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パラボリックSARParabolic SARインジケータートレンド順張りバックテストドル円

パラボリックSARの設定と使い方:既定値は年で1位から33位

パラボリックSARの増分と上限を36通り、ドル円の3時間足と2年で検証。既定値0.02/0.20は1時間足で両年黒字でしたが、4時間足では2025年1位から2024年33位へ反転しました。設定の意味、勝率、コストまで実測します。

パラボリックSAR(Parabolic Stop and Reverse)は、ローソク足の上下に点を置き、値動きが続くほど点を価格へ近づけるトレンド指標です。点が価格の下から上へ移れば上昇から下降への転換、上から下へ移れば下降から上昇への転換と読みます。

設定は増分0.02、上限0.20が広く使われています。小数が2つ並ぶため、どちらを動かすと何が変わるのかは分かりにくいところです。そこで増分6種と上限6種を組み合わせ、ドル円の15分足・1時間足・4時間足で36通りを測りました。

先に結論を書くと、1時間足は36通り中23通りが2024年と2025年の両方で黒字でした。ただし設定の順位は年をまたいで残りません。既定値は4時間足で2025年1位、2024年33位です。1時間足でも2025年前半34位から後半3位へ入れ替わりました。

0122436211111M15302923H13284H4
20242025両方の年で黒字増分6種×上限6種=36設定
1時間足は36設定中23設定が両方の年で黒字でした。4時間足は2024年に最も良く見えましたが、2025年も残ったのは4設定だけです。

パラボリックSARは何を測っているのか

SARの次の点は、現在の点をトレンド中の極値へ少しずつ近づけて作ります。

次のSAR = 現在のSAR + 加速係数 ×(極値 − 現在のSAR)

上昇中の極値はその上昇が始まってからの最高値、下降中は最安値です。新しい高値または安値を作るたびに加速係数を増やし、設定した上限で止めます。点がローソク足に追いついて反対側へ移ると、向きが切り替わります。

既定値0.02・0.20なら、加速係数は0.02から始まります。極値を更新するたびに0.04、0.06と増え、9回の更新で0.20です。その後は上限0.20のまま点が価格を追います。

この仕組みから、つまみの役割は分かれます。

  • 増分:最初の追いつく速さと、極値更新後に加速する幅を同時に変える
  • 上限:長く続いた値動きの後半で、点がどこまで速く追いつくかを制限する

点は損切り価格の候補としても紹介されますが、この記事で測るのは点が反対側へ切り替わった足の終値で売買するシステムです。点そのものの価格で約定する検証ではありません。

パラボリックSARの設定と読み方

追加すると、ローソク足に重なる1列の点が表示されます。価格の下にある点と上にある点が交互に続き、下の別枠や水準線は使いません。

環境追加する場所
MT4 / MT5挿入 → インディケータ → トレンド → Parabolic SAR
TradingViewインジケーター検索から Parabolic SAR
ブラウザ(Formiq)インジケーター一覧から「パラボリックSAR」

設定ダイアログに並ぶ2項目

項目既定値意味
Step(増分)0.02加速係数の初期値であり、極値を更新するたびに足す値
Maximum(上限)0.20加速係数がこれ以上は大きくならない上限

0.02は価格の2%ではありません。現在の点から極値まで残っている距離の2%を進むという意味です。上限0.20なら、最大でも残り距離の20%ずつ進みます。

画面に出るもの

表示されるのはSARの点1系列だけです。一般には点が価格の下なら上昇、価格の上なら下降と読みます。色は環境ごとに変えられますが、計算に色は関係しません。RSIの30・70のような水準線もありません。

売買ルールにすると反転だけを見る

この記事が測るルールは次の1つです。

点の切り替わり売買
価格の上から下へ移る買い。次に上へ移るまで保有
価格の下から上へ移る売り。次に下へ移るまで保有

Stop and Reverseという名前どおり、反対のシグナルで現在のポジションを閉じ、その向きへ持ち替えます。買いと売りは同じ形で起きます。

どちらのつまみを動かすべきか

早く反応させたいなら増分を大きくします。ただし点が価格へ早く近づくため、転換判定と売買回数も増えます。上限は長く続くトレンドの後半だけに効くため、増分ほど直接には回数を動かしません。

実測でも、1時間足2025年の平均取引数は増分0.005で215.3回、0.05で777.7回でした。一方、上限は0.30で608.8回、0.50で609.8回です。回数を動かしていたのは主に増分でした。

検証の条件

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31。比較用に2024年も同条件。2025年は前半・後半にも分割
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
増分0.005 / 0.01 / 0.02 / 0.03 / 0.04 / 0.05
上限0.05 / 0.10 / 0.15 / 0.20 / 0.30 / 0.50
組み合わせ増分6種 × 上限6種 = 36通り。3時間足 × 4期間区分で432回実行
買いSARの点が価格の上から下へ切り替わった足の終値
売りSARの点が価格の下から上へ切り替わった足の終値
決済反対側への切り替わりまで。エントリーと決済に同じルールセットを使用
損切り・利確使わない。別の節で追加検証
スプレッド0.3pips固定。スリッページ0
ロット0.1ロット
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、各取引の約定価格からpipsを再計算

1時間足では23通りが両年黒字

時間足2025年 黒字 / 中央値2024年 黒字 / 中央値両方の年で黒字年同士の順位相関
15分足11/36・−433.3pips21/36・+248.8pips11/36+0.531
1時間足29/36・+928.8pips30/36・+1,385.1pips23/36−0.002
4時間足8/36・−372.4pips32/36・+679.4pips4/36−0.290

1時間足は黒字数と中央値の両方で最も揃いました。15分足は取引回数が多く、既定値で年2,000回を超えます。4時間足は2024年に32通りが黒字なのに、2025年は8通りまで減りました。

ただし1時間足も、設定順位の相関は−0.002です。黒字になる設定は多い一方で、どの設定が上位かは年ごとに入れ替わっています。

増分は取引回数を3.6倍にした

上限6種を平均し、増分だけで1時間足の成績をまとめます。

−1k0+1k+2k0.0050.010.020.030.040.05加速係数の増分
20252024上限6種の平均・ドル円1時間足・0.1ロット
増分を大きくすると売買は増えますが、損益は一直線に増えません。増分0.005の平均は2025年+1,240pips、2024年−1,138pipsでした。
増分2025年 平均回数2025年 平均損益2024年 平均損益
0.005215.3回+1,240.3pips−1,138.4pips
0.01342.5回−144.9pips+1,535.3pips
0.02504.2回+573.4pips+2,333.2pips
0.03611.5回+1,246.6pips+2,335.3pips
0.04701.7回+597.2pips+1,749.9pips
0.05777.7回+1,459.8pips+923.4pips

増分を0.005から0.05へ10倍にすると、平均回数は215.3回から777.7回へ3.6倍になりました。ところが損益は単調に増えません。2025年に+1,240.3pipsだった0.005は、2024年に−1,138.4pipsです。

上限は0.05から0.10へ上げると、2025年の平均回数が316.3回から479.8回へ増えます。その後は鈍り、0.30で608.8回、0.50で609.8回でした。上限を高くし続けても、実際の加速係数がそこへ届かなければ結果はほとんど変わりません。

既定値0.02・0.20の位置

時間足2025年2024年
15分足2,290回・勝率37.51%・PF 0.984・−375.3pips(16位)2,107回・勝率39.16%・PF 1.040・+870.8pips(7位)
1時間足547回・勝率40.04%・PF 1.074・+886.8pips(19位)531回・勝率38.79%・PF 1.240・+2,683.6pips(6位)
4時間足138回・勝率46.38%・PF 1.110・+637.7pips(1位)130回・勝率35.38%・PF 0.982・−108.2pips(33位)

既定値が両方の年で黒字だったのは1時間足だけです。とはいえ19位と6位なので、36通りの中で常に最上位だったわけではありません。

4時間足はより分かりやすく反転しました。2025年は既定値が1位、2024年は33位です。片方の年だけを見れば「既定値が最適」とも「既定値は避けるべき」とも書けてしまいます。

年をまたぐと順位は残らない

片方の年の最良設定を、もう片方の年へそのまま移します。

時間足2025年の最良 → 2024年2024年の最良 → 2025年
15分足0.02/0.05:+1,147.3 → +350.9pips(17位)0.005/0.05:+2,852.8 → +678.8pips(2位)
1時間足0.05/0.10:+2,062.7 → +2,969.8pips(3位)0.03/0.10:+3,910.5 → +981.4pips(16位)
4時間足0.02/0.20:+637.7 → −108.2pips(33位)0.005/0.05:+2,369.4 → −452.2pips(25位)

15分足と1時間足には相手の年でも黒字を残した設定があります。特に1時間足の2025年1位は2024年でも3位でした。しかし全36通りの順位相関は−0.002です。最良の1点が偶然残ったことと、設定選び全体に再現性があることは別です。

年内でも同じです。1時間足の既定値は2025年前半に281回・−1,032.5pipsで34位、後半は266回・+1,847.7pipsで3位でした。36通りの前半と後半の順位相関は−0.112です。年間+886.8pipsは、成績の違う2つの半年を平均した数字でした。

勝率は利益の理由ではない

既定値の1時間足2025年は547回、勝率40.04%、PF 1.074で+886.8pipsでした。勝ち取引の平均は+58.71pips、負け取引は−36.49pipsです。4割しか勝たなくても、勝ち幅が負け幅より大きいため黒字になっています。

勝率と損益の順位相関は、15分足+0.185、1時間足+0.598、4時間足+0.328でした。1時間足では勝率が高い設定ほど損益も良い傾向がありますが、勝率だけで選べるほど一致してはいません。既定値も2024年は勝率38.79%で+2,683.6pips、2025年は40.04%で+886.8pipsです。勝率が高い年のほうが損益は小さくなりました。

ADXを足すと2025年の黒字が消えた

1時間足の既定値に、エントリー時だけフィルターを追加します。

条件2025年2024年
SARのみ547回・勝率40.04%・+886.8pips531回・勝率38.79%・+2,683.6pips
ADX 20以上357回・勝率38.66%・−814.5pips351回・勝率36.47%・+979.4pips
ADX 25以上263回・勝率41.83%・−601.6pips243回・勝率38.27%・+140.2pips
ADX 30以上178回・勝率38.20%・−906.7pips158回・勝率38.61%・+431.5pips
東京時間だけ207回・勝率42.51%・+158.2pips202回・勝率38.12%・+585.2pips
ロンドン・NY時間307回・勝率38.76%・+982.7pips311回・勝率40.84%・+2,465.3pips

ADXは3水準すべてで2025年を赤字にしました。2024年も基準の+2,683.6pipsから大きく下がっています。トレンド転換を読むSARに、トレンドの強さを条件として重ねても改善しませんでした。

ロンドン・NY時間は2025年を+982.7pipsへ少し増やしますが、2024年は+2,465.3pipsへ減らします。両方の年で基準を上回るフィルターはありません。

広い損切りと時間決済は片方の年だけ改善した

決済2025年2024年
反対シグナルまで547回・勝率40.04%・+886.8pips531回・勝率38.79%・+2,683.6pips
損切り30 / 利確60459回・勝率38.13%・+1,265.8pips445回・勝率36.18%・+776.4pips
損切り50 / 利確100471回・勝率39.49%・+1,022.3pips464回・勝率37.07%・+945.0pips
損切り100 / 利確200541回・勝率40.30%・+1,596.7pips515回・勝率38.64%・+2,296.4pips
損切り50 / 利確50470回・勝率44.89%・+1,050.1pips468回・勝率41.88%・+100.7pips
24本で時間決済539回・勝率40.07%・+1,187.7pips522回・勝率38.89%・+2,153.1pips

追加した5つの決済はすべて両方の年で黒字でした。ただし、基準を両方の年で上回るものはありません。損切り100・利確200は2025年を+1,596.7pipsへ増やしましたが、2024年は+2,296.4pipsへ減らしました。

コスト耐性は1.92pips

1時間足・既定値・2025年のスプレッドだけを変えます。

スプレッド取引数損益
0.0pips547回+1,050.9pips
0.3pips547回+886.8pips
0.6pips547回+722.7pips
1.0pips547回+503.9pips
1.5pips547回+230.4pips
2.0pips547回−43.1pips
3.0pips547回−590.1pips

失う額は取引回数×スプレッドに一致します。スプレッド0の+1,050.9pipsを547回で割った損益分岐スプレッドは1.92pipsです。

15分足の既定値は年2,290回売買して−375.3pipsでした。小さな時間足で点が頻繁に切り替わるほど、増分の違いより先にコストが効きます。

この検証で言えること

  1. 1時間足が最も残った。 36通り中23通りが2024年と2025年の両方で黒字。15分足は11通り、4時間足は4通りでした
  2. 増分は主に売買回数を動かす。 0.005から0.05で平均215.3回から777.7回へ増えましたが、損益は一直線には増えません
  3. 既定値は固定した答えではない。 4時間足で2025年1位、2024年33位。1時間足の2025年も前半34位、後半3位でした
  4. ADXは改善しなかった。 20・25・30の3水準がすべて2025年を赤字にし、2024年の利益も減らしました
  5. 1時間足の既定値はコストに余裕があった。 損益分岐は1.92pips。ただし15分足は2,290回売買して赤字でした

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この検証の限界

  • 通貨ペアは米ドル/円だけ、期間は2024年と2025年の2年だけです
  • パラボリックSARは初期方向、極値を更新する順序、直前2本の高安による補正で実装差が出ます。この数値はFormiqの実装によるものです
  • 点の価格に逆指値を置くのではなく、点が切り替わった足の終値で約定しています
  • スプレッドは全期間0.3pips固定、スリッページは0です
  • 36通りは一般的な初期値の周辺を比べる格子であり、すべての小数を試したものではありません
  • 2024年のドル円は+1,632pips上昇し、2025年は−56pipsでした。トレンド指標にとって2年の相場の性格差は大きく、順位の反転にも影響しています
  • 4時間足の既定値は年間130〜138回です。1位やPFの数字は、1時間足や15分足より少ない標本から出ています

よくある質問

パラボリックSARのおすすめ設定は何ですか?
この検証では、どの年にも共通する最良設定は決まりませんでした。ドル円1時間足の2025年は増分0.05・上限0.10が643回で+2,062.7pips、2024年でも36通り中3位でした。一方、2024年1位の0.03・0.10は2025年に16位です。既定値0.02・0.20は両年黒字でしたが、2025年前半は−1,032.5pips、後半は+1,847.7pipsでした。
パラボリックSARの既定値0.02と0.20は何ですか?
0.02は加速係数の初期値であり、新しい高値または安値を更新するたびに足す増分でもあります。0.20は加速係数の上限です。既定値では同じ方向で極値を9回更新すると0.20に達します。
パラボリックSARはどう見ればいいですか?
点が価格の下にあれば上向き、上にあれば下向きと読みます。点が上から下へ切り替わったら買い、下から上へ切り替わったら売りという反転ルールが一般的です。この記事も同じルールで、反対側への切り替わりまで保有しました。
パラボリックSARはどの時間足で使えますか?
このドル円2年の検証では1時間足が最も残り、36通り中23通りが2024年と2025年の両方で黒字でした。15分足は11通り、4時間足は4通りです。ただし1時間足の順位相関は年同士で−0.002、2025年前半と後半で−0.112なので、設定順位まで安定していたわけではありません。
パラボリックSARはMT4やMT5に標準で入っていますか?
MT4とMT5には標準で入っています。挿入→インディケータ→トレンド→Parabolic SARから追加し、StepとMaximumを設定します。TradingViewはインジケーター検索から追加できます。Formiqのチャートにも表示でき、バックテスト条件では増分と上限を指定できます。

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