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公開更新著者パラボリックSARParabolic SARインジケータートレンド順張りバックテストドル円

パラボリックSARの加速因子と時間足を36通り検証

パラボリックSARの増分と上限をドル円の15分足・1時間足・4時間足で36通り検証。2024年と2025年の黒字設定数、初期設定の取引回数・勝率・年間損益、フィルターとスプレッドの影響を実測値で比較します。

パラボリックSAR(Parabolic Stop and Reverse)は、ローソク足の上下に点を置き、値動きが続くほど点を価格へ近づけるトレンド指標です。点が価格の下から上へ移れば上昇から下降への転換、上から下へ移れば下降から上昇への転換と読みます。

設定は増分0.02、上限0.20が広く使われています。小数が2つ並ぶため、どちらを動かすと何が変わるのかは分かりにくいところです。そこで増分6種と上限6種を組み合わせ、ドル円の15分足・1時間足・4時間足で36通りを測りました。

1時間足は36通り中23通りが2024年と2025年の両方で黒字でした。ただし初期設定の0.02・0.20は、4時間足で2025年に+637.7pips、2024年に−108.2pipsです。1時間足でも2025年前半は−1,032.5pips、後半は+1,847.7pipsでした。

0122436211111M15302923H13284H4
20242025両方の年で黒字増分6種×上限6種=36設定
1時間足は36設定中23設定が両方の年で黒字でした。4時間足は2024年に最も良く見えましたが、2025年も残ったのは4設定だけです。

パラボリックSARは何を測っているのか

SARの次の点は、現在の点をトレンド中の極値へ少しずつ近づけて作ります。

次のSAR = 現在のSAR + 加速係数 ×(極値 − 現在のSAR)

上昇中の極値はその上昇が始まってからの最高値、下降中は最安値です。新しい高値または安値を作るたびに加速係数を増やし、設定した上限で止めます。点がローソク足に追いついて反対側へ移ると、向きが切り替わります。

初期設定の0.02・0.20なら、加速係数は0.02から始まります。極値を更新するたびに0.04、0.06と増え、9回の更新で0.20です。その後は上限0.20のまま点が価格を追います。

この仕組みにより、増分と上限では変更したときの影響が異なります。

  • 増分:最初の追いつく速さと、極値更新後に加速する幅を同時に変える
  • 上限:長く続いた値動きの後半で、点がどこまで速く追いつくかを制限する

点は損切り価格の候補としても紹介されますが、この記事で測るのは点が反対側へ切り替わった足の終値で売買するルールです。点そのものの価格で約定する検証ではありません。

パラボリックSARの設定と読み方

追加すると、ローソク足に重なる1列の点が表示されます。価格の下にある点と上にある点が交互に続き、下の別枠や水準線は使いません。

環境追加する場所
MT4 / MT5挿入 → インディケータ → トレンド → Parabolic SAR
TradingViewインジケーター検索から Parabolic SAR
ブラウザ(Formiq)インジケーター一覧から「パラボリックSAR」

設定ダイアログに並ぶ2項目

項目初期設定意味
Step(増分)0.02加速係数の初期値であり、極値を更新するたびに足す値
Maximum(上限)0.20加速係数がこれ以上は大きくならない上限

0.02は価格の2%ではありません。現在の点から極値まで残っている距離の2%を進むという意味です。上限0.20なら、最大でも残り距離の20%ずつ進みます。

画面に出るもの

表示されるのはSARの点1系列だけです。一般には点が価格の下なら上昇、価格の上なら下降と読みます。色は環境ごとに変えられますが、計算に色は関係しません。RSIの30・70のような水準線もありません。

売買ルールにすると反転だけを見る

この記事が測るルールは次の1つです。

点の切り替わり売買
価格の上から下へ移る買い。次に上へ移るまで保有
価格の下から上へ移る売り。次に下へ移るまで保有

Stop and Reverseという名前どおり、反対のシグナルで現在のポジションを閉じ、その向きへ持ち替えます。買いと売りは同じ形で起きます。

増分と上限のどちらを変更すると結果が大きく変わるか

早く反応させたいなら増分を大きくします。ただし点が価格へ早く近づくため、転換判定と売買回数も増えます。上限は長く続くトレンドの後半だけに効くため、増分ほど直接には回数を動かしません。

実測でも、1時間足2025年の平均取引数は増分0.005で215.3回、0.05で777.7回でした。一方、上限は0.30で608.8回、0.50で609.8回です。回数を動かしていたのは主に増分でした。

検証の条件

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31。比較用に2024年も同条件。2025年は前半・後半にも分割
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
増分0.005 / 0.01 / 0.02 / 0.03 / 0.04 / 0.05
上限0.05 / 0.10 / 0.15 / 0.20 / 0.30 / 0.50
組み合わせ増分6種 × 上限6種 = 36通り。3時間足 × 4期間区分で432回実行
買いSARの点が価格の上から下へ切り替わった足の終値
売りSARの点が価格の下から上へ切り替わった足の終値
決済反対側への切り替わりまで。エントリーと決済に同じルールセットを使用
損切り・利確使わない。別の節で追加検証
スプレッド0.3pips固定。スリッページ0
ロット0.1ロット
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、各取引の約定価格からpipsを再計算

どの時間足で使えるか

1時間足で23通りが両年黒字でした。

時間足2025年に黒字2025年の中央値2024年に黒字2024年の中央値両方の年で黒字
15分足11/36−433.3pips21/36+248.8pips11/36
1時間足29/36+928.8pips30/36+1,385.1pips23/36
4時間足8/36−372.4pips32/36+679.4pips4/36

1時間足は黒字数と中央値の両方で最も揃いました。15分足は取引回数が多く、初期設定で年2,000回を超えます。4時間足は2024年に32通りが黒字なのに、2025年は8通りまで減りました。

1時間足でも、2024年に年間損益が最大だった0.03・0.10は、2024年の+3,910.5pipsから2025年の+981.4pipsへ減りました。黒字設定数が多いことと、個別設定の年間損益が同じ水準で続くことは別です。

増分と上限は何を変えるか

増分は取引回数を3.6倍にしました。上限6種を平均し、増分だけで1時間足の成績をまとめます。

−1k0+1k+2k0.0050.010.020.030.040.05加速係数の増分
20252024上限6種の平均・ドル円1時間足・0.1ロット
増分を大きくすると売買は増えますが、損益は一直線に増えません。増分0.005の平均は2025年+1,240pips、2024年−1,138pipsでした。
増分2025年 平均回数2025年 平均損益2024年 平均損益
0.005215.3回+1,240.3pips−1,138.4pips
0.01342.5回−144.9pips+1,535.3pips
0.02504.2回+573.4pips+2,333.2pips
0.03611.5回+1,246.6pips+2,335.3pips
0.04701.7回+597.2pips+1,749.9pips
0.05777.7回+1,459.8pips+923.4pips

増分を0.005から0.05へ10倍にすると、平均回数は215.3回から777.7回へ3.6倍になりました。ところが損益は単調に増えません。2025年に+1,240.3pipsだった0.005は、2024年に−1,138.4pipsです。

上限は0.05から0.10へ上げると、2025年の平均回数が316.3回から479.8回へ増えます。その後は鈍り、0.30で608.8回、0.50で609.8回でした。上限を高くし続けても、実際の加速係数がそこへ届かなければ結果はほとんど変わりません。

初期設定の0.02・0.20のままでいいか

初期設定がどこに位置するかを見ます。

時間足取引回数勝率PF年間損益
15分足2025年2,290回37.51%0.984−375.3pips
15分足2024年2,107回39.16%1.040+870.8pips
1時間足2025年547回40.04%1.074+886.8pips
1時間足2024年531回38.79%1.240+2,683.6pips
4時間足2025年138回46.38%1.110+637.7pips
4時間足2024年130回35.38%0.982−108.2pips

初期設定が両方の年で黒字だったのは1時間足だけです。年間損益は2025年の+886.8pipsから2024年の+2,683.6pipsまで開きました。

4時間足の初期設定は2025年に+637.7pips、2024年に−108.2pipsでした。片方の年だけでは、初期設定を使うかどうかを決められません。

去年よかった設定は今年も通用するか

片方の年にいちばん良かった設定を、もう片方の年へそのまま移します。

時間足選定年設定選定年の年間損益もう片方の年の年間損益
15分足2025年0.02/0.05+1,147.3pips2024年:+350.9pips
15分足2024年0.005/0.05+2,852.8pips2025年:+678.8pips
1時間足2025年0.05/0.10+2,062.7pips2024年:+2,969.8pips
1時間足2024年0.03/0.10+3,910.5pips2025年:+981.4pips
4時間足2025年0.02/0.20+637.7pips2024年:−108.2pips
4時間足2024年0.005/0.05+2,369.4pips2025年:−452.2pips

15分足と1時間足では、選定した設定がもう片方の年でも黒字でした。一方、4時間足ではどちらの選び方ももう片方の年に赤字です。1つの設定が両年黒字だったことと、他の設定でも同じ結果になることは別です。

年内でも同じです。1時間足の初期設定は2025年前半に281回・−1,032.5pips、後半は266回・+1,847.7pipsでした。年間+886.8pipsは、符号の違う2つの半年を合計した数字です。

勝率4割で黒字になるのはなぜか

初期設定の1時間足2025年は547回、勝率40.04%、PF 1.074で+886.8pipsでした。勝ち取引の平均は+58.71pips、負け取引は−36.49pipsです。4割しか勝たなくても、勝ち幅が負け幅より大きいため黒字になっています。

初期設定は2024年に勝率38.79%で+2,683.6pips、2025年に勝率40.04%で+886.8pipsでした。勝率が1.25ポイント高かった2025年のほうが、年間損益は1,796.8pips小さくなっています。

ADXを足すと改善するか

1時間足の初期設定に、エントリー時だけフィルターを追加します。

条件取引回数勝率年間損益
SARのみ2025年547回40.04%+886.8pips
SARのみ2024年531回38.79%+2,683.6pips
ADX 20以上2025年357回38.66%−814.5pips
ADX 20以上2024年351回36.47%+979.4pips
ADX 25以上2025年263回41.83%−601.6pips
ADX 25以上2024年243回38.27%+140.2pips
ADX 30以上2025年178回38.20%−906.7pips
ADX 30以上2024年158回38.61%+431.5pips
東京時間だけ2025年207回42.51%+158.2pips
東京時間だけ2024年202回38.12%+585.2pips
ロンドン・NY時間2025年307回38.76%+982.7pips
ロンドン・NY時間2024年311回40.84%+2,465.3pips

ADXは3水準すべてで2025年を赤字にしました。2024年も基準の+2,683.6pipsから大きく下がっています。トレンド転換を読むSARに、トレンドの強さを条件として重ねても改善しませんでした。

ロンドン・NY時間は2025年を+982.7pipsへ少し増やしますが、2024年は+2,465.3pipsへ減らします。両方の年で基準を上回るフィルターはありません。

損切りや時間決済で改善するか

決済取引回数勝率年間損益
反対シグナルまで2025年547回40.04%+886.8pips
反対シグナルまで2024年531回38.79%+2,683.6pips
損切り30・利確602025年459回38.13%+1,317.5pips
損切り30・利確602024年445回36.18%+823.0pips
損切り50・利確1002025年471回39.49%+1,047.9pips
損切り50・利確1002024年464回37.07%+970.2pips
損切り100・利確2002025年541回40.30%+1,600.4pips
損切り100・利確2002024年515回38.64%+2,302.3pips
損切り50・利確502025年470回44.89%+1,092.1pips
損切り50・利確502024年468回41.88%+138.0pips
24本で時間決済2025年539回40.07%+1,187.7pips
24本で時間決済2024年522回38.89%+2,153.1pips

追加した5つの決済はすべて両方の年で黒字でした。ただし、基準を両方の年で上回るものはありません。損切り100・利確200は2025年を+1,600.4pipsへ増やしましたが、2024年は+2,302.3pipsへ減らしました。

スプレッドはどこまで耐えられるか

1時間足・初期設定・2025年のスプレッドだけを変えます。

スプレッド取引数損益
0.0pips547回+1,050.9pips
0.3pips547回+886.8pips
0.6pips547回+722.7pips
1.0pips547回+503.9pips
1.5pips547回+230.4pips
2.0pips547回−43.1pips
3.0pips547回−590.1pips

失う額は取引回数×スプレッドに一致します。スプレッド0の+1,050.9pipsを547回で割った損益分岐スプレッドは1.92pipsです。

15分足の初期設定は年2,290回売買して−375.3pipsでした。小さな時間足で点が頻繁に切り替わるほど、増分の違いより先にコストが効きます。

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補足

  • 通貨ペアは米ドル/円だけ、期間は2024年と2025年の2年だけです
  • パラボリックSARは初期方向、極値を更新する順序、直前2本の高安による補正で実装差が出ます。この数値はFormiqの実装によるものです
  • 点の価格に逆指値を置くのではなく、点が切り替わった足の終値で約定しています
  • スプレッドは全期間0.3pips固定、スリッページは0です
  • 36通りは一般的な初期値の周辺を比べる格子であり、すべての小数を試したものではありません
  • 4時間足の初期設定は年間130〜138回です。勝率とPFは、1時間足や15分足より少ない取引回数から計算しています

よくある質問

パラボリックSARのおすすめ設定は何ですか?
この検証では、どの期間にも共通する設定は決まりませんでした。ドル円1時間足では増分0.05・上限0.10が2025年に643回で+2,062.7pips、2024年に+2,969.8pipsでした。一方、2024年に+3,910.5pipsだった0.03・0.10は2025年に+981.4pipsです。初期設定の0.02・0.20も2025年前半は−1,032.5pips、後半は+1,847.7pipsでした。
パラボリックSARの初期設定の0.02と0.20は何ですか?
0.02は加速係数の初期値であり、新しい高値または安値を更新するたびに足す増分でもあります。0.20は加速係数の上限です。初期設定では同じ方向で極値を9回更新すると0.20に達します。
パラボリックSARはどう見ればいいですか?
点が価格の下にあれば上向き、上にあれば下向きと読みます。点が上から下へ切り替わったら買い、下から上へ切り替わったら売りという反転ルールが一般的です。この記事も同じルールで、反対側への切り替わりまで保有しました。
パラボリックSARはどの時間足で使えますか?
このドル円2年の検証では、2024年と2025年の両方で黒字だった設定が1時間足で23/36、15分足で11/36、4時間足で4/36でした。ただし1時間足の初期設定は2025年前半に−1,032.5pips、後半に+1,847.7pipsで、年間黒字でも半年ごとの結果は一致していません。
パラボリックSARはMT4やMT5に標準で入っていますか?
MT4とMT5には標準で入っています。挿入→インディケータ→トレンド→Parabolic SARから追加し、StepとMaximumを設定します。TradingViewはインジケーター検索から追加できます。Formiqのチャートにも表示でき、バックテスト条件では増分と上限を指定できます。

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