記事一覧
QQEインジケーターパラメーターバックテストドル円

QQEの設定を200通り検証した:ドル円2025年の勝率と損益

QQEのパラメータをドル円の2025年で200通りバックテストしました。最も成績が良かった数値、その数値が2024年には通用しなかったこと、勝率を上げるフィルターが翌年には逆に働いたことまで、実測値で載せています。

QQEの設定を検索すると、たいてい「RSI期間14、平滑化5、factor 4.236」という3つの数字が出てきます。多くのツールの既定値もこれです。

では、その3つは本当に一番いい数字なのか。ドル円の2025年(1月1日〜12月31日)で、200通りのパラメータをひとつずつバックテストして確かめました。時間足も15分足・1時間足・4時間足の3つで同じことをやり、比較のために2024年でも同じ200通りを回しています。

先に結論を書きます。2025年のドル円で最も損益が良かったのはRSI期間17/平滑化3/factor 4.236で、233回のトレードで+1,694.8pipsでした。ただしこの記事の本題はそこではありません。同じ検証を2024年でやると順位が入れ替わり、2024年で1位だった設定を2025年に持ち込むと200通り中139位まで落ちる、という部分のほうが実用上は重要です。パラメータよりも先に決めるべきものがある、という話になります。

−1k0+1k+2k+3k−1k0+1k+2k2024年の損益(pips)→2025年の損益(pips)
2024年の最良2025年の最良既定値 14/5/4.236点は200通りのパラメータ・順位相関 0.29
前年の順位が翌年も続くなら、点は右上がりの線に乗るはずです。乗っていません。

QQEは何を測っているのか

QQE(Quantitative Qualitative Estimation)は、RSIを直接読む代わりに、RSIを平滑化した線と、その線自身の変動幅から作ったバンドを比べる指標です。

  1. RSIを計算する(RSI期間
  2. RSIをEMAで平滑化する(平滑化=SF
  3. 平滑化したRSIの1本ごとの変化量を取り、それも平滑化する
  4. その値に係数を掛けてバンドの幅にする(factor、既定は4.236)
  5. 平滑化RSIがバンドを抜けた側でトレンドの向きを判定する

つまみは3つです。それぞれ挙動が違います。

つまみ上げると何が起きるか
RSI期間元のRSIが鈍くなる。だましが減り、反応が遅れる
平滑化(SF)線が滑らかになる。シグナルの回数が減る
factorバンドが広がる。シグナルの回数が減り、1回が長くなる

実際の数字で確かめると、1時間足・2025年で平均取引回数は平滑化2のとき345回、平滑化12のとき185回でした。factorを2から5.236に上げると328回から196回に減ります。「回数が減る」はこの3つのつまみに共通する効果で、後で出てくるコストの話に効いてきます。

チャートに表示する方法

QQEはどのプラットフォームでも標準搭載というわけではありません。使っている環境ごとに手順が違います。

環境手順
MT4 / MT5標準では入っていない。配布されている .ex4/.mq4 を入手し、データフォルダの MQL4/Indicators(MT5は MQL5/Indicators)に置いて再起動する
TradingViewインジケーター検索で「QQE」と入力し、コミュニティスクリプトから追加する
ブラウザ(Formiq)最初から入っている。インジケーター一覧から選ぶ

ひとつ注意点があります。QQEは実装によって値が違います。 平滑化にEMAを使うかWilderの平滑化を使うか、バンドの追従ルールをどう書くかで線がずれます。この記事の数値はFormiqの実装によるもので、別のスクリプトで同じパラメータを入れても同じ売買にはならない場合があります。

検証の条件

数字を見る前に、何をどう測ったかを書いておきます。この表と同じ設定を入れれば、同じ結果が出ます。

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31(比較用に2024年も同条件)
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
検証本数1時間足で6,226本(2025年)。15分足24,903本、4時間足1,610本
買いQQEラインがシグナル線を上抜けた足の終値
売りQQEラインがシグナル線を下抜けた足の終値
決済反対側のクロスのみ。損切り・利確・時間決済は使わない
スプレッド0.3pips(スリッページ0、0.1ロット)
試した組み合わせRSI期間8種(6〜25)× 平滑化5種(2〜12)× factor 5種(2〜5.236)= 200通り。時間足ごと・年ごとに実行
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、1トレードずつの約定価格からpipsを再集計

損切りを置かず反対シグナルまで持つのは、QQE以外の要素を混ぜないためです。損切りを付けた場合は後の「損切りと利確を付けるとどうなるか」で別に測っています。

2025年のドル円で良かった設定

1時間足の200通りを損益順に並べ、上位10件に2024年の成績を並べました。

RSI期間平滑化factor2025年の回数2025年の勝率2025年のPF2025年の損益2024年の損益2024年の順位
1734.23623342.49%1.338+1,694.8+2,079.460位
1052.61827742.24%1.306+1,638.8+1,226.3156位
1053.23624843.15%1.319+1,597.5+1,686.1121位
1434.23624142.32%1.302+1,561.4+1,984.776位
1252.61826941.64%1.289+1,545.2+1,835.9102位
1253.23623943.93%1.312+1,529.2+2,014.270位
853.23625844.19%1.287+1,501.7+1,424.2146位
2512219339.38%1.355+1,499.3+2,045.566位
1435.23620844.71%1.299+1,487.7+2,028.368位
682.61826543.02%1.282+1,468.4+1,373.9151位

(損益はpips、PFはプロフィットファクター、順位は同じ年の200通りの中での順位)

既定値の14/5/4.236はこの表に入っていません。2025年は+1,115.5pips(53位)、2024年は+1,942.5pips(86位)でした。上位でも下位でもない、真ん中あたりです。

負けた設定も見ておきます。2025年に最も悪かったのはRSI期間6/平滑化2/factor 4.236の−809.9pipsで、これは2024年には+513.7pipsの黒字でした。逆方向の例もあります。RSI期間12/平滑化2/factor 2は両方の年で赤字でした。

その数字は翌年には残らない

ここからがこの検証で一番はっきり出た部分です。

2024年で1位だった設定(RSI期間10/平滑化8/factor 5.236、2024年に+2,795.1pips)を2025年に使うと、+610.6pipsで200通り中139位でした。 2025年の中央値は+891.3pipsなので、去年いちばん良かった設定を選ぶことは、適当に選ぶより悪い結果になっています。

この記事の冒頭に載せた図が、それを200通りぶん並べたものです。点ひとつが1つのパラメータの組み合わせで、横軸が2024年の損益、縦軸が2025年の損益。前年の順位が翌年に引き継がれるなら、点は右上がりの線に並ぶはずですが、そうなっていません。順位相関は0.29です。

さらに厳しい数字もあります。2025年を前半と後半に割って同じことをすると、順位相関は−0.65でした。前半に良かった設定ほど後半に悪い、という関係です。半年の最適化が半年後に反転しています。

念のため書いておくと、これは「QQEが機能しなかった」という話ではありません。1時間足では200通り中191通りが2025年に黒字、188通りが2024年に黒字で、両方の年で黒字だったものが181通りあります。指標そのものはこの2年間のドル円で機能しています。機能していないのは「一番良い数値を探す」という作業のほうです。

時間足のほうが、パラメータよりも効いていた

同じ200通りを、時間足だけ変えて回すとこうなります。

−3k−2k−1k0+1k+2k+3k年間の合計損益(pips)M15H1H4
20252024太い帯=中央50%、細い線=最小〜最大、白い縦線=中央値
1本の帯が200通りのパラメータ全部です。時間足は分布ごと動かし、パラメータは帯の中でしか動かしません。
時間足2025年に黒字だった数2025年の中央値2024年に黒字だった数2024年の中央値
15分足69 / 200−192pips1 / 200−1,823pips
1時間足191 / 200+891pips188 / 200+1,846pips
4時間足196 / 200+688pips134 / 200+601pips

15分足は2024年に200通りのうち1通りしか黒字になりませんでした。しかもその1通り(RSI期間6/平滑化2/factor 2)の利益は+158.2pipsで、2025年には−276pipsです。

4時間足は2025年だけ見れば1時間足より黒字の数が多いのですが、2024年には134通りまで落ちます。取引回数も設定によって53〜65回しかなく、この件数で勝率や損益の差を語るには標本が足りません。

同じ設定を時間足だけ変えて並べるとこうです。既定値の14/5/4.236の場合:

時間足2025年2024年
15分足855回・勝率38.25%・−269.3pips870回・勝率35.29%・−1,320.8pips
1時間足208回・勝率43.27%・+1,115.5pips204回・勝率50.49%・+1,942.5pips
4時間足53回・勝率49.06%・+875.3pips54回・勝率24.07%・−588.1pips

パラメータは一切変えていません。動かしたのは時間足だけです。

なぜ15分足だけが負けるのか

理由は指標の性能ではなく、回数とコストの掛け算でした。

0+500+1000+1500+20000.00.30.61.01.52.0スプレッド(pips)
H1・233回M15・643回同じ2025年・同じ通貨ペア、スプレッドだけを変えた
1回あたりのコストは同じです。違うのは、それを何回払うかだけです。

1時間足は年間233回、15分足は年間643回トレードします。1回あたりのスプレッド負担は同じでも、払う回数が2.8倍あります。スプレッドだけを変えて同じ2025年を回し直すと:

スプレッド1時間足(233回)15分足(643回)
0.0pips+1,764.7+872.0
0.3pips+1,694.8+679.1
0.6pips+1,624.9+486.2
1.0pips+1,531.7+229.0
1.5pips+1,415.2−92.5
2.0pips+1,298.7−414.0

0から2.0pipsに動かすと、1時間足は466pips失い、15分足は1,286pips失います。15分足は1.5pipsで赤字に転落しますが、1時間足は2.0pipsでも黒字のままです。

これはQQEに限った話ではなく、シグナルの回数が多い設定すべてに効きます。同じ条件で年547回売買するRVIは1,094pips、年76回のスーパートレンドは152pipsで、失う額は回数にそのまま比例しました。自分の口座のスプレッドを入れて確かめる価値があるのは、パラメータよりむしろこちらです。

両方の年で言えたことだけ

3つのつまみを1つずつ動かし、残り2つ全部で平均を取ると、年をまたいで同じ方向を向いた傾向が2つだけ見つかりました。

つまみの値2025年の平均損益2024年の平均損益
平滑化 2+413pips+646pips
平滑化 3+880pips+1,475pips
平滑化 5+1,102pips+1,810pips
平滑化 8+966pips+2,135pips
平滑化 12+726pips+2,182pips

平滑化2は両方の年で最下位でした。他の値の半分以下です。

RSI期間2025年の平均損益2024年の平均損益
6+578pips+1,177pips
10+818pips+1,669pips
14+865pips+1,699pips
20+891pips+1,819pips
25+904pips+1,833pips

RSI期間も、6のような短さが両方の年で最下位で、25まで単調に良くなっています。どちらも「短くしすぎない」という同じ話です。

一方、factorは年で最適が入れ替わりました。2025年の平均が最も良かったのは2.618(+913pips)、2024年は4.236(+1,921pips)です。ただしfactorには年をまたいで一貫した効果がひとつあります。上げるほど勝率が上がることです。2025年は39.6%→43.3%、2024年は42.0%→49.6%。同時に取引回数が328回から196回に減ります。factorは損益を最大化するつまみではなく、回数と勝率を交換するつまみだと考えたほうが実態に合います。

勝率を上げると利益は増えるのか

増えませんでした。

1時間足・2025年の200通りで、勝率と損益の順位相関は0.078です。ほぼ無関係と言っていい数字です。ただしこれはQQEについて言えることで、同じ方法でアルーンを検証したときは0.614でした。移動平均線クロスでは時間足ごとに符号まで変わっています。指標が変われば関係も変わります。実際、最も勝率が高かった設定(RSI期間6/平滑化12/factor 5.236、勝率47.98%)は、損益では200通り中153位でした。勝率の幅そのものも36.68%〜47.98%と狭く、ここを削り合っても損益は動きません。

では、よく紹介されるフィルターを足すとどうなるか。既定値の14/5/4.236に足して測りました。

条件2025年2024年
QQEのみ208回・勝率43.27%・+1,115.5pips204回・勝率50.49%・+1,942.5pips
ADX 25以上のときだけ120回・勝率51.67%・+1,307.3pips112回・勝率48.21%・−8.5pips
ADX 20以上+DIの向き一致81回・勝率34.57%・−344.8pips77回・勝率41.56%・+593.5pips
東京時間のみ(UTC 0〜8)126回・勝率49.21%・+1,154.9pips119回・勝率49.58%・+1,039.4pips
ロンドン・NY時間のみ(UTC 7〜21)157回・勝率35.67%・−458.5pips145回・勝率43.45%・+1,083.5pips

ADX 25以上のフィルターは、2025年だけ見れば理想的です。勝率が43.27%から51.67%に上がり、損益も伸び、最大ドローダウンは714.7pipsから315.6pipsに縮んでいます。ところが同じフィルターを2024年に当てると−8.5pipsで、フィルターなしの+1,942.5pipsを丸ごと消してしまいます。

ロンドン・NY時間のフィルターは符号ごと逆になりました。2025年は−458.5pips、2024年は+1,083.5pipsです。

つまり、フィルターで勝率を動かすことはできます。動く方向が年によって変わるだけです。

損切りと利確を付けるとどうなるか

同じ現象がここでも起きます。RSI期間17/平滑化3/factor 4.236に損切りと利確を足した結果です(反対クロスでの決済は残したまま)。

決済ルール2025年2024年
反対クロスのみ233回・勝率42.49%・+1,694.8pips240回・勝率46.25%・+2,079.4pips
損切り50 / 利確100281回・勝率44.84%・+3,241.0pips286回・勝率36.36%・+308.9pips
損切り50 / 利確50333回・勝率51.05%・+2,277.7pips316回・勝率42.41%・−515.8pips
損切り100 / 利確200240回・勝率42.50%・+990.2pips250回・勝率43.60%・+1,597.4pips
24本で時間決済248回・勝率43.15%・+1,943.1pips257回・勝率44.36%・+2,372.9pips

2025年で最も良かった損切り50/利確100は、2024年では+308.9pipsとほぼ最下位の部類です。損切り50/利確50は2025年の勝率を51.05%まで押し上げますが、2024年は赤字です。

一方、時間決済(24本で強制手仕舞い)は両方の年で反対クロスのみとほぼ同等でした。派手ではありませんが、年をまたいで挙動が変わらなかったのはこれだけです。

この検証で言えること

実測から取り出せた、年をまたいで同じ方向を向いていたものだけを並べます。

  1. 時間足を先に決める。 この2年のドル円では1時間足が最も安定していました。パラメータ200通りの差より、時間足を変えたときの差のほうがはるかに大きく出ています
  2. 平滑化を2にしない、RSI期間を6のような短さにしない。 どちらも両方の年で最下位でした
  3. factorは勝率と取引回数のつまみとして扱う。損益を最大化する数字は年で入れ替わります
  4. 自分の口座のスプレッドで確かめる。 回数の多い設定ほど、パラメータより先にここで決まります
  5. 「最強設定」を1年ぶんのデータで決めない。 2024年の1位は2025年の139位でした

QQEの数値をひとつに絞る作業には、この検証の範囲では意味が見つかりませんでした。素のRSIを同じ手順で測ると、逆張りと順張りで期間の良し悪しが反対を向きました。代わりに効いていたのは、時間足の選択と、極端な値を避けることと、コストです。プログラミングなしで条件を組んで検証するなら、この記事の表と同じことを自分の通貨ペア・自分の期間で回して確かめられます。

この検証の限界

  • 通貨ペアは米ドル/円のみ、期間は2024年と2025年の2年だけです。他の通貨ペアや他の年で同じ傾向になる保証はありません
  • QQEの実装はスクリプトによって差があります。この数値はFormiqの実装によるもので、他のスクリプトの同じパラメータとは一致しないことがあります
  • エントリーも決済も足の終値で行っています。実際の約定はここからずれます
  • スプレッドは全期間0.3pips固定として計算しています。実際のスプレッドは時間帯と指標発表で変動します
  • 2025年のドル円は年初157.227、年末156.670(−56pips)で、値幅は1,900pipsでした。2024年は+1,632pipsの上昇で、値幅は2,237pipsです。動きの性格が違う2つの年で同じ結論になった点は補強材料になりますが、2年は2年でしかありません
  • 時間帯によって値動きの大きさは変わります。時間フィルターの結果はその影響を受けています

よくある質問

QQEの一番良い設定は何ですか?
ドル円・1時間足・2025年で最も損益が良かったのはRSI期間17/平滑化3/factor 4.236で、233回のトレードで+1,694.8pips、勝率42.49%でした。ただし2024年の同じ検証では200通り中60位で、逆に2024年で1位だった設定(10/8/5.236)は2025年には139位まで落ちています。1年ぶんのデータで決まる「一番良い設定」は、翌年の一番良い設定ではありません。
QQEの既定値(14/5/4.236)のままでも大丈夫ですか?
この検証では既定値は1時間足で2025年に+1,115.5pips(200通り中53位)、2024年に+1,942.5pips(同86位)でした。どちらの年も中央値付近で、上位でも下位でもありません。パラメータ探しよりも、時間足の選択とスプレッドの確認のほうが損益への影響は大きく出ました。
QQEはどの時間足で使うのがいいですか?
同じ200通りを時間足だけ変えて試すと、1時間足は2025年に191通り、2024年に188通りが黒字でした。15分足は2025年に69通り、2024年はわずか1通りです。4時間足は年による差が大きく、取引回数も53〜65回しかありませんでした。この検証の範囲では1時間足が最も安定しています。
QQE単体の勝率はどのくらいですか?
1時間足・2025年の200通りで勝率は36.68%〜47.98%の範囲に収まりました。QQEのクロスは損切りを置かずに反対シグナルまで持つ形なので、勝率は50%を下回り、勝ちトレードの平均が負けトレードの平均より大きいことで利益が出ています。勝率と損益の順位相関は0.078で、ほぼ無関係でした。
QQEはMT4に標準で入っていますか?
入っていません。MT4やMT5で使うには配布されている .ex4/.mq4 ファイルを入手し、データフォルダの MQL4/Indicators(MT5なら MQL5/Indicators)に置いて再起動します。TradingViewではインジケーター検索から「QQE」でコミュニティスクリプトを追加できます。Formiqのチャートには最初から入っています。

Formiqは、リプレイ練習とノーコードバックテストをブラウザだけで使える無料のFXツールです。 チャートを開く、または無料プランでできることをご覧ください。