STCの設定を72通り検証:既定値が最下位付近だった
STC(シャフ・トレンド・サイクル)の4つのパラメータを72通り、ドル円の2025年と2024年で検証しました。既定値23/50/10が2025年に72通り中66位、一方で両方の年で1位だった設定も見つかっています。
STC(シャフ・トレンド・サイクル)は、MACDにストキャスティクスを二重にかけて0〜100の範囲に収めた指標です。MACDより反応が速く、レンジ相場での往復を減らすことを狙って作られています。
ドル円の2025年(1月1日〜12月31日)で、短期・長期・ストキャス期間・判定水準の4つを72通り組み合わせて検証しました。時間足は15分足・1時間足・4時間足、比較のために2024年でも同じ72通りを回しています。
この記事の見どころは2つあります。既定値が2025年に72通り中66位で赤字だったことと、両方の年で1位だった設定が存在したことです。
既定値が沈んだ
| 1時間足 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 既定値 23/50/10・水準25 | 204回・勝率41.67%・PF 0.967・−172.2pips(72通り中66位) | +2,062.2pips(13位) |
| 2025年の最良 23/80/10・水準40 | 188回・勝率47.34%・PF 1.457・+1,813.4pips(1位) | +2,820.9pips(1位) |
| 2025年の最下位 10/80/20・水準10 | −990.4pips | +1,714.9pips |
既定値は2024年には13位で+2,062.2pipsを出しています。それが2025年には66位・赤字。この検証シリーズで扱った指標の中で、既定値がここまで振れたのはSTCだけでした。OsMAやACオシレーターでは既定値が両方の年で上位半分に収まっています。
両方の年で1位だった設定
2行目が目を引きます。23/80/10・水準40は、2025年も2024年も72通り中1位でした。
この検証シリーズでは「片方の年の1位が翌年は下位」という結果を繰り返し見てきました。両方の年で1位というのは初めてです。
ただし、この事実をどう受け取るかには注意が要ります。72通りを2年ぶん調べれば、偶然に両年で上位に来る設定が1つくらい出ても不思議ではありません。 1時間足の順位相関は+0.014で、全体としては前年の順位が翌年に何も伝えていません。その中に1つだけ一致があった、という読み方が事実に近いはずです。
判断材料として、この設定の中身を見ておきます。
| 23/80/10・水準40 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| トレード回数 | 188回 | 182回 |
| 勝率 | 47.34% | — |
| プロフィットファクター | 1.457 | — |
| 損益 | +1,813.4pips | +2,820.9pips |
年180回台という回数は、この検証シリーズの中では中程度です。8回や26回でPFが跳ね上がったケース(アルーン・スーパートレンドの4時間足)とは違い、標本の薄さで説明できる数字ではありません。
時間足で見る
| 時間足 | 2025年に黒字 | 2025年の中央値 | 2024年に黒字 | 2024年の中央値 | 両方の年で黒字 | 年間の取引回数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 19 / 72 | −566pips | 17 / 72 | −725pips | 10 / 72 | 約760回 |
| 1時間足 | 57 / 72 | +536pips | 55 / 72 | +974pips | 43 / 72 | 約180回 |
| 4時間足 | 55 / 72 | +434pips | 44 / 72 | +289pips | 33 / 72 | 約49回 |
15分足は年760回。ここでもコストが効いて、両方の年で黒字だったのは10/72にとどまります。
4時間足は年49回まで落ちて、両方の年で黒字が33/72。1時間足の43/72より低い数字です。
4時間足では水準の向きが逆になる
| 4時間足 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 既定値 23/50/10・水準25 | 51回・勝率52.94%・PF 1.405・+858.0pips(28位) | +322.5pips(35位) |
| 2025年の最良 10/30/10・水準10 | 57回・勝率54.39%・PF 2.121・+2,172.9pips | +71.3pips(42位) |
| 2024年の最良 40/50/5・水準25 | +700.1pips(31位) | +2,101.6pips |
1時間足で最も良かったのは水準40(早めに買う)でしたが、4時間足の2025年で1位だったのは水準10(深く待つ)の設定です。同じ指標でも、時間足を変えると水準の最適な向きが逆になりました。
4時間足の勝率は30.56%〜69.44%と幅が広く、年49回という回数の薄さがそのまま出ています。
勝率について
1時間足・2025年の72通りで、勝率は32.16%〜50.86%、中央値42.4%でした。勝率と損益の順位相関は+0.198。4時間足では+0.632まで上がります。
回数が減るほど勝率と損益が連動しやすくなる、というこの検証シリーズ共通の傾向がここでも出ています。
チャートに表示する方法
| 環境 | 手順 |
|---|---|
| MT4 / MT5 | 標準では入っていない。配布されている .ex4/.mq4 を MQL4/Indicators(MT5は MQL5/Indicators)に置いて再起動する |
| TradingView | インジケーター検索で「Schaff Trend Cycle」を選ぶ |
| ブラウザ(Formiq) | インジケーター一覧から選ぶ。短期・長期・ストキャス期間を設定から変更できる |
検証の条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 通貨ペア | 米ドル/円 |
| 期間 | 2025-01-01 〜 2025-12-31(比較用に2024年も同条件) |
| 時間足 | 15分足 / 1時間足 / 4時間足 |
| 検証本数 | 1時間足で6,226本(2025年)。15分足24,903本、4時間足1,610本 |
| 買い | STCが判定水準(10・25・40)を上抜けた足の終値 |
| 売り | STCが「100 − 判定水準」を下抜けた足の終値 |
| 決済 | 反対側の水準抜けのみ。損切り・利確・時間決済は使わない |
| スプレッド | 0.3pips(スリッページ0、0.1ロット) |
| 試した組み合わせ | 短期3種(10・23・40)× 長期3種(30・50・80)× ストキャス期間3種(5・10・20)× 水準3種のうち短期<長期の72通り |
| 測定 | Formiqのバックテスト機能で実行し、1トレードずつの約定価格からpipsを再集計 |
この検証で言えること
- 既定値を信用できない指標だった。 1時間足の2025年で72通り中66位・赤字。2024年は13位。この振れ幅はシリーズ中で最大です
- 1時間足が中心。 72通り中43通りが両方の年で黒字。15分足は10通りにとどまります
- 両方の年で1位の設定が1つあった(23/80/10・水準40)。ただし全体の順位相関は+0.014で、これは「例外が1つあった」と読むのが妥当です
- 水準の最適な向きが時間足で逆になる。 1時間足は水準40、4時間足の2025年は水準10
- 4時間足は年49回。 勝率が30%台から60%台まで散らばり、標本として薄すぎます
同じ方法で調べたOsMA・ACオシレーター・ストキャスRSI・QQE・アルーン・RVI・スーパートレンド・ウィリアムズ%R・MFIの記事もあります。
この検証の限界
- 通貨ペアは米ドル/円のみ、期間は2024年と2025年の2年だけです
- 「両方の年で1位」は2年の一致にすぎません。 72通りを2年ぶん調べれば、この程度の一致は偶然でも起こり得ます
- STCの実装はスクリプトによって差があります(二重ストキャスの平滑化係数など)。この数値はFormiqの実装によるものです
- エントリーも決済も足の終値で行っています
- スプレッドは全期間0.3pips固定です
- 4時間足は年間31〜89回です。この件数の勝率やPFは幅の広い数字です
- 時間帯によって値動きの大きさは変わります
よくある質問
- STCの最強設定は何ですか?
- 1時間足では23/80/10・水準40が2025年と2024年の両方で1位でした(2025年+1,813.4pips、2024年+2,820.9pips)。この検証シリーズで、同じ設定が両方の年で1位になった唯一の例です。ただし72通り中1通りの一致なので、偶然の可能性は残ります。
- STCの既定値23/50/10はどうでしたか?
- 1時間足の2025年で72通り中66位、−172.2pipsの赤字でした。2024年は+2,062.2pipsで13位です。他の指標では既定値が安定していることが多いのですが、STCでは年によって大きく振れました。
- STCはどの時間足で使えますか?
- 1時間足と4時間足です。1時間足は72通り中43通り、4時間足は33通りが両方の年で黒字でした。15分足は10通りしかありません。15分足では年間約760回売買します。
- STCの水準はいくつがいいですか?
- この検証では買い判定を10・25・40の3通りで試しました。1時間足の2025年で最も良かったのは水準40(早めに反応する)で、2024年の1位も同じ設定です。ただし4時間足では水準10の設定が2025年1位になっており、時間足によって向きが変わります。
- STCはMT4に標準で入っていますか?
- 入っていません。配布されている .ex4/.mq4 を MQL4/Indicators に置いて再起動します。MT5も標準では入っていません。TradingViewはインジケーター検索から「Schaff Trend Cycle」を追加できます。Formiqのチャートには入っていて、4つのパラメータを設定から変更できます。
Formiqは、リプレイ練習とノーコードバックテストをブラウザだけで使える無料のFXツールです。 チャートを開く、または無料プランでできることをご覧ください。