記事一覧
ウィリアムズ%RWilliams %Rインジケーター勝率ドル円

ウィリアムズ%Rは勝率68%で負ける:ドル円240通り検証

ウィリアムズ%Rの期間とエントリー・決済水準を240通り、ドル円の2025年と2024年で検証しました。勝率が6割を超えるのに損益がマイナスになる仕組みを、勝ちと負けの平均幅の数字で示します。

ウィリアムズ%Rは直近N本の高値・安値のレンジの中で、いまの終値がどこにいるかを 0 から −100 で表す指標です。−80より下なら売られすぎ、−20より上なら買われすぎ、と紹介されます。

この使い方をそのまま検証しました。ドル円の2025年(1月1日〜12月31日)で、期間6通り × エントリー水準5通り × 決済水準4通り × 買い/売りの2方向、合わせて240通りです。時間足は15分足・1時間足・4時間足、比較のために2024年でも同じ240通りを回しています。

結果を先に書きます。勝率は高く出ました。そして損益はマイナスでした。

1時間足の買い側120通りで、勝率の中央値は59.0%。それでも黒字になったのは120通り中10通りです。定番の「期間14・−80で買い・−20で決済」は、2024年に勝率68.42%を記録しながら−569.3pipsでした。

−1500−1000−5000+50050%55%60%65%70%勝率 →年間の損益(pips)
定番の 14・−80/−20最高勝率 67.0%点は120通りの設定・黒字は10通りだけ
勝率は49%から67%まで並んでいて、点のほとんどがゼロ線の下にあります。よく当たることと、儲かることは別でした。

点ひとつが1つの設定です。横軸が勝率、縦軸が年間の損益。勝率は49%から67%まで散らばっていますが、点の集団はほぼ全部ゼロ線の下にあります。

勝率が高いのに負ける仕組み

理由は表に出ています。

1トレードあたりの平均(pips)0100200H1 2025・14・−80/−2058.1% · -1083pH1 2024・14・−80/−2068.4% · -569pH1 2025・最高勝率67% · -954pH4 2024・14・−80/−2079.4% · +424p
勝ちトレードの平均負けトレードの平均括弧内は勝率と年間損益
勝率79%で利益が424pipsしかないのは、負けた2割が勝ちの3倍の大きさだったからです。
設定勝率勝ちの平均負けの平均年間損益
1時間足 2025年・14・−80/−2058.11%+39.8pips−72.7pips−1,082.8pips
1時間足 2024年・14・−80/−2068.42%+44.9pips−110.8pips−569.3pips
1時間足 2025年・最高勝率の設定67.05%+28.3pips−74.1pips−953.7pips
4時間足 2024年・14・−80/−2079.41%+84.9pips−267.0pips+423.5pips

最後の行を見てください。勝率79.41%で、利益は423.5pipsしかありません。 8割勝っているのに利益が小さいのは、残り2割の負けが勝ちの3.1倍あるからです。

これは偶然ではなく、この使い方の構造です。売られすぎで買って、少し戻ったところ(−20)で決済する。利益は「戻った分」に限られ、上限があります。 一方、売られすぎがさらに売られたときは決済条件が来ないので、−20まで戻るか、戻らないまま損失が膨らむかのどちらかになります。小さく何度も勝ち、たまに大きく負ける形です。

勝率の高さは、この形の結果であって、優位性ではありませんでした。

1時間足・2025年の120通りで、勝率70%を超えた設定はひとつもありません(最高67.05%)。そしてその67.05%の設定は、損益では120通り中86位です。

チャートに表示する方法

環境手順
MT4 / MT5標準で入っている。ナビゲーターの「Oscillators」から Williams' Percent Range を選ぶ
TradingViewインジケーター検索で「Williams %R」を選ぶ
ブラウザ(Formiq)インジケーター一覧から選ぶ。期間は設定から変更できる

検証の条件

この指標のルールは方向を持ちます。「−80より下」は買いの条件にしかならず、「−20より上」は売りの条件にしかなりません。そのため買い側と売り側を別々のシステムとして検証しています。

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31(比較用に2024年も同条件)
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
検証本数1時間足で6,226本(2025年)。15分足24,903本、4時間足1,610本
買い側%Rがエントリー水準(−95〜−70)を下回ったら買い、決済水準(−50〜−10)を上回ったら決済
売り側上記を0側で反転させたもの(−5〜−30で売り、−50〜−90で決済)
損切り・利確使わない(別途「損切りを付けたら」で測定)
スプレッド0.3pips(スリッページ0、0.1ロット)
試した組み合わせ期間6種(7〜40)× エントリー5種 × 決済4種 × 2方向 = 240通り。時間足ごと・年ごとに実行
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、1トレードずつの約定価格からpipsを再集計

時間足と方向で見る

時間足・方向2025年に黒字2025年の中央値2024年に黒字2024年の中央値2025年の勝率中央値
15分足 買い3 / 120−661pips54 / 120−226pips64.3%
15分足 売り7 / 120−777pips2 / 120−1,170pips63.3%
1時間足 買い10 / 120−720pips47 / 120−201pips59.0%
1時間足 売り10 / 120−633pips0 / 120−1,442pips59.3%
4時間足 買い89 / 120+572pips71 / 120+123pips64.1%
4時間足 売り78 / 120+333pips0 / 120−1,396pips57.6%

読みどころが2つあります。

ひとつめ。売り側は2024年に全滅しました。 1時間足・4時間足とも120通り中0通りです。2024年のドル円は年間で1,632pips上昇しています。上昇相場で「買われすぎ」を売り続ければ、こうなります。 逆張り指標は相場の方向とセットでしか評価できない、ということが数字で出ています。

ふたつめ。4時間足の買い側だけが機能しました。 2025年に89通り、2024年に71通り、両方の年で黒字だったのは40通りです。この記事で唯一、使える形が見つかった組み合わせでした。

ただしその4時間足も、2024年と2025年の順位相関は−0.611です。良かった設定ほど翌年に悪くなっています。

4時間足の買い側を細かく見る

期間2025年の平均損益2025年の勝率2024年の平均損益2024年の勝率
7−83pips57.1%+549pips73.3%
9−52pips56.7%+520pips77.3%
14+203pips58.9%+197pips74.1%
21+711pips66.8%−138pips66.4%
28+1,143pips70.7%−215pips65.1%
40+935pips76.5%−148pips63.4%

期間の効き方が真逆です。2025年は長い期間(28・40)が良く、2024年は短い期間(7・9)が良い。両方の年で黒字だったのは期間14だけ(+203/+197pips)でした。

エントリー水準は、深くするほど2025年の成績が上がります(−70で+135pips、−95で+757pips)。ただし2024年ではその差がほぼ消えます(+143/+71pips)。決済水準は両方の年で目立った傾向がありませんでした。

損切りを付けるとどうなるか

「負けが大きいなら損切りを入れればいい」と考えるのが自然です。試しました。

決済ルール(1時間足・買い・14・−80/−20)2025年2024年
損切りなし148回・勝率58.11%・−1,082.8pips133回・勝率68.42%・−569.3pips
損切り30 / 利確60376回・勝率33.51%・−1,547.6pips297回・勝率37.04%・−702.6pips
損切り50 / 利確100281回・勝率43.77%・−1,813.9pips242回・勝率45.45%・−921.5pips
損切り20 / 利確40476回・勝率29.62%・−1,399.6pips370回・勝率32.43%・−760.5pips
損切り50 / 利確50304回・勝率49.67%・−1,271.1pips260回・勝率50.77%・−920.7pips
24本で時間決済184回・勝率58.15%・−989.6pips152回・勝率65.13%・−729.6pips

どれも赤字のままで、しかも損切りなしより悪くなりました。

負けの平均は確かに小さくなります(−110.8pips → −30.0pips)。ところが勝率が68.42%から37.04%へ落ちて、差し引きで悪化します。損切りは「大きな負け」を「たくさんの小さな負け」に置き換えただけでした。

この形の負けが大きいのは、決済条件が来るまで待つという設計そのものから来ています。損切り幅を変えても、その設計は変わりません。

コストはほとんど関係ない

スプレッド1時間足・買い・14・−80/−20(148回)
0.0pips−1,038.4
0.3pips−1,082.8
1.0pips−1,186.4
2.0pips−1,334.4

スプレッドを0にしても−1,038.4pipsです。この赤字はコストのせいではありません。 他の指標では回数の多さがコストで効いてきましたが、ウィリアムズ%Rの1時間足は年148回とそれほど多くなく、296pipsしか動きません。負けている理由は構造のほうにあります。

4時間足で少し良くなった条件

唯一機能した4時間足の買い側で、絞り込みを試しました。

条件2025年2024年
期間14・−80/−2036回・勝率61.11%・+168.1pips34回・勝率79.41%・+423.5pips
期間28・−80/−2024回・勝率70.83%・+912.1pips15回・勝率60.00%・−785.0pips
ロンドン・NY時間のみ36回・勝率66.67%・+609.5pips28回・勝率75.00%・+16.8pips
東京時間のみ30回・勝率63.33%・+363.0pips23回・勝率69.57%・−1.0pips

時間帯で絞ると2025年は改善しますが、2024年はどちらもほぼゼロになります。両方の年で黒字を保ったのは、絞り込まない期間14・−80/−20だけでした。ただし年15〜36回という件数なので、この数字自体が細い根拠です。

この検証で言えること

  1. 勝率は高く出る。そして利益には結びつかない。 1時間足・2025年の中央値59.0%で、黒字は120通り中10通り
  2. 理由は勝ちと負けの大きさの差。 勝ちの平均が負けの平均の半分以下。勝率79.41%でも利益は423.5pipsでした
  3. 損切りを足しても直らない。 大きな負けが小さな負けの束に変わるだけで、5通り試して全部が損切りなしより悪化しました
  4. 逆張りは相場の方向とセット。 2024年の上昇相場で売り側は120通り中0通りが黒字でした
  5. 4時間足の買い側だけが使えた。 両方の年で黒字は120通り中40通り。ただし順位相関は−0.611で、設定選びは報われません

単体で判断させるより、方向の判断を別に持ったうえでタイミングの一要素として使うほうが、この数字には合っています。同じ方法で調べたQQEアルーンRVIスーパートレンドの記事もあります。トレンドフォロー側の4本とは勝率の出方が正反対になる点が読み比べどころです。ボリンジャーバンドでは、同じ指標の中で逆張りと順張りを並べて同じ逆転を測っています。

この検証の限界

  • 通貨ペアは米ドル/円のみ、期間は2024年と2025年の2年だけです
  • 2024年は年間+1,632pipsの上昇、2025年は−56pipsのほぼ横ばい(値幅1,900pips)でした。逆張り指標にとってこの差は決定的で、売り側の全滅は2024年の相場の性格をそのまま映しています
  • ウィリアムズ%Rの計算はツールによる差がほとんどありませんが、水準の等号の扱いには流儀があります。この数値はFormiqの実装によるものです
  • エントリーも決済も足の終値で行っています
  • 4時間足は年間9〜92回です。この件数の勝率は幅の広い数字です
  • 時間帯によって値動きの大きさは変わります。時間フィルターの結果はその影響を受けています

よくある質問

ウィリアムズ%Rの最強設定は何ですか?
ドル円・1時間足・2025年の買い側120通りで黒字になったのは10通りだけでした。最も良かったのは期間40・エントリー−95・決済−30(50回で+499.1pips)ですが、2024年では120通り中22位です。定番の期間14・−80で買い−20で決済は、2025年が−1,082.8pips、2024年が−569.3pipsでどちらも赤字でした。
ウィリアムズ%Rの勝率はどのくらいですか?
高いです。1時間足・2025年の買い側120通りで勝率の中央値は59.0%、範囲は48.57%〜67.05%でした。4時間足では中央値64.1%、2024年の定番設定は79.41%に達します。ただし同じ条件で損益はマイナスです。勝率の高さは利益を意味しませんでした。
なぜ勝率が高いのに負けるのですか?
勝ちより負けが大きいからです。1時間足・2024年の定番設定は勝率68.42%ですが、勝ちトレードの平均が44.86pipsに対して負けトレードの平均は−110.75pips、2.5倍の開きがあります。売られすぎで買って少し戻ったところで決済する形なので、利益は小さく刻まれ、戻らなかったときだけ大きく損をします。
ウィリアムズ%Rはどの時間足で使えますか?
この検証では4時間足の買い側だけが機能しました。120通り中2025年に89通り、2024年に71通りが黒字です。1時間足は2025年に10通り、15分足は3通りしかありません。ただし4時間足も順位相関が−0.611で、良かった設定ほど翌年に悪くなっています。
ウィリアムズ%RはMT4に標準で入っていますか?
MT4とMT5に標準で入っています(オシレーター内のWilliams' Percent Range)。TradingViewはインジケーター検索から「Williams %R」を追加できます。Formiqのチャートにも入っていて、期間を設定から変更できます。

Formiqは、リプレイ練習とノーコードバックテストをブラウザだけで使える無料のFXツールです。 チャートを開く、または無料プランでできることをご覧ください。