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MFIはFXでほとんど発火しない:ドル円240通り検証

MFIの期間と水準を240通り、ドル円の2025年と2024年で検証しました。4時間足では137通りが年10回未満しか売買せず、定番設定は片方の年で1位・もう片方で117位という結果になりました。

MFI(マネーフローインデックス)は「出来高で重み付けしたRSI」と説明されます。20を下回れば売られすぎ、80を上回れば買われすぎ。RSIと同じ読み方に、出来高という裏付けが加わる——という位置づけです。

ドル円の2025年(1月1日〜12月31日)で、期間6通り × エントリー水準5通り × 決済水準4通り × 買い/売りの2方向、合わせて240通りを検証しました。時間足は15分足・1時間足・4時間足、比較のために2024年でも同じ240通りを回しています。

最初に分かったのは、成績の良し悪し以前の問題でした。この指標は、FXの上位足ではほとんど売買しません。

240通りの設定が、年間の取引回数でどう分かれたかM154625161H1206148111H448896538← 判断できない設定  判断できる設定 →
0回1〜9回10〜29回30回以上
1本の帯が240通りの設定です。4時間足では137通りが年10回未満、うち48通りは1回も売買していません。

4時間足では、240通りの設定のうち48通りが年間1度も売買せず、137通りが年10回未満です。1時間足でも20通りがゼロ、81通りが10回未満。「MFIの最適な期間は」という議論をする前に、そもそも判断材料になる回数が出ていない設定がこれだけあります。

なぜ発火しないのか

MFIが20を割るには、直近N本のあいだ、下落した足の出来高付き合計が上昇した足のそれを大きく上回る必要があります。RSIより条件が重なるぶん、極端な水準に届きにくくなります。

そのうえ時間足を上げると足の本数が減るので、条件が揃う機会はさらに減ります。4時間足の1年は約1,610本しかありません。ここで期間28・水準10のような設定を選べば、年に数回も条件が揃わない、ということが普通に起きます。

時間足年間の取引回数(240通りの中央値)0回だった設定10回未満だった設定
15分足80回8 / 24054 / 240
1時間足23回20 / 24081 / 240
4時間足5回48 / 240137 / 240

(2025年、買い側と売り側の合計)

出来高という前提について

もうひとつ、この指標を読むうえで無視できない点があります。

MFIの計算には出来高が入ります。株式なら取引所に集約された出来高があり、「いくら分の資金が動いたか」に近い意味を持ちます。FXにはその集中した出来高が存在しません。 チャートに出るのは、その配信元が観測した範囲の数字です。

だからMFIをFXで使うと、「出来高で重み付けしたRSI」という説明の重み付けの部分が、株式ほど強い根拠を持ちません。この検証の数字も、その前提の上に乗っています。

チャートに表示する方法

環境手順
MT4 / MT5標準で入っている。ナビゲーターの「Oscillators」から Money Flow Index を選ぶ
TradingViewインジケーター検索で「Money Flow Index」を選ぶ
ブラウザ(Formiq)インジケーター一覧から選ぶ。期間は設定から変更できる

検証の条件

この指標のルールは方向を持ちます。「20を下回る」は買いの条件にしかならず、「80を上回る」は売りの条件にしかなりません。買い側と売り側を別々のシステムとして検証しています。

項目
通貨ペア米ドル/円
期間2025-01-01 〜 2025-12-31(比較用に2024年も同条件)
時間足15分足 / 1時間足 / 4時間足
検証本数1時間足で6,226本(2025年)。15分足24,903本、4時間足1,610本
買い側MFIがエントリー水準(10〜30)を下回ったら買い、決済水準(50〜90)を上回ったら決済
売り側上記を反転させたもの(70〜90で売り、10〜50で決済)
損切り・利確使わない
スプレッド0.3pips(スリッページ0、0.1ロット)
試した組み合わせ期間6種(7〜40)× エントリー5種 × 決済4種 × 2方向 = 240通り。時間足ごと・年ごとに実行
測定Formiqのバックテスト機能で実行し、1トレードずつの約定価格からpipsを再集計

定番の設定に何が起きたか

期間14、20で買って80で決済——最もよく紹介される形です。

2025年2024年
15分足 買い145回・勝率61.38%・+1,379.1pips(120通り中1位)113回・勝率62.83%・−654.2pips(117位)
15分足 売り146回・勝率60.27%・+1,426.3pips(1位)113回・勝率50.44%・−2,236.8pips(113位)
1時間足 買い37回・勝率56.76%・−108.0pips(68位)27回・勝率77.78%・+245.4pips(41位)
4時間足 買い9回・勝率77.78%・+570.4pips(27位)6回・勝率50.00%・−277.0pips(104位)

15分足の買い側は、2025年に120通り中1位、2024年に117位でした。

−1k0+1k−5000+500+1000+15002024年の損益(pips)→2025年の損益(pips)
定番の 14・20/80点は120通りの設定・順位相関 0.00
定番の設定は2025年に120通り中1位、2024年に117位でした。全体でも2つの年はまったく一致していません。

点ひとつが120通りの設定それぞれです。横軸が2024年の損益、縦軸が2025年の損益。赤い点が定番の設定で、左上——2024年に大きく負けて2025年に大きく勝った位置——にあります。

そして全体を見ると、点は右上がりにも右下がりにもなっていません。順位相関は0.00です。この検証シリーズで扱った指標の中で、最も完全に「前年の情報が翌年に何も伝えない」結果でした。

時間足・方向2024年↔2025年の順位相関
15分足 買い+0.00
15分足 売り−0.248
1時間足 買い+0.280
1時間足 売り+0.021
4時間足 買い+0.199
4時間足 売り−0.247

時間足と方向で見る

時間足・方向2025年に黒字2025年の中央値2024年に黒字2024年の中央値両方の年で黒字
15分足 買い74 / 120+35pips77 / 120+142pips50 / 120
15分足 売り80 / 120+97pips11 / 120−1,195pips7 / 120
1時間足 買い46 / 120−31pips56 / 1200pips31 / 120
1時間足 売り37 / 120−186pips5 / 120−1,214pips3 / 120
4時間足 買い77 / 120+156pips65 / 120+84pips53 / 120
4時間足 売り64 / 120+33pips20 / 120−603pips7 / 120

売り側は3つの時間足すべてで2024年に崩れます。 2024年のドル円は年間1,632pips上昇しました。買われすぎを売り続ける形は、上昇相場では成立しません。ウィリアムズ%Rでも同じことが起きています

買い側は中央値がゼロ付近をうろうろしています。15分足で+35/+142pips、1時間足で−31/0pips。大きく勝ちも負けもしない、というのがこの指標の素の姿でした。

回数が足りている設定だけを見る

年20回以上売買した設定に絞ると、数字はこうなります(1時間足・買い側・2025年、65通り)。

  • 勝率の範囲: 47.5%〜72.73%
  • 損益の中央値: −304pips
  • 黒字だったもの: 65通り中13通り

勝率は高く出ます。損益は伴いません。ウィリアムズ%Rの記事で見た構造と同じで、逆張りの決済ルールが利益に上限をつけるからです。

なお、回数の少ない設定を除かずに集計すると、勝率が0%や100%の行が混ざります。年に1〜2回しか売買していない設定の勝率は、勝率という言葉が意味を持つ数字ではありません。この記事で勝率を語るときは、必ず取引回数と一緒に見てください。

この検証で言えること

  1. 上位足では、そもそも判断できるだけ売買しない。 4時間足は240通り中137通りが年10回未満、48通りはゼロ回
  2. 定番設定の成績は年で真逆になる。 15分足の買い側で2025年1位、2024年117位。順位相関は0.00
  3. 売り側は上昇相場で崩れる。 2024年は15分足11/120、1時間足5/120、4時間足20/120
  4. 買い側は良くも悪くもならない。 中央値がゼロ付近に張り付きます
  5. 出来高という前提がFXでは弱い。 集中した出来高が存在しない市場で、出来高による重み付けを根拠にするのは無理があります

MFIをFXで単体の売買根拠にするのは、この数字では支持できません。使うなら、回数が確保できる時間足で、方向の判断を別に持ったうえでの補助にとどまるはずです。

同じ方法で調べたウィリアムズ%RQQEアルーンRVIスーパートレンドの記事もあります。

この検証の限界

  • 通貨ペアは米ドル/円のみ、期間は2024年と2025年の2年だけです
  • 2024年は年間+1,632pipsの上昇、2025年は−56pipsのほぼ横ばい(値幅1,900pips)でした。逆張り指標にとってこの差は決定的です
  • 出来高はFXでは市場全体の数字ではありません。 MFIの計算はこの前提の上に成り立っています
  • エントリーも決済も足の終値で行っています
  • 取引回数が極端に少ない設定を集計に含めています(除外した場合の数字は本文に別途記載しました)
  • 時間帯によって値動きの大きさは変わります

よくある質問

MFIの最強設定は何ですか?
この検証では見つかりませんでした。15分足の買い側で定番の期間14・20で買い80で決済は、2025年に120通り中1位(+1,379.1pips)、2024年には117位(−654.2pips)です。同じ設定が片方の年の最良で、もう片方では最下位付近でした。2024年と2025年の順位相関は15分足の買い側で0.00です。
MFIはFXで使えますか?
使う前に発火するかを確かめる必要があります。4時間足では240通りの設定のうち48通りが年間1度も売買せず、137通りが年10回未満でした。1時間足でも20通りがゼロ、81通りが10回未満です。「MFIの設定はこれがいい」という話の多くは、FXの上位足では評価できるだけの回数がありません。
MFIとRSIの違いは何ですか?
MFIは出来高で重み付けしたRSIです。値上がりした足と値下がりした足を、それぞれ出来高込みで比べます。ただしFXには取引所のような集中した出来高が存在せず、チャートに出るのは配信元が観測した範囲の数字です。重み付けの根拠が株式ほど強くない、という前提で見る必要があります。
MFIの勝率はどのくらいですか?
取引回数が20回以上あった設定に限ると、1時間足・2025年の買い側で47.5%〜72.73%でした。中央値の損益は−304pipsで、65通り中13通りしか黒字になっていません。他の逆張り指標と同じく、勝率は高めに出て損益は伴いませんでした。
MFIはMT4に標準で入っていますか?
MT4とMT5に標準で入っています(オシレーター内のMoney Flow Index)。TradingViewはインジケーター検索から「Money Flow Index」を追加できます。Formiqのチャートにも入っていて、期間を設定から変更できます。

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