ピンバーの勝率とヒゲ比率を252通り検証した結果
ピンバーはヒゲが実体の何倍から成立とすべきか。ドル円の15分足・1時間足・4時間足を2年分検証しました。初期設定の2倍では3本に1本近くが該当し、比率を5倍まで上げても勝率は動きません。ヒゲを値幅比で測ると結果が変わります。
ピンバーは、片側に長いヒゲを持つ足です。長い下ヒゲは下で買われた跡、長い上ヒゲは上で売られた跡と読まれ、ヒゲと反対の方向に入るのが一般的な使い方になります。
「長い」の基準は数字で決まっています。Formiqのバックテストはヒゲが実体の何倍あるかで判定し、初期設定は2倍です。この記事はその数字を1倍から5倍まで動かしました。
まず分かったことが1つあります。初期設定の2倍では、全部の足の27.6〜30.4%が該当します。 3本に1本近くです。
そして倍率を上げても、成績はほとんど動きませんでした。1時間足の2024年なら、1倍で51.46%、5倍で51.69%。取引の候補は2,973回から859回へ3分の1以下に減るのに、割合は0.3ポイントも動きません。
動いたのは、ヒゲの測り方を変えたときでした。 実体との比ではなく、その足の値幅に対する割合で測り直すと、6通り中5通りで全部の足を上回ります。
ピンバーは何を見ているのか
Formiqのバックテストが使っている判定です。
- 下ヒゲ ≧ 実体 × ヒゲ倍率、かつ 下ヒゲ > 上ヒゲ → 買い
- 上ヒゲ ≧ 実体 × ヒゲ倍率、かつ 上ヒゲ > 下ヒゲ → 売り
ヒゲは実体の外側の部分で、下ヒゲは始値と終値の低いほうから安値まで、上ヒゲは高いほうから高値までです。
比べているのはヒゲと実体です。 値幅(高値から安値まで)は判定に入っていません。実体が小さければ、ヒゲが短くても倍率を軽く超えます。逆に実体が大きい足は、ヒゲが絶対的に長くても倍率に届きません。
初期設定では3本に1本近くがピンバーになる
ヒゲ倍率2で成立した足を数えます。片側のヒゲがもう片側より長い足だけが対象です。
| 時間足 | 年 | 対象の足 | 倍率2で成立 | その割合 |
|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 2025年 | 24760本 | 6957本 | 28.10% |
| 15分足 | 2024年 | 24860本 | 6853本 | 27.57% |
| 1時間足 | 2025年 | 6205本 | 1757本 | 28.32% |
| 1時間足 | 2024年 | 6242本 | 1862本 | 29.83% |
| 4時間足 | 2025年 | 1592本 | 469本 | 29.46% |
| 4時間足 | 2024年 | 1613本 | 490本 | 30.38% |
27.57%から30.38%です。 年に1時間足で1,800回前後、15分足で6,900回前後成立します。3本に1本近くが当てはまる形は、絞り込みとしては緩いほうです。
ピンバーの設定と読み方
チャートに線や別枠は増えません。ローソク足そのものの形なので、見るのは価格チャートだけです。
| 条件 | 数値の項目 | 初期設定 | 変えると何が変わるか |
|---|---|---|---|
| ピンバー | ヒゲ倍率 | 2 | 上げるほど実体に対して長いヒゲだけが残り、成立回数が減る |
買い側と売り側に同じ倍率がかかります。片側だけを厳しくする設定はありません。
一般に使われている売買ルール
ピンバーが確定した足の終値で、ヒゲと反対の方向に入ります。下ヒゲが長ければ買い、上ヒゲが長ければ売りです。決済は反対向きのピンバーが出るまで持つ形が多く、損切りはヒゲの先端に置きます。
検証の条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 通貨ペア | 米ドル/円 |
| 時間足 | 15分足・1時間足・4時間足 |
| 期間 | 2024年1月1日〜2025年12月31日 |
| 成立の判定 | Formiqのバックテスト機能と同じ判定で、1本ずつ数える |
| 比べる相手 | 同じ期間の全部の足。買いと売りの構成に合わせて加重する |
| 先の見方 | 成立した足の終値から1本後・5本後・10本後・20本後の終値 |
| 決済 | 反対向きのピンバーまで持つ形と、10本後の終値で決済する形 |
| ヒゲ倍率 | 1・1.5・2・2.5・3・4・5の7通り |
| 回した数 | 7通り×決済2種と手数料なし1種×3時間足×4期間=252通り |
| スプレッド | 0.3pips固定 |
| ロット | 0.1 |
| 約定 | 終値 |
比べる相手の作り方だけ補足します。 ピンバーは買いと売りの両方を作るので、上げた年の全部の足と比べるときに買いの基準だけを使うと、売りが多い集団は不当に低く見えます。そこで各集団の買いと売りの数に合わせて、上昇した割合と下落した割合を混ぜた値を基準にしました。
ヒゲ比率を1から5まで動かすと
10本後にヒゲと反対の方向へ動いていた割合です。カッコ内は全部の足との差です。
| 倍率 | 1時間足2025年 | 1時間足2024年 | 4時間足2025年 | 4時間足2024年 |
|---|---|---|---|---|
| 1倍 | 2898回・50.83%(+0.81) | 2973回・51.46%(+0.81) | 766回・52.09%(+2.15) | 789回・55.64%(+3.70) |
| 1.5倍 | 2188回・50.78%(+0.76) | 2281回・51.64%(+1.01) | 584回・53.42%(+3.49) | 618回・55.66%(+3.94) |
| 2倍 | 1757回・50.88%(+0.87) | 1862回・51.40%(+0.83) | 469回・52.88%(+2.95) | 490回・56.12%(+4.18) |
| 2.5倍 | 1476回・50.68%(+0.66) | 1562回・51.47%(+0.82) | 385回・54.29%(+4.36) | 416回・56.01%(+3.76) |
| 3倍 | 1246回・50.40%(+0.38) | 1365回・51.72%(+1.08) | 336回・55.65%(+5.73) | 350回・55.43%(+2.86) |
| 4倍 | 977回・50.05%(+0.03) | 1052回・51.52%(+0.79) | 270回・54.81%(+4.88) | 273回・53.11%(+0.80) |
| 5倍 | 806回・50.00%(−0.02) | 859回・51.69%(+1.02) | 227回・53.74%(+3.83) | 228回・52.63%(+0.30) |
1時間足の2024年は、倍率を5倍にしても差が+1.02ポイントで、1倍の+0.81ポイントとほとんど同じです。 2025年は上げるほど下がり、5倍で−0.02ポイントになりました。
4時間足では2025年が3倍で最大(+5.73)、2024年が2倍で最大(+4.18)になります。同じ時間足でも、良かった倍率が年をまたいで一致しません。
15分足は7段階すべてで全部の足を下回りました。2025年は−0.78から−0.40、2024年は−1.06から−0.06です。
倍率を上げる効果は、回数が減ることのほうがはっきりしています。 1時間足の2025年で2,898回から806回へ、4分の1近くまで落ちます。
ヒゲを「値幅の何割か」で測ると
同じ足を別の物差しで切り直します。長いほうのヒゲが、その足の値幅(高値から安値まで)の何割を占めるかです。
| 条件 | 1時間足2025年 | 1時間足2024年 | 4時間足2025年 | 4時間足2024年 |
|---|---|---|---|---|
| 30%以上 | 4092回・50.22%(+0.20) | 4208回・51.43%(+0.73) | 1059回・51.46%(+1.52) | 1087回・55.20%(+3.29) |
| 40%以上 | 3038回・50.79%(+0.77) | 3159回・51.47%(+0.75) | 802回・52.00%(+2.07) | 818回・55.13%(+3.07) |
| 50%以上 | 1971回・50.03%(0.00) | 2125回・51.44%(+0.63) | 520回・52.50%(+2.58) | 556回・56.12%(+3.78) |
| 60%以上 | 1121回・50.04%(+0.03) | 1142回・53.06%(+2.10) | 296回・55.41%(+5.51) | 300回・56.00%(+3.25) |
| 70%以上 | 511回・53.03%(+3.01) | 510回・53.53%(+2.23) | 126回・56.35%(+6.44) | 140回・55.71%(+1.92) |
70%以上の行は、1時間足でも4時間足でも2年とも全部の足を上回りました。 15分足でも2024年は+0.34ポイントで、下回ったのは2025年の−1.36ポイントだけです。6通り中5通りです。
初期設定のヒゲ倍率2が上回ったのは6通り中4通りで、幅は+0.83から+4.18ポイントでした。値幅で70%という切り方のほうが、上回った回数も差の大きさも上です。
2つの物差しは同じ足を選びません。1時間足の2025年で、倍率2に当てはまるのは1,757本、ヒゲが値幅の50%以上に当てはまるのは1,971本、両方に当てはまるのは1,506本でした。倍率だけが選ぶ足が251本、値幅だけが選ぶ足が465本あります。 どちらも「ヒゲが長い足」と呼びますが、指している足は4分の1ほど違います。
なおFormiqのバックテストに「ヒゲが値幅の何割以上」という条件はありません。この記事の値幅比は数えた結果で、そのまま売買条件にはできません。
実体がゼロの足はピンバーにならない
判定には 実体 > 0 という条件が入っています。始値と終値がぴったり同じ足は、ヒゲがどれだけ長くてもピンバーになりません。
| 時間足 | 年 | 対象の足 | 実体ゼロの足 | その割合 | ヒゲが値幅に占める割合の中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 2025年 | 24760本 | 83本 | 0.34% | 66.67% |
| 15分足 | 2024年 | 24860本 | 105本 | 0.42% | 66.67% |
| 1時間足 | 2025年 | 6205本 | 10本 | 0.16% | 58.65% |
| 1時間足 | 2024年 | 6242本 | 13本 | 0.21% | 73.18% |
| 4時間足 | 2025年 | 1592本 | 2本 | 0.13% | 80.26% |
| 4時間足 | 2024年 | 1613本 | 4本 | 0.25% | 72.83% |
対象の足に占める割合は0.13%から0.42%で、数としては多くありません。ただしヒゲが値幅の6割から8割を占める足が、実体がゼロという理由だけで外れています。倍率で測る限り、実体がゼロの足は「倍率が無限大」ではなく「対象外」です。
ハンマーとは何が違うのか
ハンマーは、ピンバーの買い側に条件を1つ足したものです。ピンバーの買いは「下ヒゲが上ヒゲより長い」ことを求め、ハンマーは「上ヒゲが実体以下」まで求めます。
1時間足・2025年で、ピンバーの買いは937回、そのうちハンマーの条件も満たしたのは306回で32.66%でした。10本後に上昇していた割合は、ピンバーの買いが50.69%、ハンマーが54.58%です。
ハンマーの306回はすべてピンバーの買いに含まれます。 別々の手法として比べることはできません。
252通りを売買した結果
成立した足の終値で入り、反対向きのピンバーが出るまで持ちます。
| 倍率 | 2025年 回数 | 2025年 勝率 | 2025年 年間損益 | 2024年 回数 | 2024年 勝率 | 2024年 年間損益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1倍 | 1417回 | 49.40% | -636.7pips | 1468回 | 49.86% | +455.4pips |
| 1.5倍 | 1083回 | 49.86% | -276.3pips | 1122回 | 50.98% | +1430.8pips |
| 2倍 | 884回 | 50.68% | +858.9pips | 890回 | 49.33% | +1560.4pips |
| 2.5倍 | 741回 | 51.55% | +581.5pips | 730回 | 48.77% | +753.4pips |
| 3倍 | 627回 | 51.20% | -105.2pips | 630回 | 48.73% | +1229.3pips |
| 4倍 | 467回 | 50.11% | -576.8pips | 484回 | 48.14% | +612.0pips |
| 5倍 | 391回 | 50.13% | +339.4pips | 394回 | 46.70% | +1008.0pips |
1時間足です。2024年と2025年の両方で黒字になったのは7通り中3通り(2倍・2.5倍・5倍)で、間の3倍と4倍は飛ばされています。連続した範囲になりません。
4時間足では7通り中6通りが両年黒字でした(2.5倍以外)。15分足は7通りすべてが2年とも赤字です。 10本後に決済する形でも15分足は7通りすべてが赤字で、1時間足は2通り、4時間足は4通りが両年黒字でした。
4時間足の数字は年で大きく違います。倍率2の1取引あたりは、2025年が+0.60pips、2024年が+14.40pipsでした。取引回数は224回と243回でほぼ同じです。
2025年を前半と後半に割ると
| 倍率 | 2025年通年 | 1〜6月 | 7〜12月 |
|---|---|---|---|
| 1倍 | -636.7pips | -198.3pips | -446.1pips |
| 1.5倍 | -276.3pips | +916.5pips | -1269.3pips |
| 2倍 | +858.9pips | +931.7pips | -149.3pips |
| 2.5倍 | +581.5pips | +486.1pips | +18.9pips |
| 3倍 | -105.2pips | +549.8pips | -731.5pips |
| 4倍 | -576.8pips | +845.1pips | -1345.5pips |
| 5倍 | +339.4pips | +701.3pips | -290.2pips |
前半と後半の両方が黒字だったのは2.5倍だけです。 通年で黒字だった2倍も、後半は−149.3pipsでした。
前年に一番稼いだ比率を翌年へ移すと
| 時間足 | 2024年の1位 | 2024年の年間損益 | 2025年の年間損益 | 2025年の順位 | 2025年の7通りの中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 5倍 | +551.2pips | -3212.9pips | 5位 | -2830.5pips |
| 1時間足 | 2倍 | +1560.4pips | +858.9pips | 1位 | -105.2pips |
| 4時間足 | 2倍 | +3498.7pips | +133.8pips | 6位 | +415.7pips |
1時間足だけは1位のままでした。4時間足は+3,498.7pipsが+133.8pipsになり、7通り中6位です。
損切り・利確とコスト
| 損切り・利確 | 2025年 回数 | 2025年 勝率 | 2025年 損益 | 2024年 損益 |
|---|---|---|---|---|
| なし(反対のピンバーまで) | 884回 | 50.68% | +858.9pips | +1560.4pips |
| 30・60 | 1116回 | 43.46% | +184.6pips | +332.3pips |
| 60・30 | 1056回 | 54.92% | +79.9pips | -362.1pips |
| 50・50 | 1040回 | 50.00% | +348.3pips | +177.3pips |
1時間足・倍率2です。勝率が最も高い60・30は、2024年が−362.1pipsで4通りのうち唯一の赤字でした。 入る足は同じで、勝率は43.46%から54.92%まで動きます。
| 時間足 | 倍率 | 取引回数 | 支払ったスプレッド | 回数×0.3pips |
|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 1倍 | 5612回 | 1683.5pips | 1683.6pips |
| 15分足 | 2倍 | 3522回 | 1056.5pips | 1056.6pips |
| 1時間足 | 2倍 | 884回 | 265.2pips | 265.2pips |
| 4時間足 | 2倍 | 224回 | 67.2pips | 67.2pips |
| 4時間足 | 5倍 | 88回 | 26.4pips | 26.4pips |
支払ったスプレッドは取引回数×0.3pipsと一致しました。15分足は倍率2でスプレッドを0にしても−1,505.6pipsで、回数の多さではなく入り方から赤字になっています。
関連記事
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- インサイドバーのブレイク勝率:同じ水準を抜いた普通のブレイクを比べる相手にしています
- 明けの明星・宵の明星の勝率:3本でできる反転の形を、条件1つずつに分解しています
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補足
対象は米ドル/円の2024年1月1日から2025年12月31日です。終値約定、スプレッド0.3pips固定、0.1ロットで計算しました。成立の判定はFormiqのバックテスト機能と同じ条件を書き直したもので、初期設定の倍率2では3つの時間足×2年×買い売りの12通りすべてで、エンジンが数えた回数と割合に一致しています。上下のヒゲが同じ長さの足は、どちらの方向も指さないため対象から外しました。1本後から20本後までを見るため、年の終わりからその本数ぶんは対象から外しています。
よくある質問
- ピンバーの勝率はどれくらいですか?
- 1時間足・2025年の初期設定(ヒゲが実体の2倍以上)では1,757回成立し、10本後にヒゲと反対方向へ動いていた割合は50.88%でした。同じ期間の全部の足を同じ構成で数えた50.01%に対して+0.87ポイントです。15分足は2年とも下回り、4時間足は2年とも上回りました。
- ピンバーのヒゲは実体の何倍必要ですか?
- この検証では、倍率を変えても結果がほとんど動きませんでした。1時間足・2024年で1倍から5倍まで7段階に切ると、割合は51.40%から51.72%の間に収まります。2025年は倍率を上げるほど下がり、1倍の50.83%から5倍の50.00%になりました。取引回数は2,898回から806回まで減ります。
- ヒゲの長さは実体と値幅のどちらで測るべきですか?
- 値幅で測ったほうが差が出ました。ヒゲが値幅の70%以上という条件は、3つの時間足×2年の6通り中5通りで全部の足を上回り、1時間足で+3.01と+2.23ポイント、4時間足で+6.44と+1.92ポイントです。実体の2倍以上という初期設定が上回ったのは4通りで、幅も+0.83から+4.18ポイントでした。
- ピンバーとハンマーは違いますか?
- ハンマーはピンバーの買い側に条件を1つ足したものです。1時間足・2025年のピンバーの買い937回のうち、上ヒゲが実体以下だった306回(32.66%)がハンマーにあたります。10本後の割合はピンバーの買いが50.69%、ハンマーが54.58%でした。
- Formiqでピンバーの比率を変えられますか?
- できます。バックテストの条件一覧の「ピンバー」に「ヒゲ倍率」の項目があり、初期設定は2です。買い側と売り側の両方に同じ倍率がかかります。
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