、2023年は−1,013pipsでした。

一目均衡表の5本は何を測っているのか

標準期間計算描く位置
転換線9過去9本の(最高値+最安値)÷2現在
基準線26過去26本の(最高値+最安値)÷2現在
先行スパンA9と26(転換線+基準線)÷226本先
先行スパンB52過去52本の(最高値+最安値)÷226本先
遅行スパン26現在の終値26本前

先行スパンAとBの間が「雲」です。価格が雲の上なら上向き、下なら下向き、雲の中なら方向が定まっていないと読むのが一般的です。

先行スパンは予測値ではない

先行スパンは26本先に描かれますが、未来の価格は計算に入りません。たとえば現在のチャート上に見える先行スパンBは、26本前の時点で過去52本を調べた中間値です。右へずらすのは表示方法であり、予測計算ではありません。

遅行スパンを現在の判断へ戻す

遅行スパンは現在の終値を26本前に描きます。そのため、26本前の位置にある遅行スパンと当時の価格を比べることは、現在の終値と26本前の価格を比べることと同じです。

実装上も、遅行スパンの各表示値は26本後の終値と一致し、12の時間足・年区分で比較した値に不一致はありませんでした。これは未来を当てた結果ではなく、現在の終値を過去へ移しているという恒等関係です。先読みを避けるなら、現在足では「現在の終値>26本前の終値」の形で使います。

時間論の変化日は当たるのか

8数値全体では、局所高安ができる割合が通常の日と変わりませんでした。一目均衡表は5本の線だけではありません。体系には時間論・波動論・値幅観測論があり、時間論では重要な高値や安値を起点にローソク足の本数を数えます。IFTAの2025年教材は9・17・26・33・42・51・65・76などを挙げています。一方、一般向けの解説には51ではなく52を載せた資料もあり、数値が一致していません。

ここでいう「変化日」は、上昇か下落かを決める売買シグナルではありません。反転のほか、同じ方向への加速や変化時期の延長と読む場合もあります。以下では意味を広げず、予定した足の近くに局所的な高値または安値ができたかだけを測りました。

起点と的中条件を結果を見る前に固定した

項目機械的な定義
起点その足が前後5本の中で唯一の最高値または最安値。5本後に確定
変化日の数値9・17・26・33・42・52・65・76。起点を1本目として数える
的中予定足の前後1本以内に、同じ定義の高値または安値がある
対照同じ起点から各数値の3本前と3本後を予定足にする
集計同じ予定足への重複は1本にまとめ、2022〜2025年を年別にも集計
不確実性月単位で5,000回再標本化した差の95%区間

この定義なら、起点は最短の9本目より前に確定します。起点と終点は両方数えるため、コード上の予定足は「起点+数値−1」です。51と52の食い違いは、52を主集計、51を感度確認に分けました。

候補足の34〜35%に局所高安ができたが、対照足も同率

時間足候補足局所高安になった候補足候補足の局所高安率対照足の局所高安率差の95%区間
15分足63,19221,65034.26%34.23%−0.21〜+0.29pt
1時間足15,9235,44434.19%34.84%−1.17〜−0.13pt
4時間足4,1421,47035.49%35.04%−0.66〜+1.58pt

8数値をすべて使うと、前後1本を含む候補範囲は全ローソク足の96.26〜96.73%を覆いました。ほぼ全期間が候補になるため、的中率だけを見ても時間論が変化を選び分けたとは言えません。51へ置き換えても、候補足と対照足の差は15分足+0.17pt、1時間足−0.17pt、4時間足+0.48ptにとどまりました。

26本目は1時間足と4時間足で対照を上回った

基本数値9・17・26だけに絞ると、1時間足は候補足35.93%、対照足33.58%で+2.35ptでした。差の95%区間は+1.14〜+3.54ptです。15分足は+0.57pt、4時間足は−0.08ptでした。

差の大半は26本目にありました。1時間足の26本目は4年合計で1,195/3,024本が局所高安となり、39.52%でした。23本目・29本目を使った対照足は32.59%で、差は+6.93pt、95%区間は+5.10〜+8.75ptです。4時間足も39.34%対32.00%でしたが、15分足は34.61%対34.62%でした。

時間足26本目の局所高安率対照足の局所高安率
1時間足202239.24%33.87%+5.37pt
1時間足202339.97%32.46%+7.52pt
1時間足202440.22%32.18%+8.04pt
1時間足202538.64%31.84%+6.79pt
4時間足202236.95%33.79%+3.16pt
4時間足202335.64%29.53%+6.11pt
4時間足202445.41%31.37%+14.04pt
4時間足202538.95%33.24%+5.71pt

26本目の差は起点を前後3本・5本・10本で定義し直しても、1時間足で+3.99〜+7.13pt、4時間足で+3.25〜+8.64ptでした。ただし、これは売買方向、損益、加速や延長を測った結果ではありません。複数の数値と時間足を比較した中の結果なので、別期間と別通貨で同じ差が残るまでは「26本目なら反転する」とは判断できません。また、過去の高安間隔を次の高安から投影する対等数値は、どの高安を結ぶかという別の定義が必要なため、この集計には含めていません。

一目均衡表の設定と読み方

MT4・MT5では「挿入 → インディケータ → トレンド → Ichimoku Kinko Hyo」から追加します。チャート上に5本の線が重なり、先行スパンAとBの間が塗られます。色はプラットフォームやテンプレートで変わるため、色ではなく線名で確認してください。

設定項目初期設定意味
Tenkan-sen9転換線が調べる本数
Kijun-sen26基準線が調べる本数。先行・遅行のずらし幅にも使う
Senkou Span B52先行スパンBが調べる本数

遅行スパンに独立した期間設定はありません。基準線の26がずらし幅を兼ねます。

三役好転・三役逆転を含む4つの売買ルール

読み方買い売り実際に使う期間
転換線×基準線転換線が基準線を上抜け転換線が基準線を下抜け転換線・基準線
価格×基準線終値が基準線を上抜け終値が基準線を下抜け基準線だけ
価格×雲終値が雲より上終値が雲より下転換線・基準線・先行スパンB
三役転換線>基準線、終値>雲、現在終値>基準線期間前の終値がすべて成立3条件がすべて反対3期間すべて

三役の買い側が三役好転、売り側が三役逆転です。3つが同じ足で同時にクロスすることではなく、3条件が同時に成立している状態を指します。どのルールも反対シグナルで決済します。価格と雲のルールは雲の中で、三役は3条件が揃わない間、新規売買を始めません。

設定を変えるなら、先に読み方を決めます。価格と基準線のクロスでは転換線9と先行スパンB52を変えても結果は変わりません。転換線と基準線のクロスでも先行スパンB52は使われません。

検証の条件

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2022-01-01〜2025-12-31。各年を同条件で集計
時間足15分足・1時間足・4時間足
転換線5・7・9・12・18
基準線20・22・26・30・36
先行スパンB40・44・52・60・72
設定数転換線×基準線25、価格×基準線5、価格×雲125、三役125。1時間足あたり280設定
決済反対シグナルまで。エントリーと決済に同じルールを使用
損切り・利確なし。別節で追加検証
スプレッド・約定0.3pips固定・終値約定
ロット0.1ロット

各設定は2025年前半と後半にも分けて測りました。買いと売りは全設定で両方成立しています。

どの読み方が4年とも勝てたか

1時間足の基準線クロスは5設定すべてが4年とも黒字でした。各セルの分母は、その読み方で意味のある設定数です。

時間足読み方2022年2023年2024年2025年4年すべて2025年中央値
15分足転換線×基準線20/258/2525/2524/254/25+1,315.9pips
15分足価格×基準線4/50/55/55/50/5+541.8pips
15分足価格×雲125/125103/125125/125125/125103/125+1,148.8pips
15分足三役102/12584/125125/125101/12568/125+859.7pips
1時間足転換線×基準線25/2519/2517/2511/257/25−35.5pips
1時間足価格×基準線5/55/55/55/55/5+1,236.6pips
1時間足価格×雲120/12557/125125/125120/12554/125+437.7pips
1時間足三役125/1257/125110/12587/1255/125+259.4pips
4時間足転換線×基準線15/252/2524/253/250/25−984.0pips
4時間足価格×基準線4/50/54/54/50/5+255.8pips
4時間足価格×雲125/12548/125125/1250/1250/125−2,310.6pips
4時間足三役125/12514/125125/1250/1250/125−2,136.8pips

4年すべて黒字だった設定は、15分足の価格と雲103設定、三役68設定、1時間足の価格と基準線5設定などです。1時間足の三役は2022年に125設定すべてが黒字でも、2023年は7設定まで減りました。4時間足には4年連続黒字の設定がありません。

基準線はなぜ横ばいが多いのか

終値平均ではなく、期間の高安が更新されないと動かないからです。約6割の足が横ばいでした。期間中に最高値か最安値が更新されないかぎり、中間値が横ばいになりやすい計算です。

時間足転換線が前の足と同値基準線が前の足と同値雲の中にいた足
15分足202235.37%60.14%14.72%
15分足202334.57%59.74%14.82%
15分足202434.59%59.30%14.12%
15分足202533.81%58.39%14.89%
1時間足202235.98%59.74%13.14%
1時間足202336.47%61.25%14.43%
1時間足202435.92%60.16%13.01%
1時間足202534.92%57.65%14.25%
4時間足202235.36%58.00%9.93%
4時間足202336.36%60.35%10.50%
4時間足202436.88%58.54%10.89%
4時間足202534.66%59.94%15.16%

基準線は12区分すべてで57.7〜61.3%の足が横ばいでした。価格と基準線のクロスは2025年の勝率26.26%でしたが、平均の勝ち幅+67.47pipsに対して平均の負け幅は−21.62pipsでした。

去年よかった読み方は今年もよいか

なりませんでした。1時間足で、2024年にいちばん良かった設定をそのまま2025年へ移します。

読み方2024年にいちばん良かった設定2024年同じ設定の2025年2025年の中央値
転換線×基準線5/22+2,954.4pips−152.0pips−35.5pips
価格×基準線基準線20+3,224.8pips+1,072.0pips+1,236.6pips
価格×雲5/30/72+2,069.9pips−10.3pips+437.7pips
三役9/22/72+1,736.0pips+824.1pips+259.4pips

単独3ルールで前年にいちばん良かった設定は、翌年の中央値を下回りました。三役で前年にいちばん良かった9/22/72は翌年も+824.1pipsで、中央値を上回ったものの125設定中24位です。1年の首位がそのまま翌年の首位になったわけではありません。

標準設定9/26/52はどうか

三役が勝率と年間損益の両方で4ルール中最大でした。標準9/26/52を1時間足・2025年で比べます。

読み方取引回数勝率勝ちの平均負けの平均年間損益
転換線×基準線27040.37%+65.67pips−44.05pips+67.0pips
価格×基準線55626.26%+67.47pips−21.62pips+985.3pips
価格×雲14135.46%+103.26pips−49.23pips+683.3pips
三役9943.43%+103.63pips−60.20pips+1,085.2pips

価格と基準線のクロスは4回に1回ほどしか勝っていませんが、+985.3pipsでした。三役は取引回数を99回まで絞り、勝率と年間損益の両方で4ルール中最大です。ただし125設定の中央値は+259.4pipsなので、標準9/26/52だけを見て三役全体を評価すると上振れを含みます。

ADXや損切りを足すとどうなるか

効果は読み方と年で変わり、ADX25は価格と雲を両年赤字にしました。標準9/26/52の1時間足へ条件を追加した結果です。

読み方追加条件2024年(取引回数・損益)2025年(取引回数・損益)
転換線×基準線なし269回・+2,041.0pips270回・+67.0pips
転換線×基準線ADX25以上40回・+1,091.3pips39回・+753.0pips
転換線×基準線損切り50・利確100267回・+2,310.8pips260回・+2,013.8pips
価格×基準線なし483回・+3,121.8pips556回・+985.3pips
価格×基準線ADX25以上52回・+251.2pips52回・+820.3pips
価格×基準線損切り50・利確100451回・+2,303.1pips521回・+2,264.6pips
価格×雲なし135回・+902.4pips141回・+683.3pips
価格×雲ADX25以上64回・−13.9pips65回・−996.8pips
価格×雲損切り50・利確100395回・+935.4pips355回・+1,558.2pips
三役なし105回・+536.0pips99回・+1,085.2pips
三役ADX25以上53回・+447.0pips56回・−590.1pips
三役損切り50・利確100309回・+901.8pips292回・+1,046.0pips

ADX25以上は転換線と基準線の2025年を改善しましたが、価格と雲は両年、三役は2025年に悪化しました。損切り50・利確100も三役の2025年を+39.2pips減らしています。追加条件の効果は読み方と年で変わりました。

スプレッドに弱いのはどれか

転換線と基準線のクロスです。1時間足・2025年・標準設定でスプレッドだけを変えました。

読み方取引回数0pips0.3pips0.6pips損益分岐スプレッド
転換線×基準線270+148.0+67.0−14.00.55pips
価格×基準線556+1,152.0+985.3+818.52.07pips
価格×雲141+725.5+683.3+641.05.15pips
三役99+1,114.8+1,085.2+1,055.511.26pips

転換線と基準線のクロスは、スプレッドが0.6pipsになると赤字です。標準設定を使う場合でも、通貨ペアや時間帯の実際のコストを入れずに判定できる余裕はありません。

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補足

検証はFormiqのバックテスト機能で、2022〜2025年のUSD/JPYを終値約定・0.3pips固定で測定しました。先行スパンを現在位置で使うには52本の計算期間と26本の描画ずらしが必要なため、2021年12月から過去データを読み込んでいます。遅行スパンの直接比較は先読みを避け、現在の終値と26本前の終値に置き換えています。

よくある質問

一目均衡表の標準設定は?
転換線9、基準線26、先行スパンB52で、先行スパンと遅行スパンを26本ずらします。この記事の1時間足では、標準設定の価格と基準線のクロスが2022〜2025年の4年すべてで黒字でした。
転換線と基準線の違いは?
どちらも期間内の最高値と最安値の中間です。転換線は9本、基準線は26本を使うため、基準線のほうが動きにくくなります。実測でも基準線は57.7〜61.3%の足で前の足と同じ値でした。
先行スパンは未来を予測している?
いいえ。現在までに計算できる値を26本先へ描いているだけです。現在位置の雲は26本前に計算された値なので、未来価格は使っていません。
遅行スパンはどう使う?
現在の終値を26本前へ描いた線です。現在の判断に直すと、現在の終値が26本前の価格より上か下かを比べる26本モメンタムになります。線を現在足の位置で読むと未来の終値になるため、検証では使えません。
一目均衡表で勝率が高かった読み方は?
1時間足・標準9/26/52・2025年では三役好転・逆転が43.43%で最も高く、年間損益も+1,085.2pipsで4ルール中最大でした。ただし125設定の中央値は+259.4pipsで、特定設定だけでは判断できません。
一目均衡表の時間論とは?
重要な高値・安値から9・17・26などを数え、相場の変化時期を探す考え方です。機械的に選んだ高安を起点にすると、8数値全体の局所高安率は15分足34.26%、1時間足34.19%、4時間足35.49%で、3本前・後の対照日とほぼ同じでした。

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